こんにちは。ひとりで.comです。
2017年1月31日放送のガイアの夜明けは「家電で”究極の味”をつくる!~新たな炊飯器・コーヒーメーカー~」と題して
東京都二子玉川。駅に直結したショッピングモール内にある蔦屋家電。機能性やデザイン性を重視した選りすぐった商品だけを取り扱っている。
その中でも大ヒットしたの商品のひとつがバルミューダのスチームオーブントースター。水を入れ水蒸気を発生させて焼くというこれまでにない発想の商品。ふっくら焼けるのが特徴でこれまで20万台を販売してきた。
バルミューダはこれまで、スチームオーブントースターだけでなく、様々な特徴の商品を開発している。2010年に発売したグリーンファンジャパンという扇風機。他の扇風機との一番の違いは羽にある。羽が二重構造になっており、内側からはゆっくりとした風、外側からは速い風が吹く形状になっており、自然界の風が吹くような構造になっている。
また、レインという加湿器。通常加湿器は、水のタンクを取り出して、そこに水を入れて加湿器にセットするという形だが、レインの場合は、ツボのような形をしており、そのまま水をいれることができる。
デザインにはかなりこだわっており、派手ではいけないし、必要以上にかっこよくてもいけない。あくまでも使う道具なので、目立ってもいけない。従って、白や黒といったモノトーンのデザインを心がけているという。
そして、最近開発した新製品が「BALMUDA The Gohan」という炊飯器である。
昔の炊飯器、懐かしさを意識したデザインに仕上げている。今までになかったという炊飯器はいったいどんな特徴があるのだろうか…。
この新しい炊飯器の開発を任された唐澤氏。普段はソフトウェア開発を行うエンジニアをしているという。炊飯器の開発にあたって、あらゆる方法を考え試してみたという。例えば、鍋の上側からヒーターで熱を加えてお米を炊く方法。結果、この方法でお米を炊く事はできなかった。そして臭いがついてしまったという。次に考えたのが、電気ケトルで炊く方法。いま巷の炊飯器が謳っている文句が「大火力」である、というところからヒントを得て、火力がおいしいお米に結びつくのであれば電気ケトルが良いだろう、ということで電気ケトルでお米を炊いてみた。しかし、下は焦げてしまい、上は炊けていないという状況になってしまった。
そこでたどり着いたのが、水蒸気で蒸して炊くという方法。今までの常識とは全く違う方法。大手家電メーカーがこれまで取ってこなかった手法で果たして通用するのでしょうか?社内の試食会ではまずまずの評価。
そこから更においしくするのはどうすれば良いか…辿り着いた結論は、温度設定。この温度の微調整でおいしさが変わる事に気づいた。そこからは内釜・外構あらゆるところに温度センサーをつけてその温度変化を探っていきます。
多いときで月300回もお米を炊いたと言います。
そして…ついに一番おいしい温度設定を探り当てた。一般的な炊飯器は炊きはじめから約20分で温度が急上昇し30分ほどで100度に到達。40分ころには100度を上回る温度で炊き、ご飯ができあがる。一方バルミューダの炊飯器は、炊きはじめから約30分で温度が一気に上昇し、炊き終わりまで100度を越えない設定にした。
更に、普通の炊飯器には当たり前の「保温」機能を取り除いた。
その後、唐澤氏は台湾・台中市へ向かい、生産体制をチェック。その部品を見てみると…多くの製品で釜の品質にバラツキが出ていたのです。その為、試作機によって味にバラツキが出てしまっていた。即時その場で工場に指示を出し、品質向上に努めた。
2017年1月12日、都内のホテルにてバルミューダの新作発表会が行われた。
「バルミューダ・ザ・ゴハン」の価格は税込み4万4,820円。新たな炊飯器はどう評価されるのでしょうか??
