こんにちは。ひとりで.comです。
2017年5月22日放送の未来世紀ジパングは「シリーズ中国異変!カラクリか?本物か?中国経済の真相」と題して経済成長を支えようとあの手この手で政策をすすめる中国経済の今を追う。
偽ブランド / シェア自転車 / 横琴島スーパー特区?
中国は上り坂?下り坂?
【目次】
無印良品が中国で”産地偽装”だと誤報される
中国でまた日本バッシングが行われていた。年に1度放送される中国中央テレビの「315暁会」という悪徳業者の不正を暴く人気番組である。
この番組で特集されていたのが「無印良品」である。無印良品は、中国で現在200店舗を展開している。店に潜入し、重大な違反があると伝えた。
その内容は…
原産国は「日本」としか書いていないが日本のパッケージには「東京都 豊島区」。これを製造地の偽装だと報じたのである。しかし、工場の場所だと指摘した東京都豊島区は無印良品の本社住所である。
これには、中国メディアも「日本企業は濡れ衣を着せられた」と誤報だと報道した。
食は広州にあり!そして偽ブランド問題
中国広東省の広州と言えば、「食は広州にあり」と呼ばれるほど料理で有名である。中国4大料理に数えられる広東料理。日本でも最も好まれる中華料理の代表格である。
しかし、いま広州周辺で闇食品工場が増えているという。実際2017年3月には、闇食品工場25社が当局から摘発されている。
中国政府が闇工場摘発に力を入れるのには、深刻な事態があったからである。体にどんな悪影響があるかもわからない漂白剤を使用し、もやしを白くして白もやしを作ったり、劣悪な環境下で食品加工を行っていたりと衛生上の問題が取り沙汰されている。
そして、中国が抱えるもうひとつの大問題が「偽ブランド」。近年、中国における偽ブランド販売にも中国政府の手が伸び始めており、デパートでの販売もひっそりと行っているのが実状である。ここ数年、海外からの批判を浴び、中国政府が取り締まりを強化しているのである。これを逃れるために別部屋に隠しているのである。
しかし、手口はより巧妙になっており、とあるスーツケース専門店では、店に売られている商品は有名ブランドのスーツケースに似たスーツケースが並ぶ。このスーツケース、購入後にRIMOWAに似せたシールを渡され、客自身がそのシールを貼る。
店に置かれている状態では偽物ではないため、中国政府も取り締まりができないというのである。
値段も本物とはかけ離れ、5,000円〜10,000円となっており、世界中のバイヤーが購入し、知らぬ間にインターネット上に並んでいるのである。
GDP底上げ大作戦
2017年の中国における経済成長率目標は6.5%。1月〜3月までの間は6.9%となっており、目標を上回っている。これらを保つために中国経済全体で、GDPをあげるためにさまざまな手法が取られている。
シェア自転車ブーム
1980年代、通勤に使われていた自転車がいま再ブームとなっている。その一端を担っているのが、”シェア自転車”である。いつでもどこでもその場にある自転車に乗ることが出来るサービスで、約1年前に始まったばかりの民間のサービスである。料金も30分で10円以下とその価格も魅力的である。
そして、人気に拍車がかかった一番の理由が…乗り捨てが自由であることである。使い方は非常に簡単で、専用のアプリを立ち上げGPSにて一番近くにある自転車を探す。そして自転車についてあるQRコードをスマホでかざすと、自転車にかかっている鍵が解除される。
乗り終わったあとはアプリで鍵をかけて自動決済される。この便利さで利用者が急増しているのである。
シェア自転車の拡大を中国も後押しする。経済成長の足かせとなる交通渋滞やPM2.5に代表される環境問題対策に中国政府もエコビジネスを拡大させようと進めている。
しかし、問題が起こっていないわけではない。シェア自転車最大手のofo(オーエフオー)は乗り捨てられた自転車を整備したり、サドルやペダルを取られたり壊されたりする自転車が増えているのだという。
