こんにちは。ひとりで.comです。
2017年2月6日放送の未来世紀ジパングは「みんなが大好きなバナナとチョコレートが危機!?」と題してバナナを襲う新パナマ病と新たな栽培法を編み出した日本人。カカオの供給不足解消のため、自らカカオ農園を作った明治の取り組みを特集する。
バナナとチョコレートがなくなる?
バナナが絶滅危惧種?
フィリピンのミンダナオ島。ここのバナナ農園は約9万ヘクタール。東京都23区の約1.5倍の広さを誇る。
収穫されたバナナは洗浄され、袋に詰めて出荷される。実は日本のバナナの9割がミンダナオ島から出荷されている。日本で最も食べられている果物が12年連続でバナナだという事実が、日本の食卓に欠かせない理由と言えよう。実はいま、そのバナナが大変な事態に陥っている。
バナナの木に「新パナマ病」という病気がフィリピンで猛威を奮っている。
新パナマ病とは、カビの一種で、それがバナナの幹を腐らせてしまう。バナナの芽を通じて感染する。幹が腐ると、木が倒れてしまい、バナナが収穫できなくなってしまう。ある農家では農地の半分が感染してしまっている。
この新パナマ病に対する薬はまだ見つかっておらず、感染した木を燃やして感染の広がりを防ぐしかない。新パナマ病は雨や農家の方の靴を通して感染してく。ミンダナオ島ではバナナ農地の約15%がこの新パナマ病に感染しているという。
バナナ農園で別の農作物の栽培をはじめる人も出てきている。それが…サツマイモである。このサツマイモは収穫をするわけではない。実は新パナマ病に効くと噂されているのである。
世界バナナ会議では、バナナの約9割が絶滅に瀕していると言われている。
実はバナナは北緯30度から南緯30度という非常に狭い地域でしか栽培できない。このバナナが栽培できる地域をバナナベルトと呼ぶが、上記の新パナマ病がフィリピンのミンダナオ島だけでなく、オーストラリアや中東、南米でも確認されており、それが危機的な状況と言われる要因となっている。
我々がいま食べているのがキャベンディッシュという品質。1960年代まではグロス・ミシェルという品種が主流だった。当時は、風邪をひいたときしか食べられないなど、高級品だったバナナ。それが、パナマ病というパナマ周辺で発生したカビによる病気(伝染病)が蔓延した結果、グロス・ミシェルという品種は絶滅してしまった。そこで生まれたのがキャベンディッシュという品種。
元々バナナは、種が入っているのであるが、突然変異によって、種無しのバナナが生まれた。これを株分けする形で現在のバナナが栽培されているため、どれも同じ遺伝子となり、一度病気が起こるとその病気が広がりやすい、という特徴を持っている。
岡山県笠岡市で作られる凍結解凍覚醒法で作られる”奇跡のバナナ”
上述のように危機的な状況にあるバナナだが、そこに現れたのが、なんと日本に関係しているというのである。そのキーマンが木村秋則氏。木村氏は絶対不可能と言われた無農薬のりんごを作り、本や映画にもなった人物。
なんと日本の岡山県でバナナを栽培する人物が現れたのである。それが、クリーンプラネット・バイオテックの田中節三氏(株式会社桃太郎パパイヤ研究所)である。バナナは通常赤道付近でしか育たない。しかし、田中氏はゼロ度にならない限り育つという”奇跡のバナナ”の栽培に成功したという。
もともと田中氏は農家ではなかった。海運会社などを経営する傍ら、趣味のバナナ研究を行っており、45年でその研究に5億円を投じた。その末に、ある技術を生み出した。
その技術が…
凍結解凍 覚醒法
である。
地球が氷河期だった頃、植物は冬眠状態にあった。そして、氷河期が終わった後、バナナは低気温の状態でも繁殖したと言われている。これにヒントを得て、バナナの成長細胞をマイナス60度まで凍らせた。それを解凍し、育てる事で、バナナが氷河期を乗り越えたその能力を引き出すことに成功した。その結果、通常収穫には1年半かかるというバナナが3分の1の期間で収穫ができるという。さらに驚きなのはその品種。1960年代に絶滅したといわれるグロス・ミシェルだったのである。
そしてバナナだけでなく、スターフルーツやパッションフルーツ、パパイヤなど熱帯で育つ果物も凍結解凍 覚醒法で栽培することに成功した。
バナナの日本における市場は約6,000億あるという。そして全て輸入に頼っている。それが日本の農家で栽培することができれば、2万人の農家が3,000万の収入を得ることができる。そういった可能性を夢見てバナナ栽培の研究を続けている。
このバナナは東京にある岡山県のアンテナショップでも買うことができる。
チョコレートの危機?
