[ガイアの夜明け]暮らしに潜む”危機”を救う!~老朽インフラと闘う技術~ – 2017年2月14日

ガイアの夜明け
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こんにちは。ひとりで.comです。

2017年2月14日放送のガイアの夜明けは「暮らしに潜む”危機”を救う!~老朽インフラと闘う技術~」と題して特殊高所技術の道路点検技術、下水管工事のSPR工法を特集します。

 

道路や橋、下水管といったインフラを支える技術

 

 

道路、橋を点検する特殊高所技術

 

2016年12月大阪市内の高速道路。大きな工事が始まろうとしていた。50年前に完成した高速道路の橋脚を交換するための工事である。交換した橋脚にはたくさんのひび割れが入っている。この橋脚の調査を行っているのが、阪神高速道路。通常、ひび割れはその幅が0.3ミリを超えると補修の対象となるのだが、今回調査した橋脚内のひび割れの幅は1.3ミリと大きく上回っている。

 

阪神高速道路では、老朽化が進む高速道路において、コンクリートの内部の状況を外部から簡単に知ることができる方法がないかと模索していた。

 

2017年1月、阪神高速道路は、上記と同じ道路の車が通る道を真裏から点検していた。道路の裏側に銀色のセンサーを取り付ける。このセンサーは京都大学で共同で開発。車が通るなど、コンクリートに力がかかった時に中にひび割れがあると音が発生するという仕組みである。

 

音を感知するだけで、どの場所にどんなひび割れがあるかがわかるはずだそうです。実際に高速道路のコンクリートを取り出してみると…センサーが示した通りのひび割れが発生していた。

 

この方法が実用化されれば、老朽化対策の大きな武器になります。

 

 

日本国内には70万の橋がある。そのうちの2割が50年を超えている。あと10年経つとその割合が5割を超えるという。

 

 

 

大阪の千歳橋。全長1キロ、14年前に開通した橋である。この日は、海を渡るこの橋の裏側を点検するという。この点検を行うのが株式会社特殊高所技術。年間約650箇所の橋を点検している従業員60名ほどの企業である。年間650箇所というのは3年前の5倍に急増しているという。そのきっかけは中央道笹子トンネルでの転落事故。5年に1度、近接点検が義務化されたためである。

この橋の裏側は人が歩くスペースがないため、クランプと呼ばれる器具に全体重を任せ全ての箇所を人の目や音、カメラを使って点検していく。

 

 

クランプ
クランプ

 

 

 

 

モロッコとの新たな取り組み

 

 

モロッコ国営高速道路会社に日本の阪神高速道路、特殊高所技術の人間が参加。モロッコは25年前から、国のインフラ整備の一環として、高速道路の整備や、橋の設立などが進んでいる。しかし、その点検に関しては、自国での技術を持ち合わせていない。従って、阪神高速道路・特殊高所技術・JICAにその支援を求めてきたのだという。

 

2016年8月、モロッコから選ばれた3名が、特殊高所技術におよそ2ヶ月間に渡る研修がスタートした。特殊高所技術での訓練を甘く見ていた3名だったが、2ヶ月の訓練を終え、ある程度の点検ができるように

 

特殊高所技術は、設立以来落下事故はゼロ。安全であることが技術の要なのです。

 

 

 

 

コスト半分、納期3分の1のSPR工法で下水道補修を加速化

 

東京23区内で、50年を超えた下水管の総距離は1,800キロに及ぶという。この距離はおよそ北海道の稚内から鹿児島を結ぶ距離に相当する。これを全て交換するとなると、途方もない時間とお金がかかります。下水管の工事は基本的に夜行い、朝までには穴を埋める必要がある。従って、30メートルの下水管工事でさえも約2週間ほどかかると言われている。

そんな中、下水管を長持ちさせる画期的な技術に注目が集まっている。

 

 

都内では、下水道の老朽化による陥没が年間500件以上も発生している。東京都墨田区で新しい技術が使われ始めていた。それが、SPR工法と呼ばれる技術。

 

SPR工法
SPR工法

 

古い下水管に一回り小さい帯を螺旋状に送り込んでいき、古い下水管との間にモルタルを流し込むことで下水管の耐久性を長期化させようとする技術。こうすることでさらに50年使用可能になる。

従来の工事は、道路を掘り出し、古い下水管を取り出し交換するという方式だったが、SPR工法を使うことによって、コストはおよそ半分、納期も3分の1にて実施可能となる。

 

 

 

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積水化学が挑む強度をあげたSPR素材

 

実際の下水管工事で、ひび割れが発見されると、ひび割れの部分は手作業で補強してからSPR工法で新たな下水管を作っているというのが、現状。例えばこれが、ひび割れの補修がなく、SPR工法のみで作業が完了するような素材ができれば、よりこれまで以上に工期を短縮できるという。

 

そこで、積水化学では、より強度をあげたSPR素材の開発をスタートさせた。この素材を使えば、下水の場所において、震度7の地震があっても耐えることができるという。

 

 

 

 

私達の生活にかかせない水道や道路といったインフラ。当たり前に使っている裏では、それを支える人がいた。インフラの多くは高度経済成長に作られたものが多く、その老朽化は深刻になっている。これを次の50年、100年使い続けるために点検や補修という影の取り組みと技術に注目が集まる。