こんにちは。ひとりで.comです。
2018年10月2日放送のガイアの夜明けは「シリーズ あなたにファッション革命② 輝く!大人ファッション」と題して40代以降にターゲットを置くアパレル企業ドゥクラッセを特集します。
不振が続くアパレル業界。一方で「欲しい服が売っていない…」と嘆く大人たち。
そんな中、「40代以上の顧客」に特化し、急成長しているブランドがある。
創業11年の「ドゥクラッセ」だ。独自の戦略で快進撃を続ける中、今回、大きな勝負に出た。それは、新宿アルタでの巨大店舗の出店。果たして、かつての若者ファッションの聖地に大人たちを集めることは出来るのか?
シリーズ あなたにファッション革命② 輝く!大人ファッション
機能性と低価格のマーケットへ!ワークマンプラス
東京立川にあるららぽーと立川。ここにいま注目の店舗がある。スポーツやアウトドアの商品を取り揃えるアパレル店で、そのお客さんのほとんどが中高年となっている。
このお店は「ワークマンプラス」。
そう、作業服業界で日本No.1のワークマンが立ち上げた新ブランドである。ワークマンは年間売上高約800億円で全国に825店舗を構えている。建設現場の労働者の減少により、売上の上昇が鈍化していた…。そして分析の結果、高機能で低価格な市場に進出することに決めたのである。これまでの高機能な作業服にオシャレなデザインを取り入れたところ、それが話題となりシニア層を中心に人気となっているのである。
客の要望に応える原点に戻る百貨店
銀座の街で中高年に話を聞いてみると、歳をとってくるとだんだん自分に似合う服がわからなくなって来てしまい、自然と地味めの服が多くなってしまう、という。
外資系の保険会社に勤める内田恵美子さんもそのひとりである。
そんな内田さんは日本橋三越本店でとあるサービスを受けることにした。それが三越が提供するパーソナルショッピングというサービスである。このパーソナルショッピングは服のイメージや予算を伝えると、まずはカラー診断を行い、専門の資格を持ったスタッフが本当に内田さんに会う色を選定してくれるのである。カラー診断とは、目と肌と髪の色によって、似合う色をセレクトしてくれる。診断の結果、はっきりした色が似合うことが判明。
その診断をもとに、三越の店舗を回って似合う商品をオススメしてくれるのである。たっぷりと時間をかけてさまざまなブランドの商品を紹介してくれる。これだけ多くのブランドを紹介できるのは百貨店だからこそできるサービスである。
このサービスを利用するお客さんは通常の4倍ほどの客単価になるのだという。これが、服が売れない時代の百貨店の新たな戦略のひとつとなっている。
中高年をターゲットに躍進を続けるドゥクラッセ
東京の新宿。駅の乗降客数は1日360万人以上で、この数値は世界一である。その新宿で待ち合わせの定番といえば新宿アルタである。
1980年に若者をターゲットとしてできたファッションビルで、このアルタで笑っていいともが毎日生放送されるということで、一気に注目が集まった。
しかし、かつての勢いはいまなくなってしまっている。新宿アルタの集客数は1997年をピークに減少の一途を辿っているのだという。
この新宿アルタの1階、およそ170坪にドゥクラッセが自社最大の店舗を作ろうとしていたのである。ドゥクラッセは40歳以上のシニア層をターゲットにしたアパレル通販会社である。
特に40代以降になると、こころは変わっていないが、体型がどんどん丸みを帯びてくるため、その体型にあった仕立てのアパレルを作っている。
ドゥクラッセは2007年に創業したアパレル通販会社で従業員はおよそ1,200人。40代以上の世代をファッションで元気づけることをテーマにカタログ通販の分野で事業をスタートさせた。百貨店より安く、ファストファッションより高品質という方針で売上をあげてきた。
成長の原動力のひとつが、本社のフロアの半分をしめるコールセンターである。
現在カタログ会員は250万人おり、100人のオペレータが1日5,000件の電話対応を行っている。
特にコールセンターで働くオペレータはターゲットとなる40代と同じ世代の方々が多いため、カタログに書いてある商品の着心地などに非常に説得力があると評判なのである。
また、近年では店舗ビジネスにも進出。現在国内で45店舗を展開している。店にもカタログを置いているため、相乗効果も出ているのだという。
こうした取り組みで創業以来増収を続けており、2017年は売上275億円まで伸ばしている。
創業者で社長の林恵子さんは、津田塾大学卒業後、アメリカで広告やマーケティングのキャリアを積み、その後1999年には海外ブランドの日本法人社長に就任し、業績を伸ばした。そうした功績もあり、当時のウォール・ストリート・ジャーナルでアジアで最も注目すべき10人の女性にも選ばれた。
ドゥクラッセを創業したのは48歳のとき。安定した地位を捨て、自宅のガレージでカタログ通販をはじめるために全財産をつぎ込んだのがスタートである。
大激戦区新宿でアルタを舞台に勝負に出るドゥクラッセ
今回新宿アルタ店の店長になったのが、前田秀昭さん(50歳)である。ユニクロで大型店の店長を歴任し、今回満を持してドゥクラッセに転職してきた。
新宿は大手のアパレル店や百貨店がひしめく大激戦区。ここで勝ち残っていくのは生半可なことではない。ドゥクラッセは新宿という激戦区で勝負に出たのです。
ドゥクラッセ新宿アルタ店の開店初日、アルタの立地ということもあり、多くのシニア層が開店初日に詰めかけた。その影響もあり、新宿アルタの他のお店にも客が流れ、ある店舗では、売上がこれまでの1.5倍にもなったという。
しかしながら、それも長くは続かず、開店から約2週間後には、閑散とした状態となってしまった。新宿アルタ前はこれまで通り、待ち合わせの場所として使われており、店の前や店のドアの中に人が入っては来るが、なかなか奥にまで人が流れてこないのである。
新宿アルタ店の年間での売上目標は数年後には30億までの店舗に持っていくこと、それにあたって初年度は10億円に設定されたが、その目標に対してビハインドを持つことになってしまっていた。ユニクロから転職してきた前田店長も勝手の違う環境で苦労を強いられていた。
巻き返しを図るために前田店長は抽選などのキャンペーンの施策を役員にプレゼン。
しかし、
本当に客が求めているのは抽選なのだろうか…
と林社長からダメ出しが入る。
一方、林恵子社長は集客力アップに向けて新商品の開発に急ぐ。今回の目玉はコートである。その名も
マジカルサーモフードコート
中高年の女性はそれでなくても体型が丸くなりがち。そんな中でダウンジャケットを着るとより丸い体型になってしまう。そこで、着ぶくれせずにあったかく着れるコートを開発したのです。
これを新宿アルタ店の入り口に配置。通行人が目を留め、購入していく人が増えていった。
不振と言われて久しいアパレル業界で、成長を続けていくブランド。その成功の鍵は欲しい服がないと嘆く人たちの声をしっかりと受け止めたことにあった。これからも期待を裏切らない商品を出し続けることができるのか、戦いはつづく。