無印良品が作る本格コーヒーメーカー
無印良品を運営する良品計画。生活雑貨やインテリアなど独自ブランドで7,000点を取り揃えている。そしていま力を入れているのが家電製品。特に統一感のあるキッチン家電にはファンが多く2014年にはグッドデザイン賞を受賞しています。これらを手がけてきたのが家電の開発責任者である池内氏。
そんな無印良品が新たな商品を生み出そうとしています。それが「コーヒーメーカー」。コーヒーメーカーには豆を活かせる機械がないため、そういうものを目指したいと考えているという。
このコーヒーメーカーを作るにあたってアドバイスをもらっているのが、ミカフェート社長の川島氏。川島氏はかつて大手コーヒーメーカーに勤務しており、世界中でコーヒー栽培を指導してきたこの道40年のスペシャリスト。日本航空で出されるコーヒーも監修してきたという。
池内さんは川島さんが入れるコーヒーを家電で再現しようとしている…果たしてそんなことができるのでしょうか。
今回コーヒーメーカーの製作にあたって、新潟県のツインバード社に開発を依頼。ツインバード社が製作した試作機でコーヒーを入れてみます。このコーヒーメーカーではプロと同じように豆が均一にひけるように設定し、川島氏おすすめの87度のお湯を入れる。お湯の入れ方は川島氏直伝の方法を採用。まずお湯で全体を湿らせ、一旦止めて30秒蒸らす。そして再びお湯を投入。これを再現するために”斜めシャワー方式”という独自の注ぎ口を開発した。注ぎ口を内側に向けているのでお湯が真ん中付近に集まる。
豆をひき始めてからおよそ8分で完成。しかし、試作機の味は満足のいくものではなかった。
試作機を分解してどこに原因があるのかを探ることになった。問題とされたのがミルと呼ばれる豆をひく部分。刃の鋭さが足りなく、豆をしっかりひけないという現象が起こっていた。
豆をひくための刃は大きく分けて2種類あり、一般的なコーヒーメーカーで使われているのが、ブレードグラインダーと呼ばれるもの。ひとつの鋭い刃を高速回転させて豆をひく構造になっていて、粒にバラツキがでるのが欠点。
もうひとつは、コーヒー専門店などでも使われているフラットカッターという刃。向き合う円盤状の刃で豆をひくことができます。粒にバラツキが少ないのが特徴。
この刃の違いがコーヒーの味に大きく左右するという。
この刃の改良を行うため、池内氏は新潟県小千谷市にある日研シェルモールドという会社を訪れた。日研シェルモールドは昭和48年創業で従業員数は18名。鉄を溶かして鋳造する技術に定評があり、建築用資材や自動車メーカー向けの製品を製造している。
日研シェルモールドでは、固めた砂の中に鉄を流し込んで鋳造する砂型と呼ばれる方法で部品を製造している。一度にたくさんの部品を作ることができるため、コスト効率が良い。しかしその分、砂なので、どうしても刃のエッジの部分が丸くなってしまう。日研シェルモールドでは、その対策としてひとつひとつ職人さんが手作業で研磨する作業を行っていた。
しかし池内氏は
「手作業が入ると、その職人さんの体調で品質に差が出てしまうのでなるべく手作業は避けたい」
という。
その後日研シェルモールドで、フラットカッターの刃を研磨する治具を開発。これで職人の手作業に頼らずに誤差の少ないフラットカッターを作ることができるようになった。
完成した試作品を持って、ミカフェート社長の川島氏とその仲間のバリスタの方々へのお披露目会。みなおいしいコーヒーだと満足してくれて池内氏もホッとひと安心。
今回見てきた2つの調理家電はいずれも消費者自身も気づかなかったニーズに応えようとするものでした。これまでは考えもしなかった食感や機能、あれば良いなと思って諦めていた味わいや性能、そんな新たな欲求が消費者に広がっているようです。常識に囚われることなく消費者の思いに気づく、そこに新たなヒット家電誕生の手がかりがあるのかもしれません。