こんにちは。ひとりで.comです。
2017年2月11日放送のNEC presentsクロスロードは旬八青果店を経営するアグリゲート代表取締役 左今克憲氏に密着します。
都会の真中で八百屋?旬八青果店
キーワードは「規格外」
アグリゲート代表取締役 左今克憲氏。彼が経営しているのは、東京のど真ん中にある八百屋。
その名は旬八青果店。そこで売られている野菜は…にんじん1本100円、白菜1本180円など、どれもこれも破格の安さ。都会でこの値段で野菜を販売している八百屋は数少ないだろう。
なぜこういったことが可能なのだろうか。
旬八青果店で売られている野菜は、規格外の野菜。野菜を栽培している農家は、全ての栽培した野菜が売れるわけではない。例えば、折れ曲がってしまったきゅうりや、葉に色がついてしまったブロッコリーなど、ちょっとした傷や形の違いで、商品として出荷できなくなってしまう。農家の方々はこれまでそういった規格外の商品は自宅に持って帰って食べたり、周囲の農家に配ったり、それでも余る場合は、捨ててしまうこともあるという。
そうした規格外の商品は意外にもその割合は高く、全体の3割にも及ぶという。それを農家から産地直送という形で買い付けるのが左近氏の仕事。
お客に情報を伝えるプレゼン力
買い付けに行く際は、農家の自宅に招かれて料理を振る舞われることもしばしば。そういったところで得られた情報は社内SNSに投稿し、生産現場での情報として店員と共有し、接客に役立てているという。
農家との信頼関係があるからこそ教えてくれる情報がそこにはある。左近氏が見初めた農家は全国に100ヶ所以上にのぼる。
アグリゲートの社員は26名、平均年齢は30歳と若い会社。
月に1度、社員総会を開くアグリゲート。左近氏が決まって社員に伝えることは、情報の大切さ。
「接客販売をして、しっかり情報をお伝えできるからこそ良いものも規格外なものも販売ができる、そこがスーパーとの大きな違いだと思っているので、みんなで”情報”をしっかり伝えられるようにすることが重要である」
と左近氏は言う。
旬八青果店は、現在10店舗を展開している。
左今克憲氏の経歴 / きっかけは?
1982年、福岡生まれ。2003年、青山学院大学理工学部に入学したが、大学時代やりたいことが見つからずバイクの旅へ。そこで見た農村の風景に心奪われ、農業に関わる仕事をしたいと思うようになった。
というのも、凄い腰の曲がったおばあさんが、坂の道をカゴを担いで大根を入れて歩いてるとかもはじめは癒やされたが、このあたりの経済はどうなっているのかと思い始め、その農家さんたちが疲弊していて(次の世代には)続けられないと言っているのは、相当危機だと思った。
ビジネスのチカラで地域活性をしたい!と思うようになった、という。
その後、2007年に人材業のインテリジェンスに入社。営業でプレゼンの腕を磨いた。2009年に退社し、アグリゲートを創業。2013年に10月に1坪の旬八青果店の中目黒店をオープン。出足は好調でその勢いのままに1年で11店舗を事業拡大させた。しかし、6,000万円の大赤字を抱えることになってしまった。1番の原因は、お店の店員が野菜に対する知識がないため、スーパーと同じになってしまった。
左近氏は、原点に立ち返り、社員教育を徹底的に行うことで、今のお店のスタイルを確立することに成功した。
ロス品・見切り品を集めて新たな事業
旬八青果店では、ロス品・見切り品を店舗に出さないことをポリシーにしている。従って、鮮度が落ち始めた商品については、旬八青果店全店舗から大崎店に集めサラダやスムージー、お弁当として売り出している。
この3月には、お弁当を一歩進めた旬八キッチンをオープン予定。
農家と共に成長していくために…
左近氏は、最近頻繁に足を運んでいる場所がある。それはとある畑。茨城県つくば市にある畑と年間契約を結んだためである。いま流行りのパクチーや、ちぢみほうれん草など年間を通して、必要な野菜を必要なだけ作ってくれるのです。
農家にとって、年間契約してくれるほどうれしいことはない。どうしても農家は、季節によってできる野菜が異なったり、安定的に野菜を提供し続けることが難しい。したがって、収入が不安定になってしまう。従って、年間契約をしてくれると精神的な不安が取り除かれ、安心して栽培に打ち込むことができる。
年間契約に留まらず、アグリゲートでは、より農家が効率的に畑作業に打ち込めるようなしかけを考えている。それはファーマーズポケットというアプリ。今まで手書きだった納品書や請求書を画面で簡単に入力できる。さらに、商品別、卸先別にグラフで表示させることができる。データを旬八青果店と共有することもできるという。