こんにちは。ひとりで.comです。
2016年12月8日放送のカンブリア宮殿は「八海山が驚きの新展開! 苦境の日本酒メーカー復活の舞台裏」と題して、八海醸造の南雲 二郎(なぐも じろう)氏が登場します。
八海山の八海醸造、目指す「飲みたい時に飲める日本酒」
八海醸造の基本情報
日本酒の八海山を醸造する八海醸造の基本情報は以下の通り。
企業名 | 八海醸造株式会社 |
住所 | 新潟県南魚沼市長森1051番地 |
代表 | 代表取締役 南雲二郎 |
資本金 | 1,000万 |
売上 | 55億円(グループの株式会社八海山は78億円) / 平成27年8月期 |
設立 | 大正11年 |
従業員数 | 107名 |
事業内容 | 清酒製造業 清酒「八海山」、焼酎製造 焼酎「宜有千萬」、 梅酒製造、八海山泉ビールの醸造 |
※八海山は八海醸造株式会社と株式会社八海山を併せた八海醸造グループとして話されることが多い。
どこにでもある八海山が料理と相性抜群
八海山はどんな料理とでも相性抜群。特にこの時期は鍋との相性が良い。料理との相性を考えて、八海山を提供している店がたくさんある。そんな中でも人気が高いのは以下の2店。
東京都豊島区:銘酒処 串駒
食べログでもTop5,000のお店に入る「銘酒処 串駒」。予約は1ヶ月待ちは当たり前の人気店。お客さんの目当てはこだわりの鍋料理。能登の魚醤「いしり」を使った鍋が絶品だそうだ。そして鍋とともにこだわっているのが日本酒。特に八海山は料理との相性が抜群でよく飲まれるそうだ。
東京都品川区中延:ちゃんこ晴海
こちらも食べログでの得点は3.5を超える、連日満員の客を呼び寄せる。このちゃんこ晴海で人気なのがみそちゃんこ鍋。赤味噌と白味噌を併せ、鶏ガラのスープで作ったちゃんこ鍋は驚くほど優しいちゃんこである。このちゃんこ鍋とあう日本酒があうのが、「八海山」なのである。
八海山の生みの親、八海醸造の本社は新潟県南魚沼市。南魚沼市は高齢化が進み、過疎化が進んでいるが、そこに全国からお客さんが集まるスポットができた。それが、魚沼の里である。関東からも大勢が詰めかけるこの里には、絶品の味がたくさんある。
食堂やベーカリー、蕎麦屋やスイーツの店など合計13の施設がある。
八海醸造は1980年代地酒ブームを牽引した。淡麗辛口で定番の日本酒を作り続けている。縮小を続ける日本酒市場の中での八海山の売上は真逆の伸び率を見せている。
南魚沼市の八海山の山嶺からアルカリ分の少ない軟水をひき、米を洗うところから八海山の日本酒づくりが始まる。わずかな温度変化に対応するため、泊まり込みで対応する事もあるという。
そこでできた米麹を40日以上かけて発酵させる。こういった日本酒づくりのノウハウが業績に結びついている。
八海山が作るあまさけ?塩麹?
