[未来世紀ジパング]( 出身成分 / 銅像 / 国交 ) 池上彰が緊急解説!なぜつぶれない?北朝鮮のカラクリ – 2017年5月1日 –

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こんにちは。ひとりで.comです

2017年5月1日放送の未来世紀ジパングは「池上彰が緊急解説!なぜつぶれない?北朝鮮のカラクリ」と題して、イマ注目の北朝鮮の現状を池上彰氏が解説する。

 

北朝鮮をめぐる緊迫が続いている。このさき、いったい何が起きるのか?北朝鮮は6回目の核実験を強行する姿勢を崩していない。一方、アメリカのトランプ大統領は原子力空母カール・ビンソンを朝鮮半島に向かわせるとともに、北朝鮮が経済的に依存する中国の対応がカギを握るとみて、中国にも厳しい対応を迫っている。
しかし、なぜ、北朝鮮は長年にわたる「経済制裁」を受けながらも、破たんしないのか?なぜ、経済制裁下でも巨額のコストをかけて”核・ミサイル”の開発を続けられるのか?”ジャーナリストの池上彰が、今後の北朝鮮情勢と、経済から見る”北朝鮮のカラクリ”を緊急解説する!

 

 

なぜ潰れない!?北朝鮮経済のカラクリ

 

 

北朝鮮の実状

北朝鮮は、人口約2,500万人で韓国の約半分の人口と言われている。また、主な産業としては、農業・漁業・鉱物資源の輸出等である。また経済にについては、国民所得は未公表のため詳細は不明。GDP推計は約2兆円で世界116位ほどとなっている。

 

北朝鮮は2006年に初めて核実験に踏み切り、世界中から批判され、国連で経済制裁が決議された。主な経済制裁としては…

  • 石炭などの輸入を制限
  • 武器取引の禁止
  • 北朝鮮金融機関の口座開設の禁止

などである。

 

これだけの経済制裁を行っているにも関わらず、いまなお、莫大な費用がかかるミサイルなどの実験を行っている。これまで北朝鮮が行ってきたミサイル実験等とそれにかかる費用は以下の通りである。

スカッドミサイル(短距離弾道弾) 約3億円
ムスダン(中距離弾道弾) 約20億円
テポドン2号改良型(長距離弾道弾) 約700億円
核実験(1回) 約5億円

 

 

 

北朝鮮の最新事情

2017年4月9日、平壌国際マラソン大会が行われる会場となった金日成スタジアムには、4万人もの観客が押し寄せていた。そのスポンサーには、ドイツの大手通運会社であるDHLのスポンサー看板もあった。

参加費は1万4,000円で日本からも数人が参加したという。参加ランナーは約2,000人でそのうち約1,000人が外国からの参加者だという。

 

 

金正恩氏の肝いりでオープンした未来商店という名前のショッピングモール。店内には経済制裁を受けているとは到底思えない様々な商品が立ち並んでいた。化粧品やサングラス、家電製品といったものが立ち並ぶこの店。一体誰がこうした高級嗜好品を買うのだろうか?

ミサイルや核開発を行うのに欠かせない、科学者や技術者には、こうした高級品を優遇価格で買うことができる特典があるのだという。

 

 

 

北朝鮮が潰れない第一のカラクリ:出身成分

北朝鮮には出身成分という階級制度がある。

 

①核心階層

人工の約30%を占めるのだが、朝鮮労働党員や軍幹部、1945年8月以前に労働者や貧しい農民だった子孫、朝鮮戦争で戦士した兵士の遺族などがこの核心階層を占める。

 

この3割の階層に対して高級車や腕時計、肉やワインといった贅沢品をプレゼントすることによって、国家に対して忠誠を誓わせる。もしそれに歯向かうようであれば、強制労働施設にうつすといったアメとムチを与えることによって、この階層を納めているのである。

 

ここに使われる予算は、年間700億〜1,000億円と言われている。

 

 

②動揺階層

1945年8月以前に経営者だったり、豊かな農民だった人、日本や諸外国から帰ってきた人たちで、人工の約50%を占める。

 

③敵対階層

かつての大地主や資本家、多くの財産を持っていた人がこの階層に当てはまり、人工の約20%を占める人々である。

 

 

 

北朝鮮建国時の失敗

北朝鮮建国時、実は、南の韓国よりも経済力が豊かだった北朝鮮。では、なぜそれがいま、これほどまでに経済が低下しているのだろうか?

