こんにちは。ひとりで.comです。
2016年10月17日放送の未来世紀ジパングは「消費が沸騰するインド 日本企業が続々!」と題して、インドに進出する各企業を特集します。
日本企業続々!無印良品・三井物産・TOTO・ワコール
人口が13億人を超えるインド。劇的な経済成長を続けている。以下は1980年から2016年までの経済成長率を日本と比較したものである。日本は、2010年以降、1%から2%ほどのところを推移している一方で、インドは時には10%を超える経済成長を見せている。
この経済成長に従って、個人の消費は増え続けている。そこに目をつけた日本企業はこぞってインドへの進出を試みる。しかし、国が違えば文化も異なり、日本でうまくいった商品やサービスであっても、単純にインドに輸入しただけではうまくいかない。
今回は、そうした状況において、どのようにインド人に受け入れられるような工夫をしているか、を具体的な企業の例を見ながら、考えていきましょう。
【目次】
高い経済成長率のインド市場を狙う無印良品
インドの大都市ムンバイにあるパラディウムモールというショッピングセンター。ここには、GUCCIやJIMMY CHOOなどといった世界中のハイブランド店が集まっている。
ここに無印良品のインド1号店が出店した(2016年8月5日オープン)。オープン初日には、良品計画の松崎社長も訪れた。初出店の店舗に置かれている商品のほとんどは日本から輸入したものである。
日本から輸入しているため、価格は日本のものよりも高めである。関税や輸送費などで日本価格よりも平均1.6倍高くなってしまう。 例えば…無印良品でよくある衣装ケースは2,400円と、日本で売られている1,200円という価格の2倍する。
初出店から日も立たず、2016年9月には2号店を出店することが決まっていた。2号店の出店先はバンガロール。バンガロールはインドのシリコンバレーと呼ばれるほど、IT企業が集まる地域である。
バンガロールでの2号店の目玉商品はブロックプリントのストール。ブロックプリントは、インドの代表的な工芸技術である。一般的なブロックプリントはカラフルな色合いだが、無印良品では、企業のイメージカラーに併せて白黒にした。
しかし、現状では価格が高い(4,500円)という事であまり売れなかったという。
今後も各都市に出店する計画を予定しており、3年で黒字化を目指す方針だ。
インドのテレビショッピングに出資した三井物産
インドの小売店の9割は個人商店である。日用品を買い揃えるには、何軒もの店を1日がかりでまわらなければならない。そういった環境もあって、インドではテレビショッピングが盛んである。
また、インドのインターネット普及率は30% – 40%に対して、テレビの普及率は60%。人口が13億人なので、普及率が60%だとしても、テレビ視聴者数は8億人と言われている。
三井物産はこれまで、日本・中国・韓国でそのノウハウを蓄積しており、そのノウハウをふんだんに盛り込んだテレビショッピングを行っている。インドにおけるテレビショッピング市場は1,000億円。これが、2020年には6倍の6,000億円になると言われている。
三井物産は2015年3月に当時、インドのテレビショッピング業界3位ナープトル社に出資を行った。ナープトル社は、24時間テレビショッピングを放送している。
三井物産が拘ったのは商品の機能をわかりやすく伝える演出。こういったノウハウ以外にも以下の改革を実行しました。
テレビショッピング改革①:見せ方へのこだわり
徹底的に日本式の見せ方を取り入れた。例えば、格安スマートフォンの頑丈さをアピールするために、スマホの上で包丁を扱いヒビが入らない事をアピールしたり、クレーン車でひかせて壊れないことをアピール。また、着痩せをする洋服のビフォー・アフターを示したりしています。
テレビショッピング改革②:多言語対応
インドのテレビショッピングでは日本と同様、コールセンターを用いて受注対応しているが、これまでは1番一般的な言語であるヒンディー語のみでの対応を行っていた。しかし、インドは地方によって、話す言語が異なり、テルグ語やタミル語、カンナダ語やマラティ語など、およそ22の言語があると言われている。
ヒンディー語以外の言語を話す人が全体の4割から5割もいる、という状況を鑑み、ヒンディー語以外の数言語でもコールセンターが対応できるような体制を取った。
また、コールセンターだけではなく、テレビショッピング自体も多言語で放送するなど、受注獲得の為の工夫を行っている。
テレビショッピング改革③:物流センター
基本的に商品は当日出荷するように物流センターを構築している。当日出荷を実現するために、大量在庫を持つようにし、スピード配送できる体制構築を行っている。
クリーンインディアの本丸、トイレのTOTO
インドでは、家にトイレがいない人が4億人ほどいると言われている。また、トイレがないことによる損失は5兆円にものぼるといわれている。これはトイレがない不衛生な環境によって、子どもたちの発達不良や伝染病によって医療費が増大していることに起因する。
こういった状況を鑑み、首相自らがトイレの普及を進めている。事実、首相はこの2年間で約2,000万台のトイレ設置を行っている。
そんなインドに乗り込んだのが、日本のトイレメーカーのTOTOである。TOTOがインドで力を入れるのが、節水便器価格は1台2万から5万と一般的な便器よりも高め。しかし、インドの高級ホテルなどでは、人気を博している。
”超”富裕層を狙ったワコールの戦略
ワコールは、ターゲットを絞りに絞った戦略をインドで取っている。ワコールの販売価格は3,000円から8,000円(インドにおける一般的な下着の価格は300円から1,000円)。
ターゲットは上位5%の超富裕層に限定している。しかし、13億人の人口を抱えるインドにおける上位5%でも6,500万人の巨大市場である。
ワコールだけでなく、海外の有名下着ブランドも次々にインドに進出してきている。
ワコールの場合、高級路線を明確化するために、サービスに日本式を導入している。例えば、インドの一般的な小売店の店員は男性である事が多い。そんな中、ワコールでは、日本と同様に女性店員を置くことで顧客に安心感を与えている。
また、日本での販売と同様、店内での採寸・フィッティングを通して、顧客へのロイヤリティ向上を狙っている。