[ガイアの夜明け](太平洋フェリー / オレンジフェリー)フェリー 時代の波に乗る – 2018年9月11日 –

ガイアの夜明け
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こんにちは。ひとりで.comです。

2018年9月11日放送のガイアの夜明けは「フェリー 時代の波に乗る」と題して単なる移動手段ではなく、豪華な旅の選択肢のひとつとして選ばれるフェリーについて特集する。

 

かつては「大部屋で雑魚寝」のイメージが強かったフェリーだが、ここに来て各社が次々と新しい船やサービスを投入している。完全個室や豪華な食事、多彩なアクティビティを売りにしたものもあり、今や「海上のホテル」へと大変貌。

時間に余裕があるシニア層を中心に、積極的にフェリーの旅を楽しむ利用客が増えている。さらなる利用者拡大を狙って、各社が繰り広げる”海上の戦い”に密着する。さらに陸上でフェリーに熱視線を送るのが運送業界。

働き方改革が叫ばれる中、ドライバーにも負担をかけずに荷物を運べる手段として注目されているのだ。”時代の波”に乗るフェリー、その最前線を追う。

 

フェリー 時代の波に乗る

 

年配客の胃袋を掴め!フェリーによるツアー

 

飛鳥Ⅱという豪華客船のクルーズをご存知だろうか。30日以上かけてアジア各国を回る旅が今人気となっている。最高級の部屋はひとりあたり800万円。しかし、高級すぎて手が出ない…そんな人達にはいまフェリーを活用した旅が流行っている。

フェリーと言えば、狭い部屋に雑魚寝のイメージが強いがそんなフェリーもいま、変わってきているのである。太平洋フェリーの「いしかり」では名古屋から仙台を経由して北海道に就航しており、そのフェリーの中では、まるでホテルのような客室が用意されている。

お風呂は海が見える大浴場、食事は和洋中が選べるバイキング形式とホテルのようなおもてなしがされる。たっぷりある時間を飽きさせないようにラウンジで無料ライブなども行われている。

 

 

太平洋フェリーは専門誌でも26年連続No.1で毎年フェリーオブ・ザ・イヤーを受賞している。しかし、ここに来てライバル各社が続々と新フェリーを投入してきている。例えば、さんふらわあさつま。内装が豪華なだけでなく、ペットと一緒に乗ることができる部屋なども用意している。

 

王座を守る立場の太平洋フェリーは、そのために凌ぎを削っていた。特に着目しているのはフェリー内での食事である。太平洋フェリーでは若者向けに肉や揚げ物などは用意しているのだが、年配のお客さんからは、もう少しさっぱりしたものが欲しいという要望があがっていたのである。

レストラン担当の櫛田さんにもこうした声が届いていた。

年配客の満足度をいかにあげるかが課題になっていたのである。櫛田さんは長年コックを勤めてきたプロで、年配客を意識した新メニューの開発に勤しんでいた。

そこで目をつけたのが名古屋の魚市場にあった「大あさり」と呼ばれる貝であった。塩分を考えてめんつゆで味付けしオーブンで7分焼き上げる。新メニューを投入した初日、年配のお客さんがが好んでこの大あさりの新メニューを食べてくれたのである。初日に用意した250個はすぐになくなってしまった。

 

 

 

新造船、新たな顧客を掴め!サイクリング客向けの新プラン

 

愛媛と大阪を毎日運行するオレンジフェリー。主力船のおれんじ8は就航開始から25年経っており、老朽化が進んでいた。年間の乗船客は年々減る一方でピーク時は約40万人だったのが、現在はその半分の20万人となっている。

このオレンジフェリーを運行している四国開発フェリーの瀬野副社長は、創業家一族で、おれんじ8の設計にも携わっていた。しかし、客足は遠のく一方で、決断を迫られていた。

結局おれんじ8はなくなく韓国の業者に売却することに決定した。しかし、新たな造船として「おれんじえひめ」を3年がかりで完成させたのである。新たな主力船となるこの船も瀬野社長が設計に携わった。このおれんじえひめの建造費は約80億円。年商100億円の四国開発フェリーにとっては会社の命運をわける投資となっている。

 

新しいおれんじえひめでどのように新しいお客さんを増やしていくのか…実はこれまでのおれんじ8のお客さんは7割が地元愛媛のお客さんで、大阪のお客さんは3割にとどまっていたのである。

その鍵となるのがしまなみ海道である。しまなみ海道は愛媛の今治と広島の尾道を結ぶ道路でサイクリング客の聖地として人気になっているのである。年間約30万人がこのしまなみ海道でサイクリングを行っているという。

そのサイクリング客を1万人に増やせ、というのがトップダウンで決まった。その責任者として営業の苅田浩二さんが指名された。

苅田浩二さんはしまなみ海道でサイクリング客に聞き込みをはじめた。そこで出てきた意見が、自転車の分解である。公共交通機関で自転車を運ぶためには分解して運び、降車後に組み立てる必要がある。それをしないでフェリーを使えるのであれば、フェリーを考えるかもしれない…。

苅田浩二さんは、さっそく船内に自転車をおけるスタンドを用意。盗難の心配がないようにサイクリング客が泊まる客室に自転車スタンドを用意することに決めたのである。

このプランはマイバイクステイサービスと命名し、ホームページや大阪の自転車屋さんなどにチラシを置いてもらい宣伝を行った。

船内では、空気入れの無料貸出や自動販売機で自転車のタイヤチューブを販売するなどサイクリング客向けのサービスも充実させた。

 

 

 

トラックドライバー不足でフェリーを活用?

 

いまや積極的に旅行客などを運ぶようになってきたフェリーだが、実はフェリーの輸送物のメインは人ではなくトラックなどの自動車である。実は輸送物のおよそ7割が自動車なのである。ここ2年でもその数は増加している。

これには、トラック業界の働き方改革が大きく関係しているのだという。トラック業界は人手不足に加えて人気がない職業となっており、高齢化も進んでいる。さらに実際に運ぶ物量の数も増え続けている。2020年には、トラックドライバー10万人が不足するという試算すら出ているのである。

 

そんな中、三重県に本社を置くおやつカンパニーでは、新たな輸送方法について模索していた。おやつカンパニーはベビースターラーメンなどのスナック菓子を製造するメーカーである。本社近くの工場から製造したお菓子を全国にトラックで配送している。

しかし、年々トラックが捕まらなくなっており、別の輸送手段を検討していたのである。その輸送方法がフェリーである。業界大手の太平洋フェリーがそれに名乗りを上げた。太平洋フェリーは売上の7割を貨物事業であげているのである。

 

おやつカンパニーの倉庫からフェリーまでを貨物トラックで、そしてそこでフェリーに商品を預け、フェリーの到着先で別のトラックが荷物を受け取り、目的の場所まで運ぶ。このやり方を使うと、コストは陸送と変わらず1回で輸送できる量は約3割増すのだという。

 

 

今まで単なる移動手段だったフェリーは、快適な旅の手段として、そして物流の有効な手段として見直されている。四方を海に囲まれた日本。今後も私達の生活を支える大きな役割を果たしていきそうである。

 

 

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