さらに、このシェア自転車を始める事業者が増え続けており、町中には黄色や赤、水色や緑のシェア自転車が続々登場している。
その1社であるユーバイシクルは、2017年2月にサービスを開始したシェア自転車のベンチャー企業。資本金を40億まで集めてスタートさせた。しかし、業界は早くも乱立状態で、競争が激化している。目的地について自転車を降りた後のサービスをいかに広げていけるかが今後の競争から抜け出す価値提供が求められている。
中国で広がる驚きの新ビジネス
滴滴(ディーディー)
配車アプリサービスで、本家のUberを2016年に買収してしまったほどの力を持っている。その人気の理由が、運転手が料金交渉が可能という点にある。
ネットデリバリー
例えば、宅配を行っていないスターバックスなどでも、ここから注文すれば代わりに購入し、自宅まで届けてくれるサービスである。
西安バーガー
中国伝統料理をアレンジした中国発のファストフードで、パイ生地のようなパンに豚の角煮を挟んだものである。今後世界に進出する予定である。
中国は、世界でも起業数が多く、1日に4万5,000社が誕生していると言われている。そこで新たなサービスが生まれ、経済成長に寄与している。
マカオ拡大プロジェクト
中国南部、広東省に隣接しているマカオは中国でありながらも別の法律が適用される特別行政区となっている。1999年にポルトガルから返還され、カジノでラスベスガスを抜いて1位になり、GDPも8倍に急成長している都市である。この「一国二制度」のマカオのGDPは、どんなに成長しても中国の経済統計に入ってこない。そこで中国はなんとかマカオを取り込もうと巨大プロジェクトを進めていた。
マカオと横琴島は海底トンネルで繋がっている。通常、マカオから中国から入る場合、通関やパスポートを必要とするが、ここにはそれがない。
実はこの横琴島は中国の土地をマカオに貸し出しているのである。したがって横琴島は、中国だがマカオでもあるのである。横琴島での支払いは中国の人民元ではなくマカオの紙幣であるし、中国のネット規制もないため、FacebookやTwitterが使えるのである。
ここは、習近平主席肝いりの横琴新区と呼ばれるスーパー特区となっており、2年間で6兆円近い投資が行われ、国際金融センターが開業予定となっている。
この横琴新区には世界からも注目が集まっており、中国本土から撤退したグーグルもこの横琴島への進出を発表するほどである。
この横琴島で最大の注目が長隆海洋王国と呼ばれる水族館である。中国版ディズニーシーとも言うべきこの施設の入場料は6,000円となかなかの強気の料金設定である。
この長隆海洋王国の最大の目玉が、水族館である。その巨大水槽は全長40メートルでドバイを抜いて世界最大の大きさとなっている。実はこの巨大水槽は日本の日プラ株式会社が製造している。
そんな長隆海洋王国の入場者数は、香港ディズニーランドを抑えて中国国内でNo.1となっている。
この横琴島は、習近平主席が就任後最初に訪れた場所で、間もなく香港とマカオをつなぐ巨大な橋も完成する。そうなれば、横琴島とマカオと香港での一体的な開発が進むことになり、これから中国へのGDPへも大きな影響を及ぼすと考えられている。
さらに、雄安新区と呼ばれる”ウルトラ特区”構想もあり、北京の南西に東京都と同じ広さの特区を作ろうと構想している。ここに北京にある国有企業や銀行の本社を全て移転させようとする前代未聞の計画を立てている。
これまで歴史的に見ても、1980年代に鄧小平氏が改革開放政策として深セン経済特区を作り、中国初の経済特区として「世界の工場」となった。
そして、1993年には江沢民氏が上海浦東特区を作り、国際金融センターへと発展した。
それに並ぶ特区を習近平氏が作ることで歴史に名を残そうとする想いが感じられる。
2017年秋に5年に一度の共産党大会が開かれるため、そこまではなんとかし上り坂を維持し共産党大会に臨み、次の5年の席を確実にものにしたい狙いがあると考えられる。