こんにちは。ひとりで.comです。
2018年7月5日放送のカンブリア宮殿は「花と野菜の100年企業 知られざるグローバル種子革命」と題してサカタのタネ社長 坂田宏(さかた ひろし)さんが登場。
ガーデニングブームの今、マンションのベランダで家庭菜園を楽しむ人が増えている。そんな初心者向け簡単キットから始まり、さらには簡単に栽培できる品種改良まで手掛けるのが、サカタのタネ。
実は、ブロッコリーの世界シェア65%、トルコギキョウは75%という知られざるグローバル企業だ。私の暮らしを気づかぬうちに変えてきたその全貌に迫る。
花と野菜の100年企業 知られざるグローバル種子革命
サカタのタネが手がけるガーデニング専門店
日本最大級のガーデニング専門のお店、「ガーデンセンター横浜」。多い日には1日5,000人もの人が訪れるという。この店では、野菜の苗が常時150種類以上取り揃えられている。花の苗は1,500種類以上にも及ぶ。
そんなガーデンセンター横浜には、初心者にも優しいセットが数多く取り揃えられている。例えばミニトマトは約2ヶ月で収穫でき、病気にも強い。399円で約100個のミニトマトができるので、買うよりも安く仕上がる。
さらにお店には専門の園芸アドバイザーがおり、苗の育て方から必要な用具までアドバイスをしてくれる。
サカタのタネでは、野菜400種類、花1,200種類の種を生産している。その生産拠点は、全世界で20カ国以上にも及ぶのだという。年中、決まった量を共有できるように、北半球と南半球で分け、季節的な影響を受けないようにしているのだという。
こうして、生産したタネや苗を農家に販売しているのがサカタのタネである。現在、その売上高は約620億で、日本で第一位、世界でも第6位を誇る種苗メーカーである。
品種改良で作るヒット商品
そんなサカタのタネは、種の品種改良も積極的に行っており、王様トマトはそのヒット商品の一つである。
これまでのトマトは熟すとすぐにひび割れてしまうため、その前に出荷する必要があった。しかし王様トマトは肉質がしっかりしているため、ひび割れの心配がないのである。
また、デザートの代表格ともいえるアンデスメロンもサカタのタネが品種改良によって作り出したものなのである。アンデスメロンは開発から40年間ヒット商品となり続けている。
サカタのタネは、種苗の生産だけでなく、新たな野菜の開発も積極的に行っている。例えば、カラフル大根。正式には紅化粧と呼ばれる大根で、サイズも小ぶりのためちょっとしらサラダに入れて彩りを加えたいという主婦から人気となっている。
さらに、コリンキーというカボチャ。カボチャであるのに、簡単に包丁で皮ごと切ることができ、そのまま皮ごと食べられるのだという。これは、加賀野菜の打木赤皮栗カボチャという品種とオーストラリアの品種をかけ合わせて作ったものである。
メロンを庶民のデザートに!プリンスメロンとアンデスメロン
サカタのタネの創業は、大正時代初期の1913年まで遡る。現社長の祖父、坂田武雄さんが横浜に農園を設立したのがはじまりである。当時は、日本産のヤマユリなど、欧米にはない品種の球根を輸出していた。
昭和に入ると、最初の大ヒットとしてべチュニアという世界初100%八重咲の品種改良に成功した。世界中から注文が殺到し、金の20倍以上の値がつく大ヒットとなった。
創業者の坂田武雄さんがフランスに視察したとき、デザートに出てきた「シャランテ」というフランス産のメロンの味に驚き、
メロンを手軽に食べられるようにするのが我々の仕事だ…
と思ったのだという。当時、メロンひとつは数万円の価値があり、庶民にとっては高嶺の花だったのである。それを庶民でも食べられるものにしたいと考えたのである。
そこから新しいメロンの品種改良を行った。当時のメロンは、病気にならないように吊るして栽培され、一株に一個で作られていたため、大量生産が困難だったのである。開発者たちはこの困難な課題に音を上げるものも多かったが、創業者の坂田武雄さんは、絶対にできる…と言って、研究開発を辞めなかったのだという。
そんな中で目をつけたのが日本産のマクワウリだった。この品種をフランス産の品種とかけ合わせた。試行錯誤すること5年、一株で何個もできるメロンの品種改良に成功したのである。これを試食した「プリンス会」という会合の名前からとって、これがプリンスメロンと命名されたのだという。
だた、このプリンスメロンは、目標とするフランス産メロンと比較するとまだ遠い。そこでさらなる改良を行うのである。そしてついに16年後の1977年に「アンデスメロン」の開発に成功するのである。
さらに一般的な野菜である「ブロッコリー」、これもサカタのタネの品種なのである。世界で約65%がサカタのタネののものなのである。さらにオーストラリアでは、シェア8割を誇るという。
実は1980年代までブロッコリーは世界的に見てもマイナーな野菜だった。というのも当時のブロッコリーは生育期間にばらつきがあり、収穫に手間がかかっていたのである。そこでサカタのタネは生育スピードが一定で収穫の手間がかからない品種を開発。それが一気に世界に広がったのである。
日本産のいちごが韓国に流出?
ピョンチャンオリンピックで活躍したカーリング女子チーム。中でも通称もぐもぐタイムで彼女たちが食べていた韓国産のいちごに注目が集まった。
しかし、実は日本産のいちごがいつの間にか韓国に流出していたということが起きているのである。農水省の調査によれば韓国産のいちごの実に9割が日本由来のものなのだという。この流出による損失額は、5年間で220億円にものぼると試算されている。
他にも種無しマスカットで有名なシャインマスカットや、さくらんぼの紅秀峰といった品種も中国などに持ち出され無断で栽培されているのである。
こうした無断栽培に対抗しようサカタのタネが最近動き出している。サカタのタネが海外で品種登録した「よつぼし」といういちごの品種は、官民一体となっていちごの品質を守ろうという新しい取り組みとなっている。