こんにちは。ひとりで.comです。
2016年10月22日放送の夢職人は「甲州ワインを世界へ 90年目のスタートライン」と題して山梨県甲府市の中央葡萄酒株式会社の特集です。
甲州の葡萄で世界へ挑戦
中央葡萄酒株式会社の基本情報
中央葡萄酒株式会社の基本情報は以下の通りです。
企業名 | 中央葡萄酒株式会社 |
住所 | 山梨県甲州市勝沼町等々力173 |
代表 | 代表取締役社長 三澤 茂計 |
資本金 | 20,000,000円 |
売上 | 5億円 |
事業内容 | 果実酒類、リキュール類の醸造販売 清涼飲料の製造販売 洋酒の輸入販売 |
設立年月日 | 1953年 |
従業員数 | 23名 |
日本のワインへの危機感と海外への進出
以下の図は、国内のワイン出荷数の推移である。
赤い棒グラフの輸入ワインの割合が徐々に伸びているのに対して、緑の棒グラフの国内製造は、ほぼ横ばいの状態が続いている。近年、輸入ワインの人気に押され、日本産のワインの人気が相対的に落ちている事もあり、このままでは、日本のワインの将来が危ぶまれる、と感じた中央葡萄酒の社長三澤氏は本格的に海外展開を模索しようと考えた。
平成21年に「甲州ワイン輸出プロジェクト(KOJ)」を発足し、ロンドンを中心に甲州ワインの情報のプロモーションを開始した。海外の公的(大使館やJETRO等)や商工会議所等も連携し、現地に内通しているコーディネータを通して、その地域に特色や法制度に照らし合わせた手続きを行っていった。
官民一体となった取り組みによって、国際的なワイン認証機関(OIV)に「甲州種」の登録に成功し、その結果、EU向け輸出の基盤を確⽴することができた。
その後の高級日本ワインの開発の結果、同社の 「キュヴェ三澤 明野甲州2013」がロンドンワインコンテスト⾦賞を獲得し、2014年度は同種ワインを含め約2万本の輸出に成功する事となった。
5代目予定の娘、三澤彩奈氏の挑戦
中央葡萄酒株式会社は代々受け継がれてきた葡萄酒を代表とする酒造である。現在は、4代目の三澤茂計氏が陣頭指揮を取っているが、今後、事業継承を考えたときに、娘の三澤彩奈氏が引っ張っていく事になると想定されている。
三澤彩奈氏は1980年生まれで、小さい頃から父親の仕事を見て育った。その経緯もあって、家業を手伝うのも必然的だった。2005年にはボルドー大学ワイン醸造学部を卒業。その後、フランス・ブルゴーニュ地方にて研修、翌年にはフランス栽培醸造上級技術者という資格を取得した。
2007年には、南アフリカ・ステレンボッシュ大学大学院へ留学。世界のトップレベルのワイン醸造の技術を学んだ。
帰国後は、自社の三澤農場、ワイナリーの改革に乗り出した。
その一つが、ぶどうの栽培方法である。一般的にぶどうの栽培方法には”垣根栽培”と”棚栽培”という方法がある。
甲州では、棚栽培が一般的であるが、ヨーロッパ等では垣根栽培が一般的である。
垣根栽培とは、下記のように、地面と垂直に枝葉を伸ばす栽培方法である。
一方棚栽培とは、以下の図のように地面と平行に栽培する方法を指します。
垣根栽培では、棚栽培に比べて一つの木からできるぶどうの数が少なく、日本では気候的にも垣根栽培が難しいと言われています。特に成長期に当たる春から秋にかけて、梅雨になります。ぶどうは湿気に弱く、カビなどが生えやすい果実ですが、垣根栽培だと、どうしても地面からの距離が近くなり、地面から跳ね返った雨粒がぶどうについてしまい、カビなどが生えてしまいます。従って、日本では、棚栽培という方式で、カビなどから守っているのです。
過去、ミサワワイナリーでも垣根栽培によるぶどう栽培を行ったことがあったが、その際はうまくいかなかった。しかし、三澤彩奈氏は、垣根栽培によって、これまでのぶどうをより洗練されたものにできるのではないか…という思いから、再度チャレンジ。3年かけて、垣根栽培によるぶどう栽培に成功しました。
更に垣根栽培では、1本から作られるぶどうが少ない代わりに、ひと房に味が凝縮され、ワイン用のぶどうとして非常に優秀なぶどうができるそうで、今回の垣根栽培の成功によって、より味が凝縮された甲州ワインを作ることに成功した。
こういった取り組みを繰り返しながら、よりよりワインを作り、それを世界に発信していく事で、日本のワインを広めたいと考えている。