[未来世紀ジパング] 池上彰の世界激変!”北朝鮮の盟友”イランは悪なのか? – 2017年6月12日

未来世紀ジパング
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こんにちは。ひとりで.comです。

2017年6月12日放送の未来世紀ジパングは「池上彰の世界激変!”北朝鮮の盟友”イランは悪なのか?」と題して池上彰氏がイランの現状について語る!

 

 

イランは本当に”悪”なのか?

 

反米国家イランは悪の枢軸?

 

イランと北朝鮮はある共通点がある。それが”反米国家”である。そして核開発をしてきたという共通点もある。アメリカはイランと国交を断絶しているため、トランプ大統領が目の敵にしているのである。

 

2002年当時のブッシュ大統領は、イラン・イラク・北朝鮮の3国を総称して「悪の枢軸」と発言したのが、イランが悪と呼ばれる所以である。

 

その後おととし、イランが核開発を凍結する、としてアメリカと合意をした(核合意)。ここで、歴史的な和解が見られたと思いきや、トランプ大統領になって状況が一転してしまったのである。

 

 

イラン国民はアメリカ好き?

 

イランは中東最大の人口8,000万人を抱える巨大国家である。イランの国内はイスラム教全体の約15%を担っているイスラム教シーア派が多い国である。

首都テヘランにあるバザールは生活雑貨のお店が約1万店、軒を連ねている。そのバザールの名物商品はペルシャ絨毯である。3000年以上の歴史を誇る富と権力の象徴である。

 

2013年に池上彰氏が訪れた際は、反米を表す看板などが溢れていたが、それから4年たった今、テヘランの街角では意外なものが売られていた。

それが、アメリカ国旗がついているTシャツである。

 

テヘラン アメリカ国旗 Tシャツ
テヘラン アメリカ国旗 Tシャツ

 

このTシャツが飛ぶように売れていくのだという。これまで売っていたTシャツにワンポイントのアメリカ国旗をつけただけで飛ぶように売れるようになったという。なぜか反米にも関わらず、アメリカンなイラン人たち。

 

最近できたショッピングモールの中には、アップルストアもあったのである。1980年の国交断絶以来、アメリカ企業は進出していないはずだが…実はここ、製品を第三国経由で輸入して販売しているだけのショップなのだ。

 

さらにテヘランの街中には、マクドナルドに似た店舗が…よく見ると「Mash Donald’s」と書いてある。店のオーナーは「ロゴはかわいいからつけているだけ」と言う。中で販売されている商品もハンバーガーなのである。

 

アメリカだけでなく、北欧家具のIKEAのロゴマークも…しかし店の中では家電が販売されていた。全ての製品は中国から輸入されているのである。

イランと中国は自由に貿易できるため、ヨーロッパの有名ブランドの製品も販売されていた。

 

テヘランでは、中国企業が街の発展に一躍担っており、テヘランメトロと呼ばれる地下鉄も主に中国企業が車両や路線を整備しているのだという。おさめた車両は全部で2,000車両以上になり、経済制裁中に中国が市場を独占していたのである。

 

このように、実はイラン人はアメリカが大好きなのである。更にイランの次にイラン人が多いのはアメリカであると言うほど、人材交流も行われている。

しかし、イランが北朝鮮と軍事協力をしているという事があり、国同士の協力が難しくなっているのである。

 

イランが有しているシャハブというミサイルと北朝鮮が保持しているノドンは見た目も似たものとなっており、北朝鮮がイランに対して技術提供を行っているのである。北朝鮮がミサイル実験を行う際は、イラン人を呼び、商談を行っているほどである。

北朝鮮はミサイル技術をイランに売ることによって外貨を稼いでいるのである。

 

 

 

イランにとって、距離的にもアメリカ自体に脅威がそれほどあるわけではないが、イランの近くにイスラエルがあることによって、今でもアメリカと緊張状態が続いているのである。イスラエルはユダヤ人国家で、アメリカの政財界でもユダヤ人が大きな影響力を持っている。したがってイスラエルとアメリカは非常に友好関係にある。

