こんにちは。ひとりで.comです。
2018年6月12日放送のガイアの夜明けは「日本を救う!?中国マネー」と題して日本のアパレル企業マークスタイラーを買収し、中国での売り上げアップを図るCITICファンド、第三セクターの旅館「ホテルみかわ」を買収し、中国人富裕層を日本に呼び寄せる山嶼海を特集する。
いまや世界二位の経済規模を誇る、中国。そこから今、巨額のマネーが日本に流れ込んで来ている。中には、経営に行き詰まった日本企業が、中国マネーに救われるケースも。
日本ではよく知られた企業が、中国マネーに再生のチャンスを与えられ、立ち直った事例も少なくはない。日本企業の強力なライバルとして知られる中国だが、救いの手を差し伸べる存在でもあるのだ。時としてそれは、日本人が”見捨てた”会社に対しても…。
「脅威」や「爆買い」といった印象が強い、中国。しかしその裏では、別の側面も顔を覗かせる。日本は今後、どう向き合っていくべきなのか。日本企業に問題点はないのか…。
現場の最新事情を取材し、「日本」と「中国」の新たな関係について考える。
日本を救う!?中国マネー
中国の政府系投資ファンド:CITICグループ
中国香港にあるマクドナルド。そこでは入り口で大きな画面から注文ができ、その場で決済ができる。注文した商品を窓口で受け取る仕組みになっている。こうした注文形態をとっているのは中国のマクドナルドだけである。
このマクドナルド、中国のCITICキャピタルという投資ファンドが中国の経営権を2,440億円で買収したのだという。従来のマクドナルドのやりかたは中国にあっていなかったため、独自のシステムを作り上げたのだという。
CITICキャピタルの本社は香港にある。実はこのCITICキャピタル、中国の政府系企業であるCITICグループのひとつである。CITICグループには、中国最大の証券会社、中信証券や中信重工や中信建設など中国を支える企業が名を連ね、総資産は100兆円にものぼる。そんなCITICグループが日本企業にも手を伸ばし始めているのである。
かつては、他社と共同でポッカコーポレーションを買収し、2011年にサッポロHDに売却した実績も持っている。
CITICキャピタルによるマークスタイラーの再建
神奈川県藤沢市にある商業施設、テラスモール湘南。ここに出店しているアングリッドというアパレルブランドがある。国内に29店舗を展開している人気のアパレルブランドである。着心地の良さとカジュアルなデザインが人気の秘密となっている。
このアングリッドというブランドを手がけているのが、マークスタイラーという企業である。他にもシックなデザインが人気のエモダやダズリンなどかわいさを全面に出したブランドがあたり、2000年代に急成長した。
2年前、ブランド数を20個から32個に拡大したところ、失敗し、30億円の赤字となってしまったのである。その結果、CITICキャピタルに身売りし、中国市場に販売を拡大することとなった。中国系の投資ファンドであるCITICキャピタルは、中国全土で信用力を持っているため、日本などの海外企業を買収し、中国で販路を広げることによって再建させるという手法を取り入れている。
マークススタイラーに送り込まれてきたのは、CITICキャピタルの日本法人にいる小林進太郎さんである。小林進太郎さんは、東大卒業後、世界有数のコンサルティングファーム、マッキンゼー・アンド・カンパニーに就職後、CITICキャピタルに入社した経営のプロである。
小林さんは、増えすぎたブランドを15個に整理し、コストを削減させることによって、1年で黒字化を達成させた。そしてさらなる業績拡大に向けて、中国であることを仕掛けていた。
それが、中国のアリババが運営するTモールへの出店である。厳しい審査を通った一流ブランドしか出店できないことで有名である。
マークスタイラーのアングリッドは、CITICグループ傘下であるということで審査をクリアし、Tモールに出店できたのである。そのTモールでアングリッドは目標の200%以上を売り上げていた。
第三セクターで赤字続きのホテルみかわ
新潟県阿賀町、人工は1万1,000人で20年前から3割減っている。そんな阿賀町にあるホテルみかわ。1994年に開業したホテルで、当時はウォータースライダーのついた温泉プールが人気で家族連れで賑わっていた。
温泉は源泉かけ流しで自慢のものだったが、最近ではあちこちにひび割れが起こっており、サウナも壊れたままとなっている。宿帳を見ると、宿泊が連日ゼロの日が続いていた。このホテルみかわは町が100%出資した第三セクターである。
全国に多く存在するこうした第三セクターの温泉宿は、収支を無視して作られてきたという経緯がある。ホテルみかわもそのひとつで、開業から24年ずっと赤字が続いていたのである。
ホテルみかわに救いの手を差し伸べた山嶼海
そんなホテルみかわに救いの手が差し伸べられた。それが中国企業の山嶼海である。オーナー夫妻が訪れ、1泊宿泊し、次の日には買収しても良いと話をし始めたのだという。
山嶼海のオーナーは
ホテルだけを買ったわけではない、周辺の山とその景色を買ったんだ
という。
まず山嶼海が改修したのが、ホテルのプールである。およそ6,000万かけて改修を行った。ホテルみかわに目をつけた最大の理由はこの温泉プールだった。
山嶼海の本社は中国の上海にある。銀行マンだった会長が山嶼海を立ち上げたのは2009年のことである。稼ぎ頭は旅行サイトで、会員の多くがシニア層というのが特徴である。
山嶼海の会員になると、40ものホテルが格安で利用できるという。現在、会員は1万人ほどおり、その多くが退職した政府の官僚や大学教授など、お金があって暇もある人だという。
中国で雪を見たければハルピンまで行かないとならない。上海から飛行機で3時間、さらにそこから車で3時間かけて雪の温泉に行かなければならない。
しかし、新潟であれば、飛行機で3時間、そして車で50分で到着するため、国内より近いのである。さらに、現在、上海から新潟までは直行便が週2回就航しているのも大きなメリットである。
ホテルみかわは山嶼海によって、約7,500万円で売却された。こうした第三セクターの中国企業の買収ははじめてだという。
2018年4月、山嶼海の会員18名が、上海からやってきた。新潟市内観光から日光、東京を観光する7泊8日の旅である。
ものづくり大国日本にとって、中国はかつて技術を教える相手だった。しかし、今では中国の技術力や経営ノウハウは日本を上回るケースが目立っている。
今後私達が知らなかった中国の実力に驚かされることが増えてくるでしょう。救いの手を差し伸べてくれることもあれば、強力なライバルになることもある中国という存在。
改めて相手を見つめ直し、うまく付き合っていくことが日本の企業に求められているのかもしれない。