こんにちは。ひとりで.comです。
2017年5月15日放送の未来世紀ジパングは「最新!世界のお買いもの事情」と題して、アメリカ・中国での昨今の買い物事情とそこで活躍する日本企業を特集します。
バーコード改革、越境EC、自動販売機
アメリカで進む小売業界における時間節約
アメリカ西海岸、オレゴン州のポートランドのショッピングモールでは、ほとんどのお店がAmazonのせいでお店を閉めざるを得ない状況に陥っていた。Amazonとはもちろん皆さんご存知のあのAmazonである。
インターネットを介して買い物をする事が多いアメリカでは、多くの店がAmazonに駆逐される状況に陥っているのである。
このショッピングモールでは、他にもおかしな現象が起こっていた。それは…お店が閉まっているにもかかわらず、ショッピングモールの中に人がちらほらいる。
かつてはショッピングモールとして人があふれていたこの施設が、今はなんと高齢者たちの運動場になっているのだという。
晴れの日は外を歩くが、雨の日や寒い日はこのショッピングモール内を歩いて運動をする
のだという。
子育てに多忙な夫婦の家庭では、生鮮食品もアマゾンで購入するのがアメリカでは一般的。アマゾンフレッシュと呼ばれる、日本でも2017年4月からサービスが開始されたサービスで、最短即日配送をしてくれる生鮮食品の通販である。
そんな通販好きの夫婦でも行きたくなるのが、ニーマンマーカスという1907年創業の老舗の百貨店。ここで奥さんが購入しようとしているのが、洋服である。洋服は試着が必要なため、わざわざやってきているという。
また、この百貨店では少し変わった鏡が設置されている。試着した状態で鏡に立つと、丈夫に取り付けられたカメラが試着姿を撮影し、複数の試着姿を見比べたり、試着している服の色を着替えずに変えることもできる。
化粧品も専門のスタッフにメイクしてもらった姿やそれまでの過程を動画で撮影してもらい、自身のスマホにその動画を送ってもらうことで、プロのメイクを自宅で真似ることもできる。
全米に8,000店舗あるドラッグストア、ウォルグリーンでは買い物かごに端末がついており、広い店内のどこに目的の商品があるのかを端末上から案内してもらうことができる。また、セール品などを案内してくれる。
こうした実店舗におけるサービスは、あのアマゾンも参入しようとしているのをご存知だろうか?それが、アマゾン ゴーというサービスで、レジを使わない無人型店舗でる。お客は店舗に入ったら専用の袋に欲しい商品を入れ、レジを通さずにゲートを抜けていくだけで、自動的に精算がされるという仕組みである。
いま、こうした小売店舗では、時間と人件費をいかに節約できるか、というサービスが増えているのである。
アメリカ東部を中心に90店舗を展開するウェグマンズというスーパーでも、買い物時間節約のための試みが。その取り組みに日本の大日本印刷の社員がいた。
彼がすすめているのが、デジマークバーコードという新しいバーコードの仕組みである。バーコードは本来、商品の特定の部分に描かれているものであるが、デジマークバーコードは商品のパッケージ全体に目に見えないレベルで埋め込まれており、どこからカメラをかざしてもどの商品かを判別することができる。
また、レジ打ちにおいても、バーコードの位置を気にする必要がないため、レジ打ちの大幅な時間短縮を実現できるのである。
ウェグマンズでは、2005年から自社商品2,000点にこのデジマークバーコードを導入しており、レジ時間短縮によって、お客さんの満足度向上を期待しているという。
このデジマークバーコードという技術を開発したのが、アメリカのベンチャー企業のデジマーク社である。しかし、まだお菓子などの薄い包装のものにはうまく印刷ができないという。そこで手を上げたのが高い技術を持つ大日本印刷である。
中国本土で日本の商品を”爆買い”できる越境EC
数年前までは”爆買い”と呼ばれたように、東京の各所で大きな荷物を抱えた中国人が溢れていた。しかし、近年こうした中国人が減ったことに気づいているだろうか?