 

一方、イランからすると、イスラエルという国家ができてしまったがために大勢のパレスチナ難民が生まれてしまったため、イスラエルを国家として認めていないのである。

 

 

 

世界の軍事力ランキング

下記のランキングを見ていただくとわかると思うが、イランの方が軍事力では北朝鮮よりも上なのである。

1位 アメリカ
2位 ロシア
3位 中国
7位 日本
15位 イスラエル
20位 イラン
23位 北朝鮮

 

 

 

 

イラン大統領選で起きていた情報統制

イラン大統領選直前、世界各国から記者がその動向を取材しにイラン国内に訪れていたが、各国記者に対してイラン政府が翻訳者の帯同を義務付けていたのである。

この翻訳者はイラン政府から派遣されている人物で、入国から出国までの間の取材内容を全てイラン政府に報告しているのである。

 

厳しく情報統制されているイラン。実はフェイスブックやツイッターなどが国内では利用できない。情報の自由度ランキングでもイランは165位と下位に位置している。

 

世界が注目したイラン大統領選挙は国際協調を重視する穏健派のロウハニ師と反米で保守的な強硬派のライシ師の一騎打ちとなった。

 

ロウハニ師 ライシ師

 

穏健派のロウハニ師の支持者は若者や女性が多く、選挙活動もオープン。しかし、警察が穏健派の選挙活動を排除する一面が見られた。

一方、ライシ師の支持者たちの選挙活動は警察も見てみぬふり。

 

これは一体どういうことなのだろうか…。

 

 

迎えた5月19日の投票日。30万人もの警官が配備され、厳戒態勢が敷かれていた。

結果、大統領選は穏健派のロウハニ師が57%の得票率で勝利した(ライシ師:38%)

 

 

実はイランには、大統領のさらに上に”最高指導者”(イスラム法学者)という存在がある。革命防衛隊は、その最高指導者であるハメネイ師につかえる軍隊で、最高指導者を守衛しているのである。更に革命防衛隊の外郭団体として民兵「バシジ」という部隊もあり、およそ100万人いると言われている。

 

実はこのハメネイ師は、反米強硬派の人物である。したがって、先程の選挙活動の妨害や取材統制などが執り行われていたというわけである。

 

 

 

 

イランで引っ張りだこの日本企業”リバテープ製薬”

 

5月中旬、イランの首都テヘランで世界中から約700社が集まる国際ヘルスケア展が行われた。その会場に日本のブースもあり、8社が共同出展していた。実は2017年4月、日本とイランの間で日本・イラン投資協定がスタートした。

しかし、独自制裁を続けるアメリカとの関係もあり、日本も足踏みせざるを得ない状況があった。

 

そんな中で、イランの中でも注目されている企業が熊本県に本社を置くリバテープ製薬という医薬品メーカーである。リバテープ製薬の注目商品は世界一薄い0.01ミリの絆創膏「フレックスケア」である。


リバテープ製薬の従業員がイラン国内に市場調査を行ったところ、シャンプーや歯磨き粉などはあるが、絆創膏は販売していない。マーケットとしては充分にあるという。

 

 

 

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なぜイランは親日なのか?

大きく2つの理由があるのではないかと考えられている。

1つは、イランイラク戦争の直後、日本とイランは友好的な関係にあり、観光においてはビザなしで行き来できた時代が1990年代にあった。

したがって、戦争直後で仕事が国内にないイラン人は日本に観光ビザで訪れ、バブル期の日本の建設現場などで大活躍したのである。その稼いだお金をもって本国に戻り、事業をはじめた人も多く、日本に恩恵を持っているのである。

 

そして2つめは、戦後日本がイランの国産原油を初めて輸入したのである。

海賊とよばれた男

 


小説や映画にもなった有名な話であるが、出光興産の創業者である出光佐三氏がアメリカがイランの石油を買うなと言ったにもかかわらずイギリス軍の海上封鎖を突破し秘密裏にイラン産の原油を輸入をした日章丸事件(1953年)を恩義に感じ、イランの人々は親日なのである。