[ガイアの夜明け]新時代を行く!「企業城下町」”焼き鳥”で世界へ挑戦 – 2016年11月29日 –

ガイアの夜明け
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こんにちは。ひとりで.comです。

2016年11月29日のガイアの夜明けは「新時代を行く!「企業城下町」」と題して下請け企業として高い技術を磨いてきた町工場の企業を特集します。

 

大手企業と一体となって高い技術力を持った下請け町工場の新たな挑戦

 

 

企業城下町の発展

「企業城下町」という言葉をご存知だろうか?一般的には以下の意味を表す。

企業城下町

企業城下町(きぎょうじょうかまち)とは、特定の一社の企業の事業所や工場及び関連会社の工場や下請け子会社などが一自治体における産業の大部分を占め、その企業によって住民が主たる労働機会を与えられることで、その企業の盛衰が都市の盛衰に直結するような都市を指す言葉。一般的な俗語と思われがちだが、経済学や地理学でも一般に用いられる学術的な専門用語でもある。

出典:Wikipedia

 

特に高度経済成長期に、全国の大手企業の下請け企業が集まって発展した企業城下町。町に対するその影響は大きく、町の名前を変えるほどであった。

 

例えば、1番有名なのが、トヨタ自動車がある愛知県豊田市。元々は挙母市という名前だった町が1959年は挙母市(ころもし)という名前から「豊田市」に変更した。もちろん、市の名前を変更したのは「クルマのまち」として発展した事が大きかった。

 

北海道旭川市もその1つ。旭川市にはパルプ町という町がある。ここは、日本製紙の企業城下町である。その他にも群馬県の太田市にはスバル町という町があり、ここは富士重工の工場がある。そして、山口県の山陽小田市。ここにはセメント町、化学工場からとった火薬町硫酸町といった名前の町まである。

 

ガイアの夜明け セメント町
ガイアの夜明け セメント町

 

このように、企業城下町はその地域の名前を変えてしまうほどの影響力を持っていた。それが日本企業の業績不振や海外への生産拠点移転などによって、どんどん縮小の一途を辿っている。

 

 

ここからは2つの城下町を通して、もう少し具体的に見ていくことにしよう。

 

 

パナソニックの城下町:大阪府門真市

大阪府門真市。ここに本社を置くのがパナソニックである。門真市はパナソニックの企業城下町である。現在その町並みを歩いてみると、シャッターをおろしている店が目立つ。

昭和40年代、パナソニックの生産拡大とともに町の工場にはたくさんの作業員の人がいた。その人々が着用するエプロンが飛ぶように売れていたという。全盛期はエプロンだけで1ヶ月100万も売上があったという。

町にはそれ以外にも「ナショナル」と銘打った看板が目立つ。なんと、銭湯にも「ナショナル」の文字が…。御存知の通り「ナショナル」は松下電器の旧ブランド名。今はパナソニックというブランド名に統一されてしまったが、当時はナショナルブランドの認知度が高かった。この「ナショナル」と銘打った銭湯…実は松下電器(パナソニック)とは一切資本関係などの関連はないという。

ナショナルをつければ人が来る…とまで影響が大きかった当時。工場勤務終わりの人々が1日1,000人ほど銭湯に訪れ、ご飯を食べる暇もなかったという。しかしながら現在では、当時7つあったナショナルの看板を持つ銭湯も今では2つになってしまったという。

 

 

 

 

淀川製作所。大阪府門真市周辺にある町工場である。創業は1961年、従業員は16名である。金属の加工を得意として松下電器の試作品をメインに作ってきた。町工場には、パナソニックの創業者、松下幸之助氏の格言が掲げられている。

松下幸之助氏も企業城下町の町工場の活躍ぶりを賞賛しており、彼らとともに自分たちの会社が成長してきた事を訴えていた。彼が大事にしていた考えが「共存共栄」である。今でも町工場の人々にはこのスピリットが根付いているという。

松下幸之助氏は「協栄会」という組織を作りあげた。松下電器と取引のある技術力の高い会社・工場で構成される組織だったが、近年、事業の海外移転が進み、町工場との取引が減少。協栄会は4年前に解散してしまった。

 

 

 

三菱自動車の企業城下町:岡山県倉敷市

岡山県倉敷市。ここは、三菱自動車の城下町である。三菱自動車のメイン工場である水島向上がある。倉敷市役所では200台以上ある公用車の8割が三菱自動車製であるという。

皆さんにとっても記憶に新しいと思われるが、2016年4月、三菱自動車の不正燃費問題が明るみになった。問題となった軽自動車4車種全てが倉敷市の水島工場で作られていた。

 

ガイアの夜明け 三菱自動車 カルロス・ゴーン
ガイアの夜明け 三菱自動車 カルロス・ゴーン

 

三菱自動車の不正問題を受けて、2016年10月、日産自動車三菱自動車に対して2,370億円を出資し、発行済み株式の34%を握って筆頭株主となった。事実上の子会社化だ。

 

 

 

