[カンブリア宮殿]( にんべん )ダシを支える老舗に学ぶ 時代を生き抜くサバイバル術! – 2017年2月9日 –

カンブリア宮殿
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こんにちは。ひとりで.comです。

2017年2月9日放送のカンブリア宮殿は「ダシを支える老舗に学ぶ時代を生き抜くサバイバル術!」と題してにんべん 社長 髙津 克幸氏が登場します。

 

かつお節一筋、にんべんが貫く”だし”へのこだわり

 

 

 

”だし”をキーワードに魅力を伝え続ける

 

海老名サービスエリア
海老名サービスエリア

 

神奈川県海老名市にあるサービスエリア「エクスパーサ海老名」。この海老名サービスエリアは全国のサービスエリアの中でも利用者No.1を誇る。なんとその年間利用者数は900万人にものぼる。

お客さんを引き寄せる魅力は、豊富に揃ったグルメの数々。海老名カレーパンや最中コロッケなど、個性的なグルメがたくさんある。従って、休憩がてらつい立ち寄ってしまうドライバーが多い。

 

そんな中、ひと際和の雰囲気を出している店がある。それが「日本橋だし場+」である。創業300余年の鰹節専門店「にんべん」が手がける『日本橋だし場+』では、「一汁一飯」をコンセプトに、かつお節だし、月替わりの汁物メニュー、かつぶしめし、数量限定のお弁当、惣菜と幅広くメニューを用意している。

 

 

 

にんべんが顧客から支持される理由は?

 

榮太樓飴山本山などが軒を連ねる東京・日本橋に本店を構えるのが「にんべん」。にんべんは鰹節一筋で実に318年の歴史を重ねてきた超老舗企業である。日本のかつお節の生産量は年々減少している一方、にんべんは、売上を落とすことなく維持してきた。

 

にんべんが売上を保っている大きな理由のひとつは…「つゆの素」50年以上続くロングセラーで、東京では売上No.1を誇る。

 

にんべんが客を離さないもうひとつの理由は、「かつお節」の品質にある。一体どこが違うのか…。実はにんべんが提供するかつお節は、他社のものとは原材料が異なる。にんべんのかつお節は、原材料が「かつおのかれぶし」となっている。

 

かつおのかれぶしは、日本においてかつおの水揚げ量日本一の静岡県焼津市で作られている。老舗かつおぶしメーカー「山七」。60年以上にわたって、にんべんのかつお節を作ってきた老舗協力会社である。

 

さばいたカツオを2ヶ月間燻しては乾燥させてはを繰り返して作るのが「荒節」である。スーパーなどで売られている「削り節」原料の約8割が荒節を使用している。にんべんが拘って使う「かつおのかれぶし」は、この荒節にさらに手を加えたものである。にんべんの「かつおのかれぶし」は荒節にかつお節カビを吹きかける。表面についたカビが内部の水分を吸収し、うま味が更に濃くなるのである。その水分量は、荒節が22%ほどに対して、かつおのかれぶしは約15%。そこまで水分量を落とすことによって、より美味しくなる。

 

にんべんのかつお節は、プロの料理人にも認められており、多くのお店でにんべんの「本枯れ節」が使われている。

 

 

良いカツオを提供し続ける秘密…それは山七の職人による「目利き力」。かつお節を叩いてその音を確かめる、そしてカツオを太陽光に当てて、その様子を観察する。耳と目を駆使することでかつお節の中身に空洞がないかと確認することができる。かつお節の中に空洞があると、酸化が進んでしまい、味が落ちてしまう。圧倒的な手間と時間、そしてプロの仕事でにんべんは信頼の品質を守ってきたのだ。

 

 

日本橋にあるだし場(Dashi Bar)。味付けしていない一番出汁が1杯100円で立ち飲みバーのように提供されている。好みで塩や醤油を足して味わうことができる。さらに同じ日本橋に、日本橋だし場 はなれという飲食店も3年前にオープンさせた。ここでは、かつお出汁を売りにした商品を主に提供している。お昼時は常に混雑している人気店である。

 

日本橋だし場 はなれ
日本橋だし場 はなれ

 

 

 

 

かつお節を使ったレシピ本やみたらしバームクーヘン

にんべんは、よりかつお節の魅力を伝えるために、かつお節を使ったレシピ本も販売している。ここには社員がすすめる数々のレシピが掲載されている。チーズトースト、厚削りのチョコレートがけなど、変わったレシピも紹介している。

 

