こんにちは。ひとりで.comです。
2017年5月8日放送の未来世紀ジパングは「池上彰が緊急生放送 フランスと韓国! どうなる2つの大統領選?」と題して、5月8日に投開票されたフランス大統領選の結果と、韓国の大統領選を特集します。
大統領選から見える”世界の行方”
韓国大統領選
韓国大統領選の有力な3候補
ムン・ジェイン氏 | アン・チョルス氏 | ホン・ジュンピョ氏 |
ムン・ジェイン候補は選挙戦では支持率トップを走ってきた候補で、反米・親北朝鮮をうたっているのが特徴である。
アン・チョルス候補は”韓国のビル・ゲイツ”とも呼ばれており、コンピュータ・ウィルス対策ソフトのベンチャー企業の創業者でもあり医師の免許も持っている。右派でも左派でもない”中道系”の候補者である。
ホン・ジュンピョ候補は自由韓国党所属で親米・反北朝鮮の姿勢を示している。朴槿恵前大統領と同じ党出身であり、朴槿恵大統領の逮捕後、政党名を変えて現在は自由韓国党という政党名となっている。ここに来て急激に支持率を伸ばしている。
韓国大統領選は平日に実施?
平日に実施する理由のひとつは、朴槿恵大統領が罷免されてから次の大統領選が行われるまでの期間は予め法律で決められており、それがこの時期なのである。そして、大統領選を日曜日に実施すると投票率が下がってしまうため、金曜日や月曜日も除いた火曜日や水曜日に行うのが韓国の大統領選の一般的なのである。
韓国では、大統領選の日は祝日になる事になっている。
日韓関係
ムン・ジェイン候補、アン・チョルス候補、ホン・ジュンピョ候補はそれぞれ日韓関係についてどのように言及しているのだろうか?
ムン・ジェイン候補とアン・チョルス候補に関しては、従軍慰安婦問題の日韓合意に関して、「再協議が必要だ」という姿勢を取っている。そしてホン・ジュンピョ候補に関しては、「無効である」という姿勢を取っている。
すなわち、3候補とも反日の姿勢を見せているのである。ただし、選挙演説等で反日を訴えているわけではなく、「日本についてどうですか?」と聞かれればそのように答えているのである。
しかし、3候補とも反日の姿勢を取っているため、大統領選挙選でそれを訴えたところで、他候補との差別化にならない。したがって、大統領選では日韓関係についてはほぼ言及されていないというわけである。
5月8日の最新の世論調査では、ムン・ジェイン候補が38%、アン・チョルス候補が20%、ホン・ジュンピョ候補が16%とムン・ジェイン候補が一歩リードしている状態である。
既に有権者の20%以上が事前投票を済ませているということで、大統領選の投票率は80%を超えるのではないかと言われている。
韓国経済
ムン・ジェイン候補は脱・財閥中心経済を掲げ、財閥に頼らない経済立国を目指し、警察や消防などの公務員部門で81万人の雇用を創出することを公約に掲げている。韓国国内ではこれによって経済が回復すると思われており、韓国の株価が最高値を更新するほどの期待が集まっているのである。
韓国の若者の間では、公務員になるための学校が大人気となっている。大学を休学してまで予備校に通う人もいるという。この若者が期待を寄せるのがムン・ジェイン氏である。
一方、韓国の”巣鴨”といわれるチョンノサンガの高齢者たちは…ムン・ジェイン氏に対しては否定的である。韓国の高齢者の多くが1950年代の朝鮮戦争を経験しているため、北朝鮮に融和的なムン・ジェイン氏に対して危機感を持っているのである。
しかし、誰に投票する予定かを聞いてみても、皆口をつむぐ…そういう人たちは”シャイ保守”や”隠れ保守”と呼ばれている。保守派だというと罷免された朴槿恵大統領を指示していたと思われてしまうため、意見を表明しづらいのだという。
この”隠れ保守”の人たちの状況は世論調査には現れていない可能性が高いため、どの候補が大統領になるかは投票が終わらないとわからない状況となっている。
北朝鮮
ムン・ジェイン候補は、
「大統領になったらワシントンにいくよりも先に平壌に行く」
と豪語するほどの親北朝鮮派となっている。また、現在閉鎖されている開城工業団地の再開を行う予定だという。
また、北朝鮮がミサイルを打った時に迎撃できるTHAADを配備しないと言及している。
フランス大統領選
エマニュエル・マクロン氏 | マリーヌ・ルペン氏 |
史上最年少で大統領に当選したエマニュエル・マクロン氏。元経済大臣であるが、一度も国会議員の経験がない変わった経歴の大統領である。親EU・移民に寛容の姿勢を見せている。
一方対立候補だったルペン氏は反EU・移民排斥・フランスファーストを掲げていたが、大統領選挙の結果、マクロン氏が当選となった。
フランス大統領選でもよく耳にした「右翼・左翼・極右」などといった言葉。もともとはフランス革命の時に生まれた言葉で、議長から見た右側に王様の権威を認めようとする保守派が右翼と呼ばれ、フランス国王の権力を奪い取ろうとする人たちが左側に座っていたため左翼と呼ばれる。そしてその中立にいるのが中道と呼ばれる人たちである。
これまでフランス大統領は右翼と左翼が交互に大統領になってきたのであるが、大統領予備選において、右翼と左翼の候補が落選してしまい、中道のマクロン氏と極右のルペン氏の一騎打ちとなったのである。
フランス第二の都市、マルセイユ。この街がいまフランスが抱える問題を象徴している。フランスでは近年あるものが急増している。それが、イスラム教のモスクである。以前倉庫だった場所がモスクに変わったりもしているという。
実は、マルセイユにはモスクが圧倒的に足りないというのである。だから仕方なく倉庫を改築してモスクにしているという。マルセイユには現在モスクが70ヶ所以上あるが、それでもモスクが足りず、外で祈りを捧げる人もいるのだという。
マルセイユは人工約85万人の年だが、その3割以上がムスリム系移民となっている。フランス最大の移民の街をなっている。
フランスは1950年代から労働力として北アフリカなどから移民を受け入れてきた。だが、そんな移民の2世や3世の間である不満が溜まってきている。2世や3世であっても、フランスでは移民やアラブ人と呼ばれる一方、アルジェリアに帰るとフランス人だと言われるのだという。
いま、移民2世3世の若者がフランス社会に溶け込めず、暴動を起こすなど治安悪化の要因となっているのである。
マクロン氏はこれに対して、治安悪化を食い止めるために
- 不法移民の帰国措置強化
- 警官1万人の増員
- フランス文化になじませる
という公約を掲げている。
2015年に発生したパリ同時多発テロは記憶にあたらしい事件だが、あの事件は”ホーム・グローン・テロ”とも呼ばれ、フランス国内で育ったが、フランスに馴染めなかった移民の2世、3世が起こしたものだった。
そしてマクロン氏の経済政策としては、
- 親EU・ユーロを掲げ、自由貿易で成長を目指す
- 法人税の引き下げ
- 規制緩和→景気回復
といった新自由主義の政策を掲げている。