上記の「麹だけで作ったあまさけ」という商品をご存知だろうか? これも八海醸造が作った
商品である。これが驚くほど売れている。酒を作る前の麹で作っていることが特徴で、米麹だけで作っているため、砂糖を一切使っていない。これが売れている要因である。
現在、フル稼働でも生産が追いつかず、2017年6月に甘酒専用の新工場を稼働予定である
こうした大ヒットを支えるのが日本酒づくりの技術力である。
それだけでなく、今、八海醸造が店舗を増やしているのが「千年こうじや」である。千年こうじやでは、にしんの麹づけや塩麹だれ、塩麹づけもち豚など、八海山の麹・発酵技術を生かした商品を販売している。
上質な麹が様々な料理の味を引き出してくれる。上記のようなものだけでなく、酒かすで作ったヨーグルトや酒かすを使った酒の箕バウムクーヘンというスイーツも人気である。
今では売上の2割を清酒以外で支えているという。
日本酒の醸造工程でさまざまなものが出てくる。そういった技術を活用して新たな商品を生み出していこうというのが八海醸造の戦略である。
また、商品を販売するだけでなく、セミナーなども開催して、八海醸造が提供する麹などを活用した簡単なレシピを紹介するセミナーを東京で年150回ほど開催している。
八海醸造が目指す日本酒像
八海醸造の南雲二郎氏が目指す日本酒は
「飲んだ気がしないでいつの間にか飲んでしまう」
が理想の日本酒像である。
昨今の日本酒ブームにおいて、いかに日本酒としての特徴・独自性を出すか…という事に注力している日本酒が多い。
例えば、米の精米を極限まで行い、精米歩合を2割のが特徴である獺祭。または、反対に若駒という日本酒は獺祭とは真逆でほとんど精米せず、精米歩合は80%。甘みのある濃厚な日本酒を作った。若駒は昨今注目されている日本酒で、栃木県にある若駒酒造が製造している。
それに対して八海山は敢えて個性を抑えた米。精米歩合は60%。発酵過程も長期的に低温で行うことで複雑な味わいが出るのを抑えている。
狙いは食中酒。気づかないうちに飲んでしまうものを食中酒。個性の強いお酒で支持を得るのではなく、食事と楽しむことができるお酒で親しんでもらう、ということを目指している。
手頃に飲める日本酒としての八海山
昨今、生産が追いつかなくなっており、日本酒の価格が高騰している。例えば、獺祭などは価格が3倍に高騰していたりもする。しかし、八海山は人気にもかかわらずお値打価格である。
人気でも価格を高騰させない…その理由は八海醸造の歴史に深い関係がある。八海醸造は1922年南雲浩一氏(祖父)が創業。地元客に好かれる醸造として発展してきた。1980年代の地酒ブームの際に見た居酒屋での値段が1合「1,300円」だった。
そこまで高くなっている理由を聞くと「品薄で買えなかった。月に3本しか買えなかった」、ltおいう。
本来、普通に飲みたい時に飲めるお酒を目指しているのに、それができなくなっている、これは問題だ、ということで八海山の大量生産に踏み切る。
コンセプトは大量生産でも味を変えないこと
である。かつて職人が手作業で行っていたものを機械で置き換えることに成功した。
人間がやることに意味があるのではなく、結果に意味がある。その工程の中でどこを人間がやるのか、機械がやるのかはどういう結果が出るのかを考えた上で機械化の判断をする。そうすることでハイテクと職人技のハイブリッドが組み合わさって良い品質の日本酒を生み出している。事実、麹造りはほとんど手作業で今でも製造されている。これができるのが八海醸造の強み。
八海山驚きの地元戦略
八海醸造では魚沼をより多くの人に知ってもらうための施策を様々考えてきた。より魚沼を知ってもらう為に雑誌まで発行している。2003年の創刊から13年を迎える季刊誌「魚沼へ」。
年4回の発行で、取り上げるのは魚沼で普通に暮らしてきた人々。魚沼を支えてきた普通の人々を撮り続けてきた。
この雑誌は東京の店舗にも置いている。そんな地道な活動が口コミで広がり、魚沼の里の賑わいにもつながっている。
その理由について、南雲二郎氏は
「日本酒メーカーは地域性が高い。飲んだ時にその場所を考えてもらえる。それをきっかけにその場所に足を運んでもらう、その地域に来てもらうこととして、結果として地域が賑わう。それを目指している。地域貢献をしなければ会社の発展はない。」
と発言している。
八海醸造では、毎年”売らない八海山”を毎年1月に作っている。全ての工程において手作りで職人の究極技で八海山を作るのである。すなわち、その時点での最高品質の八海山である。この八海山を作る事によって、この最高品質を目指して、どこまで機械化できるか、どこは譲れないかを判断できるという。