こんにちは。ひとりで.comです。
2016年11月10日のカンブリア宮殿は「ついにJAL超え!全日空快進撃の秘密」と題して、全日本空輸(ANA)の特集、全日本空輸社長の篠辺 修(しのべ おさむ)氏が登場します。
後発だからチャレンジできる!全日空を選んでもらうための大胆戦略
今では、日本における大手2社に数えられる全日空だが、元々は小さな会社だった。後発だからこそ、チャレンジできる全日空が仕掛ける大胆戦略について特集する。
【目次】
格安航空LCC「バニラ・エア」で若者客を開拓
バニラ・エアは2013年運行開始の格安航空会社。リゾート向けの格安航空会社として、いま注目を浴びている。
例えば、奄美大島までの航空運賃は
バニラ・エア(成田空港 – 奄美大島) | ¥5,840 – |
日本航空(羽田 – 奄美大島) | ¥13,700 – |
と半額以下に設定されている。
2年前からバニラ・エアが奄美大島に就航してから奄美大島への観光客が増えているという。事実、バニラ・エアは年間10万人を奄美大島に送客しており、その経済効果は42億円と言われている。
そんなバニラ・エアを生み出しのは全日本空輸(ANA)である。そのかいもあって近年、連結売上高でも日本航空(JAL)を引き離している。
航空会社 | 連結売上高 |
全日空 | 1兆7,911億円 |
日本航空 | 1兆3,366億円 |
全日空の電光掲示板の略称はなぜNHなのか?
全日空は今でこそ、日本トップの航空会社であるが、元々は小さな会社であった。その名残が今でも空港の発着便を示す電光掲示板にも残っている。
下記の図は、空港の電光掲示板である。全日空は「NH」という略称で表されている。全日空(ANA)だったら、「ZN」や「AN」などではないのでしょうか…。
もともと、全日空は1953年に営業開始した企業で、農薬散布や資材輸送を主な業務とていた。その企業名は「日本ヘリコプター」である。
日本ヘリコプター…Nippon Helicopter
空港の電光掲示板の「NH」の表示は、この「日本ヘリコプター」という旧社名が由来となっています。その後1958年に、極東航空と合併し、全日本空輸が誕生した。
スターアライアンス・LCCなどへの新たなチャレンジ
1986年、全日空は規制緩和によって国際線のデビューを果たす。それまで、国際線は日本航空(JAL)のみだった。その為、全日空では、国際線でのオペレーション方法がわからずにいた。やはり、日本航空と比較しても国際線への乗客数は少なく、1便単位で考えると、どうしても座席が埋まらずにROIが悪い、という状態が起こっていた。
そこで、全日空は日本航空に先駆けて1999年、共同運航便のスターアライアンスに加盟した。共同運航便とは、「コードシェア便」とも呼ばれ、海外の航空会社とグループを組むことを指す。
コードシェア便(コードシェアびん、英: Code sharing)とは、一つの定期航空便に複数の航空会社の便名を付与して運航される便を指す。共同運航便とも呼ばれる。「共同」という名目ではあるが、一部の例外を除いて運航面での協力は行われず、事実上は1つの便を複数の航空会社が販売している形態と言っても差し障りない。
出典:Wikipedia
共同運航便という仕組みを作っている。飛行機に載っている際「この飛行機は◯◯との共同運航便(コードシェア便)です」というアナウンスを聞いたことある方も多いかと思います。
アライアンス名 | 加盟社数 | 就航国・地域 |
スターアライアンス(ANA加盟) | 28社 | 190 |
スカイチーム | 20社 | 177 |
ワンワールド(JAL加盟) | 15社 | 159 |
2000年代になるとLCCが数多く台頭してきた。
2011年日本初のLCC「ピーチ・アビエーション」を設立。篠辺氏は日本のLCCの生みの親でもある。
2013年にはバニラ・エアを就航させる。リゾート地を中心に就航便数を増やし、若者を中心に新たな年代の獲得に繋がった。それによって、2015年に国際運行客数を日本航空を超えるに至った。
乗り継ぎの早さで勝負!成田空港のオペレーション
近年、成田空港を経由してアジア・北米へ移動する人が増えているという。その秘密は、成田空港における全日空のオペレーションが起因している。
全日空は、アジア・北米間の乗継便に着目し、
- 朝のうちに北米を出発すると夜にはアジア各地に到着
- 朝アジア各地を出ると、その日のうちに北米に到着
こういった成田空港発着便を14時から18時の間に集中させている(全体の7割)。このようにトランジットの時間を短縮させることによって、成田経由で北米からアジア、アジアから北米に行くのに利用する事を促進させている。
この仕組みを実現させているのが、成田空港にある
ジョイントオペレーションセンター
という仕組みである。このジョイントオペレーションセンターで各便の運行状況や荷物の情報などを一元管理している。
例えば通常、トランジットに30分以上空かないと次の便に振り返る…という事を行っている。全日空でも基本的にはそのような方針でトランジットを行っているが、便の遅延等によってトランジットが30分以内になった場合でも、極力30分以内にトランジットが完了するようにオペレーションを回している。
こうした努力をきっかけに乗り継ぎ客は3年前から8割も増えている。
篠辺氏は言う。
「海外のお客さんにANAを選んでもらうには、このトランジット(乗り継ぎ)の対応が重要である。基本的に、自分の国の航空会社を人は使いたがる。アメリカだったらアメリカの航空会社。日本人だったら日本の航空会社。しかし、もしそれ以外だったらどこが良いか…ここが勝負の分かれ目になる」
日本国内を見渡せば、トップの航空会社かもしれない。しかしながら、これから日本国内は人口も減っていく。そうなった時に、世界で選ばれる航空会社にならなければならない。世界を見渡した際に全日空はトップ10にも入っていない…これでは世界から選ばれるはずがない…ここにチャレンジしていくためには一体何ができるのか。
ここに着目して、今後も全日空はチャレンジを続けていくだろう。