倉敷市にある有限会社中山鉄工所。1945年創業、従業員25名で三菱自動車の一次下請けを祖父の代から代々行ってきた町工場である。

中山鉄工所では自動車の試作品の金型をメインに取り扱っている。三菱自動車の不正発覚後、発注が激減。これまでの2割程度まで落ち込んでしまった。これまでと同じことをしていては生き残れないという決意とともに、三菱自動車以外の仕事も取りに行こうと、2,000万の研磨機を新たに導入した。

そんな中、2016年11月、三菱自動車から試作部品の発注があった。しかし、今回の発注はこれまでよりも高い技術を求められるものだった。これまでひとつの素材から6つの金型を製作していたが、それを今回は8つにしてくれ…という内容だった。このように既に三菱自動車の生産性向上が求められ始めており、これをクリアしていかなければ、次の仕事は保証されない。

 

 

 

 

日立製作所の下請け10社GILTで世界への挑戦

茨城県ひたちなか市。ここは日立製作所の企業城下町である。ここにある株式会社エムテック

1949年の創業から日立製作所の下請けとして産業用の精密部品の製造を手がけている。従業員は30名ほどである。

他の企業城下町と同様、日立製作所の製造拠点の海外移転等に伴い、下請けとしての仕事は減少の一途を辿っている。

事実、日立製作所の営業利益は近年増加しているのだが、ひたちなか市の製造業の企業数はピーク時と比較して半分以下まで減っており、人口も減少している。

 

株式会社エムテックの松木社長は、日立製作所の下請け企業10社を集めて、GLITという団体を結成した。GLITとは、Guild for Leading Innovative Technorogyの略で革新的な技術でリードする団体という意味である。

 

GLITに依頼があったのは、茨城県水戸市にある介護施設。ベッドの上に赤外線カメラが取り付けられている。これによって、介護者の状況が常に把握でき、それによって介護職人の負担が減る、という仕組みである。この「病床見守りシステム ペイシェントウォッチャー」(下記参照)を開発したのがアルコ・イーエックスという会社。

 

ガイアの夜明け アルコ・イーエックス
ガイアの夜明け アルコ・イーエックス

 

これの改良を株式会社エムテックは依頼された。もう少し高度な情報を取得して家族に知らせるなどのことがしたいという要望だった。

 

上記アルコ・イーエックス社の「病床見守りシステム ペイシェントウォッチャー」の改良については、

3社がタッグを組んで、それぞれの得意分野の技術を集結することにより、これまでは実現不可能だった新たな分野に進出していこうとしている。

 

 

 

 

 

 

 

GILTによる世界への挑戦

隠れたチャンピオン…という言葉をご存知でしょうか?

 

隠れたチャンピオン

隠れたチャンピオン企業とは、世界市場において業種上位3位以内、またはその企業が位置している大陸のトップであり、収益は50億ドル以下、一般にはほとんど無名な企業を指す。

出典:独立行政法人経済産業研究所

 

世界の隠れたチャンピオン企業

ドイツ 1,307社
アメリカ 366社
日本 220社

 

ドイツは隠れたチャンピオンと呼ばれる高い技術力を持つ企業が多く存在する。株式会社エムテックの松木社長は、GLITの世界展開を見据えてドイツ南部のシュトゥットガルトに訪れていた。ここは自動車産業の企業城下町である。

 

訪れたのはツェルトワンガー社。創業2003年従業員60名の会社。自動車部品に欠かせない検査部品でトップクラスの技術を持つ会社である。松木氏は、ドイツの隠れたチャンピオンと組んで世界に打って出たいと考えて、日本のGLITの技術の売り込みに来ていた。

ドイツではGLITのように、異なる企業が集結してビジネスを行うというのは一般的に行われている事のようで、その仲間たちにもGLITの活動、彼らの技術力を伝えてくれる、という話になった。

 

 

 

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世界最大級の技術の展示会エレクトロニカ2016へ”焼き鳥”を展示

ドイツ・ミュンヘン。ここで毎年行われているエレクトロニカ2016(electronica 2016)。世界の最新技術の展示会であり、電子部品や半導体など世界各国50カ国以上、2,913社が出展するイベントである。ここでGLITのブースを構えた。世界に向け自分たちの技術をアピールしようというのである。

そこで出展したのが、”焼き鳥”である。

 

ガイアの夜明け GLIT 焼き鳥
ガイアの夜明け GLIT 焼き鳥

 

かっぱ橋で見つけた食品サンプルをヒントにGLITの各社が切削加工の技術を応用して作った模倣品である。プラスチックや鉛など、それぞれの得意分野の素材を細かく削り出し”焼き鳥”の形に仕上げている。日本食としての”焼き鳥”をモチーフに複雑な加工技術をアピールする洒落のきいた展示物である。

来場者からの反応も上々で、展示会にて約30社と連絡先を交換した。

 

 

 

 

競争相手が国外に広がる中変化が求められている。

高い技術力を活かすことができれば、チャンスをつかめるのではないか。