 

北朝鮮建国の主、金日成国家主席は、主体農法(チュチェ農法)と言って、他国に頼らず自国だけで農業を成功させようとした。しかし、それはうまくはいかなかった。

うまくいかなかった代表例としては…

 

稲の密植

隙間をあけず、稲を植え、より多くの米を作ろうとしたが、寒い地域も暑い地域も構わず稲を植え、かつ隙間をあけずにたくさん植えてしまうことによって、水はけが悪く、風通しも悪くなってしまい、結果的に茎が細くなり、実がならなかったため失敗に終わった。

 

山林の伐採

山を切り崩して段々畑にすれば、より多くの作物を作れるのではないかと考え、山林を伐採しトウモロコシの段々畑を作った。しかし、山林を伐採したことによって山林の地盤が崩れ、頻繁に土砂崩れが発生し、洪水が巻き起こり周辺の田んぼは壊滅。沿岸漁業にも大打撃を与えてしまった。

 

 

こうして、1995年〜1997年の間に食糧不足による死者が300万人以上発生したという。

 

 

 

北朝鮮が潰れない第二のカラクリ:銅像の建設

アフリカ西部に位置するセネガル。人工およそ1万5,000人。主な産業は漁業。かつて最貧国と言われたセネガルと北朝鮮にはいったいどんな関係があるのだろうか。

 

セネガルの首都ダカールの郊外にある巨大な銅像。奴隷解放のシンボルとして作られた「アフリカ・ルネサンスの像」である。

 

アフリカ・ルネサンスの像
アフリカ・ルネサンスの像

 

驚くべきはその高さ。全長およそ52メートルで世界最大の銅像で自由の女神よりも高いのである。実はこの銅像の建設には北朝鮮が大きく関わっていたのである。

 

銅像が完成したのは2010年。発案者は、当時の大統領であったアブドゥライ・ワッド氏。

北朝鮮の万寿台創作社という美術品をつくる芸術家集団がこの銅像の建設に携わっていた。彼らが作った最も有名な建造物と言えば、金日成主席や金正日総書記を称えるために作られた銅像である。

 

金日成 金正日 銅像
金日成 金正日 銅像

 

 

万寿台創作社の手がける銅像は、高品質で価格が安いのが最大のウリ。お金のないアフリカ諸国では人気であり、モザンビーク共和国のサモラ・マシェル初代大統領像やコンゴ民主共和国のローラン・カビラ元大統領像、ボツワナ共和国の三首長の像など、これまでに数多くの作品を手がけてきたのである。

この銅像建設を通して、北朝鮮は外貨の獲得を行ってきたのである。

 

セネガルのアフリカ・ルネサンスの像は、建築費24億円がかかっている。

 

 

しかし、セネガルは、世界一の銅像建築にこだわるあまり、建築費を北朝鮮に払えなくなってしまったという。そして、そのかわりにセネガルの土地を北朝鮮に譲渡したのだという。

 

しかし、譲渡された土地は大した価値もなかったため、今も北朝鮮とセネガルとの間では、銅像の建築費に関する交渉が続いているのだという。一部筋によると、24億円のうち半分も支払われていないという。

 

 

 

 

 

北朝鮮が潰れない第三のカラクリ:国交

 

国連加盟193カ国中、北朝鮮と国交がある国は全部で162カ国もあるのだという。逆に北朝鮮と国交のない国は、日本・アメリカ・フランス・韓国・エストニアなどわずか30カ国しかない。

 

北朝鮮から海外への出稼ぎ労働者は、約5,000人おり、それで年間2,500億円の収入があると北朝鮮政府は発表している。

 

外国からの外貨収入はそれだけではなく、武器の輸出でも多くの外貨を稼いでいる。北朝鮮で頻繁に行われているミサイル実験中には、そのミサイルの技術をアピールするために、商談会も行われているという話があるほどだ。

 

また、ミサイル技術だけでなく、核開発技術も輸出しているのではないか、という疑惑すら出ているほどである。