こんにちは。ひとりで.comです。
2017年1月16日放送の未来世紀ジパングは「“トランプ政権”誕生目前! メキシコが大ピンチ」と題してメキシコの今とそれに揺れ動かされる日本企業を追う。
トランプ大統領の誕生目前でメキシコが大きく動き始めている
【目次】
トランプ氏の発言に揺れるメキシコ
メキシコの忘年会を覗いてみると…日本のスイカ割りの要領で、トランプ次期大統領に模した人形を吊し上げ、家族総出で叩いている。そして人形が割れると中からお菓子や果物などが出てくる…実はこれ、ピニャータと呼ばれるメキシコ伝統のくす玉人形である。
いま、メキシコ全土でトランプ人形が大ヒット。1体約2,500円ほどで売られている。彼らの怒りを買ったきっかけはトランプ氏の以下のような発言。
メキシコ人は麻薬や犯罪をもたらす…レイプ魔もいるぞ。
メキシコとの国境に壁を作れ!
また、トランプ氏の発言は日本企業についても言及。
Toyota Motor said will build a new plant in Baja, Mexico, to build Corolla cars for U.S. NO WAY! Build plant in U.S. or pay big border tax.
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2017年1月5日
トヨタ自動車がアメリカ向けのカローラを作るために、メキシコに工場を建てると言った。アメリカに工場を建てないなら高い関税を払わせるぞ!
メキシコ北西部のティファナという街。アメリカとの国境に位置するこの街を見てみると…アメリカとの国境に約3メートルの鉄の壁が設置されている。また50メートル間隔で防犯カメラが設置されており、国境警備隊が24時間体制で警備に当たっている。
壁があるのに、なぜトランプ氏は「壁を作る」と発言しているのだろうか…。
実は…壁の下をよく見ると…おとなひとりが通れる抜け穴が掘られていた。また別のところには大胆にもくり抜かれた跡がある…こうした抜け穴を通ってメキシコからアメリカへの不法移民は年間19万人にものぼるという。
国境付近で不法入国を斡旋するコヨーテ
国境の街である変化が起きていた。最近、この街にやってくる人が急激に増えているという。彼らが泊まる安宿を尋ねてみると…彼らはみな、不法入国予備軍だと言う。トランプ氏の就任によって、不法入国への規制が厳しくなるのを恐れ、この時期を逃すまいと集まっているという。
ここでは、「コヨーテ」と呼ばれる人たちに2,000ドル(約23万円)を渡し賃として払い、コヨーテの指示に従って、移動していくという。コヨーテとは不法入国を手引する犯罪組織である。彼らは国境付近で待機し、霧が深くなって、監視カメラからも見えなくなる機会を狙って指示を行う。
なぜメキシコ警察はなぜ摘発しないのか…実はコヨーテはマフィアとも繋がっていて警察も下手に手出しができないという。
【不法入国料金表】
コヨーテが同行 | 約230万円 |
徒歩で山越え | 約35万円 |
船で海を渡る | 約115万円 |
車で入国 | 約175万円 |
アメリカ側の国境はどうなっているのか?
アリゾナ州のアリヴァカの国境は…なんと有刺鉄線4本の誰でも越えられてしまうような国境しかない。実はメキシコとの国境の半分以上はこうした無計画な国境となっているという。
不法侵入者だけでなく、麻薬の運び屋も多く侵入してくるという。コヨーテに頼んで不法入国する際に、麻薬を運ぶように依頼されることもあるという。時には山火事を起こして国境警備隊の目を背ける行動を起こしたりする。
国境付近に住む人々は、こうしたリスクを抱えながら日々生活しているため、国境付近の州の人々の支持をトランプ氏は得票できたと言われている。
国際政治学者の三浦氏は、
「これまで比較的貧困層だけの問題だった麻薬の問題が、職を失った若者層にも広がりつつあり、それをアメリカ全土の問題として捉えているのではないかと考えることもできる」
という。
また、国境の壁の費用をメキシコに払わせるという理論についても
「NAFTAを人質に取ることによってこれまで当たり前だった経済関係をやめるよ、その見返りとして壁の費用を払ってと交渉するかもしれない」
とも考えられるという。
※NAFTA(北米自由貿易協定)
1992年、アメリカ・メキシコ・カナダで調印され、1994年に発効。関税がゼロになることなどからメキシコ発展の起爆剤となった。
アメリカへ正規に渡ったメキシコ人たち
アメリカ、カリフォルニア州ペンチュラにあるリモネイラ社。生産しているのはレモン。日本にも出荷されている。広大な広い畑は東京ドーム1,000個分の広さ。ここで働く人々の8割はメキシコ人だという。合法的にビザを取得した移民たちである。
実はこの農園、深刻な人手不足に陥っているという。2015年は熟しすぎたレモンを適切に収穫できずに約2億円の損失を被ったという。
更に移民に来てもらえるように75戸の社宅を作ったり、子供のための施設を作ったりしても人が足りないという。
実は、サービスや農業などの体力を使う職業はいま人手不足なのだという。
トランプ氏のアメリカの雇用を守る作戦?
2016年12月、インディアナ州のある工場をトランプ氏は訪れた。そこは、世界最大規模の空調機器メーカーのキヤリア社である。キヤリア社はアメリカの工場を閉鎖し、2017年3月にメキシコへの移転を計画していた。しかし、トランプ氏はキヤリア社に乗り込み、メキシコ移転を阻止した。それによって、1,000人ものアメリカ国内の労働者を守ったことになる。
では、移転する予定だった場所はどうなっているのだろうか。メキシコのサンタカタリーナ。ここがキヤリア社が移転する予定だった場所である。
すると…そこでは、1,000人以上が働いているという。メキシコ移転を中止させたはずなのだが、一体どういう事なのだろうか…。
サンタカタリーナの市長によると…
「予定通り3月から工場稼働が始まる」
という。
なんと…アメリカの工場とメキシコの工場、両方を動かすという。そしれそれによって8億円の減税を約束してもらったという。
メキシコで人気のマルちゃんブランド
東洋水産のカップ麺ブランド「マルちゃん」。メキシコ国内で9割のシェアを誇るまさに国民食である。その食べ方は日本とは一味ちがう。最初にレモンをひと絞り、そしてそこに大量のチリソースを入れる…それがメキシコでの一般的な食べ方であるという。
どうして、マルちゃんがメキシコでシェア9割を誇るほど人気なのか…その理由が価格である。1食約40円で売られている。
メキシコの元祖国民食が1皿約150円で売られているのに対し、マルちゃんは約40円。国民食が価格によって取って代わったというわけである。マルちゃんはアメリカの工場で作られ、メキシコに輸出されている。1980年台後半にマルちゃんはメキシコに広まった。徹底したコスト削減で低価格を実現したという。
そのマルちゃんにも火の粉が降りかかろうとしているという。
もしNAFTA(北米自由貿易協定)が廃止されると関税が復活してしまい、価格を上げざるを得なくなってしまう。現地の責任者も今後どうなっていくのか注目しているという。
マルちゃんはメキシコでは「マルチャネール」という単語にもなっているぐらい有名だという。