レシピ以外にも手巻きかつおや食べるうまみチップス、だしおこげやみたらしバームクーヘンなど。こうした実験的な商品を直営店で販売し、お客さんの反応を見ている。一風変わった商品を提供するのは、入り口としてかつお節の魅力を知っていただき、最後は本丸のかつお節を知ってもらいたいと思って仕掛けているという。

 

 

 

にんべんの創業者は、伊勢出身の初代 高津伊兵衛。江戸中期の元禄時代(1699年)、日本橋で乾物の販売をはじめる。店の名前は「伊勢屋 伊兵衛」だった。この頭文字として使われている伊のへんをとって、周囲の人から「にんべんさん」と呼ばれるようになり、1948年、現在の「にんべん」という社名に変更した。

 

にんべんは初代の頃から新しいことをやっていた。その証が店舗に残っている。書かれていた文字は

現金掛け値なし

 

現金掛け値なし

客によって販売価格を変えない定価販売のこと。

 

店が客を見て値段を変える時代に、どの客にも同じ値段で売る商いのやり方である。三越の前身、越後屋がはじめ伊勢屋も早いタイミングで取り入れた。

 

江戸後期には、世界で初めての厳正の商品券を発行した。好きな時にかつお節が買える、と贈答用に重宝されたという。昭和の時代も常識をくつがえす商品を作る。それが「つゆの素」。当時、業界ではかつおの天然だしはあしが早いためめんつゆに使うのは不可能と言われていた。しかしにんべんは独自の殺菌法や調合の割合の工夫によって、「かつおの天然だし」を使っためんつゆを日本ではじめて発売することに成功した。

 

さらに、今では当たり前になった小分けパックになった「フレッシュパック」を1969年に発売。かつお節は封をあける酸化してしまい、どうしても風味や味が落ちてしまう。そこで、小分けしたパックに窒素ガスをいれ酸化しない小分けパックを初めて発売したのだ。

 

こうして、にんべんは現在の地位を確立するに至った。

 

現13代目の髙津 克幸氏が入社したのはバブル崩壊後の1996年。この時、大きな危機感を感じたという。日本橋の本店に足を運んだときのこと、店舗を見渡すと、常連客しかおらず、しかも扱っていたのは値の張る贈答用の商品ばかりで、一部のお客さんしか相手にしていない状況だった。お店も土曜日はお客さんが1日数十人しか来なかったし、日曜日は休みだった。これではダメだと思い、若者にも気軽に手にとってもらえるこれまでなかった家庭用商品の開発をすすめるようになった。

 

その中でも昨今、大ヒットに結びつくかもしれない商品も出てきた。それが、「薫る味だし」である。

 

中身はただのだしパックのように見えるが、本枯れのかつお節と出汁、しょうゆ、砂糖などが入った「だしパック」である。ここまでアレンジされているため、味付けを全くせずとも誰でも簡単にプロ顔負けの出汁を作ることができるのである。

また、パックの中身を出せば、チャーハンへの調味料としてもそのまま使うこともできる。

 

 

 

静岡県焼津市にある老舗かつおのライバルメーカーのシーラック。ライバルメーカーであるにも関わらず、シーラックの社長はにんべんには頭があがらないという。

 

というのも、今から35年前、にんべんは自社の研究所でかつお節の品質を安定させるための「かつお節カビ」の特定に成功したのだ。以前までの枯れ節は、建物に住みついたカビを自然に付着させ製造していた。その為、菌は様々でその影響により香りも味もバラバラになってしまっていた。研究所では、試行錯誤を続け5年の歳月をかけて、最適なカビ菌の発見に成功したのだ。

 

そのカビ菌の発見を先代の当主である12代目 高津伊兵衛氏に喜び勇んで伝えたところ、驚くべき反応が返ってきたという。

「よく頑張ってくれた。ではそれを他の会社にも教えてあげなさい。お金は取らなくて良いから」

と。

 

こうして、新たな技術がライバル企業にも無償提供されることとなった。このカビ菌を通して、業界全体におけるかつお節の品質が一気にあがった。

 

また、にんべんによる無償提供はこれだけに留まらない。上述のフレッシュパックの製法についても、当時保存法が確立していなかったことと、食の西洋化が進んでいたこともあり、かつお節業界全体が斜陽産業化していた。そういった状況もあってか、フレッシュパックの酸化防止製法についても競合に無償提供したのであった。

 

 

村上龍氏は、13代目の高津氏に対して

 

「縮小していく市場の中で老舗企業が生き残るために必要なことは一体何なのか?」

 

と聞いたところ、高津氏は

 

「そもそも老舗とはあまり思っていない。お客様から認めてもらって初めて”老舗”なので、お客様から認められる存在になるためにチャレンジしていく、そういう姿勢でいたい」

 

と答えた。