[カンブリア宮殿]自宅で安心して最期を… 板橋発!若き在宅医の挑戦 – 2017年1月26日 –

カンブリア宮殿
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こんにちは。ひとりで.comです。

2017年1月26日放送のカンブリア宮殿は「自宅で安心して最期を…板橋発!若き在宅医の挑戦」と題して、東京都板橋区のやまと診療所 安井 佑院長を特集します。

 

人生最期の瞬間を家族と過ごす、在宅医療の今

 

やまと診療所の考え方

かつて東洋一のマンモス団地と言われた東京都板橋区の高島平団地。いまや65歳以上の高齢者が占める割合は約42%となっており、全国平均の約27%を大きく上回る状況となっている。

そんな高島平に話題の店があるという。「認知症カフェ」。認知症カフェとは一般の人に開放し、認知症の人やその家族が集う場で専門スタッフが悩み相談に対応する場所である。

認知症カフェ「ゆずり葉」は週に1回開催しており、悩み相談を行っており、飲み物代は無料となっている。認知症カフェは現在、東京都板橋区内だけで18ヶ所あり、全国には約600ヶ所以上存在する。

 

 

「人生の最期をどこで迎えたいですか?」

 

そんな質問に対して多くの人が「自宅」と答える。実際のアンケート調査でも「自宅で最期を迎えたい」という人が7割にのぼる。しかし、様々な理由で実際に自宅で最期を迎える人は1割しかいないという。

 

そんな中、自宅で最期を迎えられるように在宅医療を後押しする診療所が東京都板橋区にある。それが「やまと診療所」である。2013年に開業、常勤医師4名を含むスタッフ26人で構成されている。平均年齢は29歳。

 

やまと診療所はいわゆる「看取り」に力を入れている。末期がんなどで遠からず亡くなる人に対して自宅で自分らしく最期を迎えるための後押しをしている。診療は月額上限1万2,000円。

 

在宅医療のポイントは家族へのケア。最期を一緒に看取る家族の疑問には的確に答え、安心を与える。終末期の医療は痛みを和らげることと、体調管理を行うことが重要。

やまと診療所の患者は300人あまり。やまと診療所の患者の半数が末期がん。症状に併せて薬の量も調整も行う。

 

 

 

1980年、東京都板橋区にてサラリーマンの家庭に生まれた安井氏。父親の海外赴任で小さい頃はアメリカやイギリスで過ごした。だが、高校の時に父親が末期の癌と宣告された。急いで帰国し治療に当たったが、がんの宣告から3ヶ月で死去。その時、父親と関われなくて悔しかった思いを今でも”宿題”として解決しようとしている。1999年、父親の死を機に医師を志し、東京大学医学部へ進学。2007年、国際医療チームの一員としてミャンマーに渡った。医師のいない村であらゆる症状の患者の対応を行った。

2009年に帰国し、都内の大学病院に勤務。しかし、そこで何もかも管理された状態で最期を迎える医療に疑問を抱くようになった。患者と家族が望む最期を届けたい…そういう思いでやまと診療所を立ち上げた。

 

 

安井氏は

 

自分らしく死ぬ…というのは一言で言うと「家で死のう」ということ。自宅にいれば、自分らしくいられない、という方が難しい、自宅だと自分らしくいざるを得ない。病院はなぜダメなのかというと、朝6時に起こされ、8時になると食べたくもない食事を食べ、その後看護師さんにどのくらい食べたのかを確認される、家にいれば朝10時まで寝ていられるし、食べたい時に食べたい食事ができる、わがままのように聞こえるかもしれないが、生きていく意味では当たり前の選択である

 

という。

満足、後悔という感情は死への時間を共有したということ

なのである。

 

今から60年前は、約8割の人が自宅でなくなっていた。それが1970年代に逆転し、今では1割り程度となっている。

 

世界的に見ても、日本の病床数、平均在院数はすごく長い。すなわち、「病院にいれば安心だ」という文化がこの50年で醸成されてしまったのかもしれない。従って、やまと診療所では、(押し付けはできないが)ご本人にとってこういう終わり方が良いのではないか、ご家族にとってもこういう形なら支え合えるのではないか、という提案を積極的に行っているという。

 

 

 

在宅医療PAとは?

 

 

宮城県北部に位置する登米市。この日向かったのは「株式会社登米コミュニティエフエム」。登米市民の8割が聞くという人気ラジオである。実は安井氏、3年前からラジオのパーソナリティをつとめている。

 

2011年の東日本大震災後、安井氏は被災地で医療ボランティアとして被災地支援を行っていた。元々医療従事者も少なく、疲弊している状況で今も引き続き支援をしているという。その縁で登米市でラジオのパーソナリティを受け持つことになった。

2030年問題。現在65歳以上の高齢者の割合は約4人にひとりとなっているが、2030年になると約3人にひとりになると言われている。これによって、2030年には約47万人が”看取り難民”になる可能性がある。その難題に立ち向かっているのがやまと診療所である。やまと診療所では看取りの件数を年々増やしており、2013年には48件だったのが、2016年には136件と3倍まで増やしている。その背景にはやまと診療所の画期的なシステムがある。

 

PAとはPhysician Assistant(医療アシスタント)の略である。安井氏は看取りのプロフェッショナルと位置づける。

 

通常の在宅医療は医師1人か医師と看護師の2名体制であるが、やまと診療所では医師1人とPA2名の3名体制を敷いている。PAは看護師の資格がなくてもできるカルテの記入などを行う。また医師が家族と話している間は、患者の体調管理を行っている。

 

PAの主な仕事は、血圧・脈拍・血中酸素濃度などの測定、医療器具の準備やカルテの記入などを行う。こうすることで医師は診察に専念でき、滞在時間も減らす事ができる。しかし、それ以上に大事な役割がある。患者の意志を汲み取った治療を行うコーディネータとしての役割である。

 

終末医療の場合、医師や看護師、ケアマネージャーなどがそれぞれ別々に患者やその家族と状況の共有などをヒアリングするが、やまと診療所の場合は、PAがそのハブになって医師や看護師、ケアマネージャーとやり取りを行う。患者とその家族からすると、何度も同じことを説明しなくても良いし、何かあればPAに相談できる状況が作れるため負担も少なくて済む。

 

 

 

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経験職歴は問わない、驚きのPAの育成術

 

不動産関係の仕事、観賞魚専門のペットショップ店員などPAを志望する人を受け入れるにあたって、経験や職歴は問わないのがやまと診療所の特徴。やまと診療所では、PAを育成するにあたって、3年間の教育・現場訓練カリキュラムが用意されている。

 

在宅医療PAへの道①:医療知識の徹底習得

PAは医師や看護師の資格がないため、医療行為はできない。しかし器具の準備はできるためその知識を徹底的に叩き込む。カテーテルや点滴器具、人工呼吸器など300種類以上の医療器具の準備作業を学ぶ。週1回は医師による講義も行う。また、各症状と処置方法、薬剤の知識全般、保険や診療報酬の仕組み、介護の知識なども身につける。

 

 

在宅医療PAへの道②:コミュニケーションを武器に!

患者と心を通わせるには、コミュニケーションの力が不可欠である。外部から話し方の講師を招き徹底指導を行う。やまと診療所では、PAに最も必要なのはコミュニケーション能力だと位置づけている。

 

 

在宅医療PAへの道③:とにかく現場へ!

新人PAは先輩PAについて現場のいろはを学び、医師の仕事のサポートを現場で学ぶ。そうすることで実際に現場に起きる事を体で学ぶ事ができる。