[クローズアップ現代]徹底追跡 “最凶アリ” ヒアリ襲来 – 2017年7月4日

クローズアップ現代
LINEで送る
Pocket

 

こんにちは。ひとりで.comです。

2017年7月4日のNHKクローズアップ現代は昨今、東京でも発見された驚異の外来種ヒアリの特集。最凶の外来生物で驚異の繁殖力を誇るというヒアリ。その実態と対処法について特集します。

 

日本についに侵入!最凶の外来種”ヒアリ”

 

アメリカでは年間5,000億の損失

 

日本に未侵入の外来種の中でもっとも入れてはならないと専門家が警鐘をならすほど危険なヒアリ。アメリカでは、様々な農作物を食い荒らすだけでなく、電気機器にも侵入しその経済損失は年間5,000億にもなると言われている。

ヒアリはその環境適応能力でどこにでも侵入することができるのだという。海外では国家対ヒアリの様相を呈している。

 

強い毒を持ち、環境省が農作物や生態系に影響を与える生物に指定しているヒアリ。大阪にて女王アリが確認された。ヒアリは体長2mm〜6mmで全身が赤茶色、腹部に鋭い毒針を持っている。

 

ヒアリ
ヒアリ

 

 

兵庫県尼崎市で国内で初めて確認された後、神戸港や大阪港、名古屋港でも相次いで発見されている。危機感を強めた環境省は東京や横浜などで緊急調査を進めている。

 

 

 

 

ヒアリの原産国と世界への生息国拡大

 

昆虫学者の岸本年郎准教授は

絶対にヒアリの侵入を許してはならない

と警鐘を鳴らし続けていた。岸本准教授は海外の調査中にヒアリに刺され、緊急入院した経験を持つ。刺されると冷や汗が出て、じんましんがどんどん広がる。そしてこれまでに感じたことのない動悸や息苦しさを感じ不安を覚えたという。

ヒアリ刺されるとやけどのような激しい痛みが走り、重度のアレルギー反応が起きた場合には死に至る場合もあるという。

 

ヒアリの原産地は南米・アマゾン。1930年台以降貨物船に紛れてアメリカに移り生体域を広げてきた。ヒアリは人体に危害を加えるだけでなく環境にも大きなダメージを与えている。

農作物を食い荒らし、根本に巣を作り枯れさせてします。家畜が刺されて死ぬケースも相次いでいる。その被害は農村部にとどまらず、熱に引き寄せられる習性があるため、都市部では電子回路に侵入し、停電や住宅火災を引き起こすこともある。

 

 

繁殖力も驚異的で、女王アリの寿命はおよそ7年で、1日に約1,000個ほどの卵を産む。ここ20年で生息域を拡大し、オーストラリア、中国、台湾にも侵入している。

侵入を許した国では国家対ヒアリの様相を呈している。オーストラリアでは根絶計画を立て、16年にわたる戦いを続けている。

ヒアリの繁殖力に抵抗するため、熱探知カメラを搭載したカメラで地表の温度を計測しヒアリの蟻塚がある場所を突き止め、あぶり出した蟻塚には強力な殺虫剤を散布している。

これまでの16年でヒアリ対策に300億を投下してきている。ヒアリの撲滅に失敗すれば、70年で5兆円もの経済損失が見込まれるとして危機感を強めている。

 

13年前にヒアリが確認された台湾では、ヒアリ探知犬まで登場し、撲滅を進めているが、ヒアリの繁殖力についていけず、生息の拡大を許し続けている。政府はヒアリ防治センターをもうけ、対策を進めている。

 

 

 

 

 

チェックが難しいヒアリ

 

神戸港で2017年6月に発見されたヒアリは、海外からのコンテナの保管エリアで発見された。

神戸港に続き、名古屋港でも見つかった…実はいずれも中国広東省の南沙港を出港した船に積まれたコンテナから見つかっているのである。

南沙港は中国有数の貿易港で自動車部品をメインに取り扱っている。日本の22の港との間でコンテナの定期便を走らせている。

 

現在、日本の港におけるチェックは民間業者における目視で行われているのが実状であるため、ヒアリの侵入を完全に防ぐことは難しい状況である。

1日1,000本以上のコンテナが出入りする中で、全てを完璧にチェックするのは難しいという。

 

 

日本には、これまでもヒアリ以外に多くの外来種が侵入してきている。

例えば、アメリカカンザイシロアリ。輸入木材に紛れて入り込み、家の柱を食い荒らす。ツマアカスズメバチは長崎県の対馬で発見され、本州への拡大が懸念されている。

さらに、デング熱でも有名になったネッタイシマカもここ最近、羽田や成田などの空港で確認されている。

 

 

 

 

スポンサードリンク

どのように外来種と向き合えばよいのか?

 

22年前に侵入してきたセアカゴケグモ。ヒアリと同様に海外からのコンテナにまぎれて日本に侵入してきた外来種である。

セアカゴケグモにかまれるとめまいや吐き気、呼吸困難などに見舞われることもあるという。物流ルートを通じて広がり、今では44の都道府県で発見されている。

福岡市では、月1回の定期的な駆除を行うだけでなく、強化月間を決め800人体制で駆除を行ってきた。この効果からか、一時はセアカゴケグモの駆除数も年々減ってきてはいたが、昨年はそれが増加。

正しい知識を身に着けてもらうために、市民に対して講習会を実施し住民自身にも駆除を担ってもらっている。

今年度のセアカゴケグモ対策の対策費は3,300万円となっている。

 

 

東京大田区で発見されたアルゼンチンアリ。農作物などへの被害が懸念される特定外来生物であるが、5年間に渡って殺虫剤の散布や毒エサの設置などを行い、世界で初めて根絶に成功したと言う。

 

ヒアリもアルゼンチンアリも社会性昆虫で、巣の中での生産を止めることが最も重要とされている。外に歩いている働きアリを殺しても繁殖は増える一方なため、ペイト材が入った毒エサを持ち帰らせる事によって繁殖から根絶させることがもっとも根絶に近づくのだという。

 

もし、身近な場所でヒアリを発見した場合、

  • 家にいたら殺虫剤で駆除
  • 巣には決して近づかない
  • 近くの役場に連絡する
  • 刺されたらひとりにならない

ということを意識することが重要である。