こんにちは。ひとりで.comです。
2018年4月17日放送のガイアの夜明けは「シリーズ ニッポン家電の逆襲②「ベテラン」の革命」と題して
100年前から大きく変わることがなかった、スピーカー。それを進化させた企業が日本にあった。
主力は”ベテラン”社員たち。一度は勤めていたオーディオメーカーを退職したが、再びものづくりの世界へと舞い戻ってきた技術者だ。
彼らが生み出したスピーカーは、耳が聞こえにくい人たちを助ける、かつてない特長があった…。
世界の追い上げを受けて苦しい立場にある、日本のものづくり。どうすれば再び活気を取り戻し、競争力のある商品を生み出すことができるのか。”ベテラン”の意外な活躍を通して、日本企業のあり方や働き方を考える。
シリーズ ニッポン家電の逆襲②「ベテラン」の革命
スピーカーの歴史を変える?ミライスピーカー
年間8,000万人が利用する東京羽田空港。この搭乗手続きカウンターにあるスピーカーにはあるすごい技術が搭載されていた。その技術を開発したのが、サウンドファンという企業の佐藤和則さんである。
プラスチックの下敷きにオルゴールを添えて曲げていくとオルゴールの音が大きくなる…この原理を応用して新たなスピーカーを開発したのである。
このスピーカーはミライスピーカーという名前で商品を販売している。
これまでの一般的なスピーカーはすり鉢状の振動板がふるえることで音が聞こえていた。一方、ミライスピーカーは曲がった振動板から音をだすという全く新しい仕組みとなっている。これまでのスピーカーは距離が遠くなるとどんどん音が小さくなるが、このミライスピーカーは音が小さくならずに遠くまで聞こえるという特徴を持っているのである。
このミライスピーカーを開発したサウンドファンにも大きな特徴がある。社長の佐藤和則さんは61歳。副社長は72歳、技術者も72歳となっており、一度は引退した人たちがタッグを組んでできたシニアベンチャー企業なのである。
聴覚障害者・年長者に聞こえやすくなるミライスピーカー
中村多聞さん(31歳)は、耳に聴覚障害を抱えており普段から補聴器を使って生活している。街中ではさまざまな音が飛び交い聞きづらいのだという。中村さんのように、耳の内部に問題がある難聴の人は、音がこもり言葉がはっきり聞こえないことが多いのだという。
中村さんはサウンドファンでモニターとしてスピーカーの開発に協力しているのだという。サウンドファンでは、500人以上の難聴者から一般的なスピーカーとの音を聴き比べてもらい、データを収集している。サウンドファンが作るミライスピーカーは一般的なスピーカーと比較して、難聴者にとっても音が聴きやすいのである。
ではなぜ、ミライスピーカーは難聴の人にも聞こえやすいのか…。実験によると、5メートル離れたところでもこれまでのスピーカーと比較してもミライスピーカーは2倍の音量を保っているのである。
サウンドファンのミライスピーカーは元々、佐藤和則社長が父親の耳の不自由さを解決しようとして開発したものである。これを形にしたのが、シニアの技術者たちで、副社長の宮本さんは元音響メーカーケンウッドの技術者だったという。さらにその部下だった坂本さんも技術者としてサウンドファンに関わっている。坂本さんは65歳までケンウッドで働き、それまでに約300もの特許を取得した凄腕の技術者である。
これまで、企業用の比較的大型のものを開発してきたが、個人市場にうってでるため、小型化に臨もうとしていた。さらに、小型化だけでなく、逆に大型化のミライスピーカーももくろんでいた。巨大なスピーカーがそのまま広告になる…ということで、凸版印刷に対してプレゼンを行った。これが成功すると、新たな広告メニューとして売り出す事ができると考えているのである。
100年前から大きく変わることがなかったスピーカー。それを進化させたのはベテランの力だった。経験豊富なシニアが人々を助ける力を発揮する、ベテランが活躍できる場を増やすことができれば、ものづくりはもっと進化できる。日本の家電の逆襲はそこからはじまるのではないか?