[未来世紀ジパング]( BREXIT / 大和証券 / 日産 ) 池上彰が徹底解説!揺れる欧州…離脱決定から1年 イギリスの今 – 2017年5月29日

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こんにちは。ひとりで.comです。

2017年5月29日放送の未来世紀ジパングは「池上彰が徹底解説!揺れる欧州…離脱決定から1年 イギリスの今」と題してイギリスのいまを追う。

 

BREXITは後悔はしてないけれど…

 

イギリスのEU離脱から1年、どう思っているのか?

 

2017年はヨーロッパで選挙Yearとなっており、

2017/3/15 オランダ総選挙
2017/5/7 フランス大統領選挙
2017/6/8 イギリス総選挙
2017/6/11 , 6/18 フランス国民議会選挙
2017/9/24 ドイツ連邦議会選挙

ヨーロッパ各国で大きな選挙が行われる予定となっている。

 

イギリスのEU離脱が決まったBREXIT(ブレグジット)のあとには、BREGRET(離脱を後悔)という言葉が生まれたが、いまのイギリスの人たちはどう思っているのだろうか。

 

50人にインタビューを行ったところ、「離脱」に投票して「後悔している」という人はひとりもいなかった。

 

 

 

BREXITが決まって喜ぶ人、怒る人

 

街は外国からの観光客で溢れていた。思いもよらない事態に喜んでいるのはツアー会社である。実はイギリスのEU離脱発表後、大幅なポンド安となり、その影響もあり海外からの観光客が2割ほど増えているのだという。

 

一方、悪影響を受けている人々もいる。イギリス東部にあるボストン。東欧移民の増加が顕著になっている。取材班が待ちゆく人に取材を申し込むもほとんどの人が取材を拒否。その理由は…移民が増えているからだという。

なぜ、EU離脱が決まったのに移民が増えているのだろうか。

イギリスにやってくる移民の多くはEU圏内の東ヨーロッパから来る人が多い。実はいま、正式にイギリスがEUから離脱する前に移民する”駆け込み移民”が急増しているのである。

 

イギリスは他のEU圏の諸外国と比べて社会保障が手厚く、医療費が無料だったり、教育が充実していたりと移民にとっては非常に住みやすい国なのである。

 

 

離脱による”苦渋の決断”

 

さらに離脱が決まって、苦渋の決断を迫られている人々もいた。ロンドンにある地方新聞社につとめるイギリス人記者のヒラリーさんは、フランス人のパートナーと事実婚の状態であるが、離脱によって離れ離れになる可能性があるのである。

 

離脱後もパートナーと一緒に暮らすためには、高額な滞在ビザ代金が発生してしまうのである。実は、このようなケースが増えているのである。したがって、EU圏内の別の国に移住しようと考えていたのである。

 

しかし、それに反対するのはヒラリーさんの母親。母親はユダヤ出身で、祖父の代にドイツ国内でユダヤ人に対する迫害をうけ、イギリスに逃げてきたという経緯があったのである。

 

実はドイツは過去の歴史の反省から、ドイツへの帰化を希望するユダヤ人に対しては、ほぼ無条件で国籍を与えているのである。EU離脱前にイギリス在住のユダヤ人のドイツ国籍取得者は、20人だったのに対し、EU離脱決定後には800人と40倍にも膨れ上がっている。

 

 

 

イギリスの議会制度

 

今年4月、イギリスのメイ首相は大きな決断を行った。それがイギリスの総選挙である。ここで、イギリスの議会について振り返ってみる。

 

 

日本は明治維新以降、イギリスを手本にした議院内閣制を導入した。それが二院制で、戦前の日本も衆議院と貴族院という構成だった。

 

現在のイギリスの議会は貴族院と庶民院の2つに分かれている。貴族院は終身制で定員もない、そして無報酬となっている。現在は800人ほどいる。それに対して庶民院は選挙で選ばれ、定員は650人。最大政党党首が首相となる仕組みとなっている。この庶民院の選挙が6月に行われるのである。

 

その庶民院は保守党と労働党が2大政党となっており、過半数を握っている保守党の党首が現在のメイ首相である。

イギリス 庶民院 議席数
イギリス 庶民院 議席数

 

 

保守党はいま選挙を行うことで、現在の過半数ではなく3分の2の議席がとれるかもしれない…そんな思惑もあって、選挙を行うことを選択したのである。

最大の野党である労働党はここのところ人気が急落しており、チャンスと捉えているのである。

 

 

 

ハード・ブレグジット(Hard BREXIT)

今後、どのような形でEUを離脱するのか…ということが注目されているが、メイ首相はその点に関して、「イギリスがEUに半分残り、半分出るような事はしない」と言った。つまり中途半端な形でEU離脱をすることはない、と宣言したのである。

これがハード・ブレグジットと呼ばれており、EU単一市場からの離脱、そして各国との個別協定の締結を目指す、としている。

 

 

 

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イギリスに進出している日本企業はどうするのか?

ニューヨークのウォール街に次ぐ、金融都市、シティ。約1,400社が集まる世界屈指の金融街である。ここに、イギリスのEU離脱決定を受け、動き出そうとしている日本企業があった。日本の大手証券会社である大和証券である。

 

およそ400人が働く大和証券ロンドン支局は、EU内唯一の現地法人である。大和証券でのEUでの仕事は全てここを通して行われている。

2年後のEU離脱を前に、現地法人を新たに作るとなると今年10月には新会社の免許の申請を始めなければならない。

イギリスがEUから抜けてしまうと、EU圏内の金融機関と取引するための免許が効力を失ってしまうため、新たに免許を取得しなければならない。この免許取得に約1年かかるのである。

 

 

ロンドンから北に400キロのところにあるサンダーランド。ここに日産のサンダーランド工場がある。イギリス国内最大の工場で年間約50万台を製造している拠点である。この工場で働く従業員は約7,000人、関連企業も含めると約2万8,000人もの従業員がいる。

 

サンダーランドはもともと炭鉱や造船業で栄えたイギリスを代表する工業都市だった。しかし、1980年代にはそれぞれの産業が衰退し街には失業者があふれることとなった。その状況を変えるべく積極的に活動したのが、マーガレット・サッチャー首相である。

 

日産は、今度どのようにするのかは決まっておらず、イギリスがどのような優遇策をとって、外国企業のEU離脱を防ごうとするのかに注目が集まっている。