実はチョコレートの原料であるカカオも栽培できる地域が限定的である。しかもバナナよりも狭く、北緯20度から南緯20度の間(カカオベルト)で、更にアフリカでは砂漠化によって栽培地域が減っている。また中国などの中産階級でチョコレートを食べる人が増えている。需要が増えて供給が減っている、こういった現象に起因してカカオの値段は15年前に比べると3倍にまであがっている。
インドネシアのジャヤプラ。湖を中心とした熱帯地域である。そこにカカオの魅力に取りつかれた日本人がいる。東京都渋谷区にチョコレート専門店「ミニマル」を構える山下氏である。実はインドネシアはコートジボワールとガーナに次ぐ世界第3位のカカオ生産国である。
山下氏の店はオープンから客が絶えない人気店となった。1度に1万円以上購入するお客さんも珍しくないという。その人気の秘密はBean to barというスタイル。世界中のカカオ豆の産地に赴き買い付け、それを板チョコになるまで手作りで作るのである。
そんなこだわりの豆を仕入れるために、世界中に飛び回っている。そこで山下氏が遭遇したのが、カカオ豆のバイヤーである。カカオ豆の農家を囲い込んで、農家に資金提供まで行っている。彼らは週に数回農家を訪れ、根こそぎ買い占めていく。表面にカビが生えていても中身に問題がなければ全て買い取ってくれるため、農家としては有り難い話のようである。
大手メーカーの試算によると、3年後の2020年、カカオ危機が訪れると予測している。その詳細を大手チョコ原料メーカーであるスイスの「イーコム」に聞くと…
アフリカの砂漠化の影響で供給量が減少しており、一方でこれまで消費量が少なかった中国やインド、原産国のアフリカで消費が増えつつある、その為少なくない将来、ビジネスの持続可能性を懸念している、
と危惧している。
明治が目指す、自前のカカオ農園
メキシコのチアバス。この地域は、古代文明の時代にカカオ栽培を始めた発祥の地とされている。ここには、カカワタン(=カカオの場所)という地名まである。食卓では昔から飲まれていた「ポソル」というカカオドリンクがあり、カカオは民衆に親しまれている。もはやカカオは生活とは切り離せないものになっている。
通常、菓子メーカーなどは加工されたカカオを仕入れ、それを製品としてチョコレートを作るだが、明治は先ほどの「Bean to bar」から一歩進んで「Farm to bar」という形で、自前でカカオの木を植える事でカカオを確保しようとしているのだ。しかも世界でも珍しい「ホワイトカカオ」を作ろうとしている。
通常のカカオは中身が紫色に対して、ホワイトカカオは中身は白い。苦味が少なくマイルド、希少品のため最高品種とされている。このホワイトカカオを量産化しようというのである。
ホワイトカカオの苗木を植えて量産化しようというが、ホワイトカカオの場合、育って中を見るまでホワイトカカオかどうかはわからない。実がなっても中身をあけてみたら通常のカカオだということもよくある。
結果は…キレイなホワイトカカオだった。
これで量産化の目処がついた。明治は、このメキシコ産ホワイトカカオをバレンタイン商戦の目玉商品として1箱1,500円で売り出した(既に完売しています)
量ではなく質で勝負するのが明治の道筋。ホワイトカカオを世界で一番多く取り扱う事ができるようになれるのではないか、と意気込む。
カカオの救世主が東京に?
根本的な供給不足が見込まれるカカオ。その救世主がもしかしたら日本から生まれるかもしれない。それは…平塚製菓の成果である。
平塚製菓という埼玉の菓子メーカーが日本の小笠原諸島でカカオの生産を試行錯誤している。今年は板チョコ4万枚分を目指している。
小笠原諸島はいわゆるカカオベルトから若干外れているが、気候的には申し分ない。したがってカカオが栽培可能なのである。ただし、日本の場合、大きな問題がある。それは…台風の存在である。栽培に当たって台風はその生産量に大きな影響を及ぼす。従って、小笠原諸島でのカカオ栽培はわざわざビニールハウスを本土から持ってきて台風によるカカオへの影響を最小限にするべく努力を重ねている。
早ければ、東京産のチョコレートというのが市場に出回り始めるかもしれない。