近年、越境ECと呼ばれる国境を超えるeコマース(電子商取引)が盛んに行われており、中国本土にいてもスマホひとつで日本の商品を買うことができるようになってきている。
この越境ECが中国で広まったのには、大きく3つの理由がある。
①ニセモノが少ない
中国では、ニセモノかどうかを判断するのが、大変であるが、越境ECでは今のところその心配が比較的少なくて済むのである。
②手頃な値段
日本で購入するのと価格が大きく変わらない。これは、企業が日本の商品を輸入しようとすると関税がかかるのだが、個人が輸入しようとすると34,000円以内であれば関税率が低くて済むからである。
③商品が早く届く
中国政府が管理する保税倉庫と呼ばれるもので、広州や上海など10ヶ所ほどにある。関税がかかる前の輸入品を保管する場所なので、「保税倉庫」と呼ばれている。ここから運ぶため注文からおよそ2日で各家庭に届けることができる。
東京赤坂にある越境ECの会社のひとつがインアゴーラという会社である。2年前にスマホ専用の越境EC通販サイト「ワンドウ」を開設。現在、約200万人が利用している。東急ハンズやロフトといった日本の大手がこのサイトを通じて商品を販売している。現在、およそ200社が出店しており、日本製品約3万点を取り扱っている。
インアゴーラは社員の約5割が中国人である。出店企業に変わって、商品をわかりやすく中国語に翻訳し、商品の写真撮影を行っている。
そんなインアゴーラが力をいれているのが、地方の良い商品である。インアゴーラが地方の良い商品を見つけて、それを中国人にすすめてあげるという取り組みを進めている。
例えば、眼鏡の生産で有名な福井県鯖江市。品質の高いメガネを製造できるとあって、有名メーカーからの引き合いも多いが、近年国内におけるメガネの生産量が減っており、中国で販売できるインアゴーラの仕組みは渡りに船であった。
また、鯖江にあるホブニック研究所が製造する高機能レンズも同時に販売を進めていった。
さらに越境ECの発展によって、中国でKOLが大金持ちになっている。KOLとはKey Opinion Leaderの略語で日本におけるYoutuberのような存在である。こうしたKOLの人達は、越境ECで商品を仕入れて、その商品をスマートフォンで生ライブ配信する。
それを見た視聴者が商品を買うことによって、KOLに手数料が入る仕組みになっているのである。
さらに、越境ECで購入された商品を配送するための配送のための三輪車が街中に溢れている。
中国で急増する自動販売機
中国には、日本の駅のように、売店などがない。その為、上海市内の駅には3年ほど前から自動販売機が増えはじめ、いまでは上海市内に約4,000台以上が設置されている。
日本の自動販売機と変わらないように見えるが、中国ではお茶は常温が主流のため、HotとColdと常温の3種類が置かれている。
更に日本にはない、1杯370円のラーメンの自動販売機やフェイスパックの自動販売機などもある。
2016年の中国における自動販売機の出荷台数は約6万2,000台となっており、2020年にはこれが約30万7,000台になると見込まれており、日本の自動販売機の出荷台数を超えると言われているほどである。
自動販売機が中国に増えた背景には、日本の企業が大きく関わっていた。日本の自動販売機のトップメーカーの富士電機である。現在、中国だけで年間3万台の自動販売機を製造しており、シェアは5割以上となっている。
中国での自動販売機は電子マネーの対応が一般的でお金を入れる場所がない。というのも中国の紙幣はしわになりやすく機械で読み取ることができない。その点電子マネーであれば簡単に決済を行うことが出来るのである。
そんな中国で注目の自動販売機企業が深センに本社を置くユーボックスという企業である。2011年に設立された企業で、富士電機などから自動販売機を購入し、独自の自動販売機を開発している。
そんなユーボックスが開発するユニークな自動販売機が冷蔵庫式の自動販売機である。商品にICチップがついており、冷蔵庫から出した瞬間に決済が完了する仕組みとなっており、生鮮食品や肉、卵などを取り扱うことができる。
さらにユーボックスは、自動販売機の在庫管理が即時にできるシステムを独自開発し、それによって、これまでひとりあたりが在庫補充できる自動販売機の台数は30台だったが、このシステムの導入によって50台にまで増やすことができたという。