こんにちは。ひとりで.comです。
2017年2月20日方法の未来世紀ジパングは「揺れるイタリアの真実…高級ブランドの裏側」と題してメイド・イン・イタリーブランドに揺れるイタリアを特集します。
揺れるメイド・イン・イタリーそして復活へ…
【目次】
イタリアに中国が押し寄せる?
イタリアのフィレンツェ。この時期最も沸騰している場所である。その理由は…THE MALLと呼ばれるイタリア最大級のアウトレットモールでの新春セールが開催されているからである。THE MALLにはPRADAやGUCCIなど高級ブランドが38店舗軒を連ねる。
とめどなくやってくる集団は、中国人の団体客。新春セールでアウトレットが更に安くなる為、開店前から行列ができるほど人が押し寄せる。
ここにひとりの日本人がいた。フィレンツェ在住の清水さん。アウトレットモールで買っていたのは、ブランド物の財布ばかり…これをBUYMAという通販サイトで販売するのだという。BUYMAとは日本未入荷の商品を主に扱う海外ブランドのネット通販サイトである。清水さんはBUYMAでブランド品を売るバイヤーなのであった。イタリアのブランド品は世界でも人気があり、ここで買い付けた商品を定価の半額程度で販売している。
伝統的なブランドの国イタリア
世界中の観光客で賑わうイタリアのフィレンツェにあるサルヴァトーレ フェラガモ。1927年創業のイタリア老舗ブランド。創業者のフェラガモ氏は9歳で靴を作り始めた稀代の職人である。イタリアを代表する高級ブランドとして確固たる地位を築き上げた。1947年の「見えない靴」は70年経ってもそのデザイン性は色あせない。マリリン・モンローやオードリー・ヘップバーンといった世界的に有名な女優たちもフェラガモの靴を愛した。
このフェラガモからメイド・イン・イタリーの価値が高まったと言える。
メイド・イン・イタリーが実は中国産?
イタリアの靴の産地であるリヴィエラ・デル・ブレンダ。街を代表する靴工場がロッソ・ベネチア。数々の有名ブランドの靴を手掛けている。ここではイタリアの職人だけで靴を手作りしている。メイド・イン・イタリーとはすなわち、受け継がれる伝統と技術の証なのである。
この靴の街には実は隠された顔があった。なんと…実は一部の高級靴以外は中国人が靴を作っているという。安い賃金で靴を作り、高い値段で売っているというのだ。そのひとつに取材をしようとしたが、断られてしまった。
実はイタリア国内における靴関連の企業は2000年以降、中国系の企業が約300社進出したのに対して、イタリア系の企業は約150社閉鎖に追い込まれた。
さらにメイド・イン・イタリーを揺るがす衝撃の街がある。そこがフィレンツェ郊外のプラートである。ここはイタリア伝統の繊維産業の街であるが、アパレル関連の中国企業が約6500社も進出している。そのプラートに最近できた卸売業者がある。ウェンディ・トレンディというブランド。店内にはカラフルでおしゃれなデザインの服が所狭しと並ぶ。ここに置いてある服はメイド・イン・イタリーと書いてあるが、中国企業が製造している。
実はいま、中国企業が作るファストファッションが氾濫している。そのほとんどがメイド・イン・イタリーを全面に押し出しているものの、品質は、本物のイタリア製には遠く及ばない。
こうした状況を受けて、イタリア保険局が違法操業の工場摘発を強化している。強制捜査に入った工場は…中国人の労働者が働いていた。しかも2年近くも不法滞在していた。そこでは服が作られていたが、糸はほこりまみれ、安い生地を使って1枚100円程度で作られていた。しかし、その服のタグにはしっかりとメイド・イン・イタリーの文字が書かれていた。
食材にもメイド・イン・イタリーを問われる状況が起きている。例えばトマトピューレなどの加工品。中のトマトが中国産であっても加工品については加工した国を表示することができる法律となっているため、メイド・イン・イタリーとして販売することができる。
実際、トマトの世界での生産量は
1位 | 中国 | 5,055万トン |
2位 | インド | 1,800万トン |
3位 | アメリカ | 1,250万トン |
4位 | トルコ | 1,180万トン |
5位 | エジプト | 850万トン |
6位 | イラン | 610万トン |
7位 | イタリア | 490万トン |
となっている。
イタリアが長い歴史をかけて大事にしてきたブランドや食文化に外国からヒト・モノ・カネが大量に流れ込んできており、国境の垣根がどんどん下がってきているのである。
イタリアに挑戦する丸亀製麺のラーメン
イタリアのミラノ。ここにあるカイマーノというレストラン。この店のウリは本場のパスタ。地元サッカーチームのACミランの本田圭佑選手も通い詰める名店だという。
そんなイタリアに今年初進出するのが、丸亀製麺。しかしうどんで勝負するのではなく、ラーメンで勝負をするという。そんな決断をしたのが、丸亀製麺を運営するトリドールの社長、粟田氏である。
粟田氏は…
ローカライズが大事。現地の人に喜んでもらえる親和性の高い味を日本食で実現したい
という。
海外進出責任者はイタリア人が好む麺の開発に勤しむ。現地でパスタに使われるデュラム粉を使ってラーメンを作ろうというのだ。現地の人が食べ慣れている小麦粉を使うことでより、好んでもらえるのではないかと考えた。目指すはイタリア人好みのアルデンテだ。
2017年1月末、イタリアの食通たちへのお披露目会で、その評価は…
麺が滑らかで噛みしめるたびに味がある。食感が抜群。
麺はイタリア人も納得のアルデンテだし、スープとの相性も良い
と評価は上々。
外国企業によるイタリア企業買収ラッシュ
外国企業によるイタリア企業の買収が増加している。例えば、イタリアのアリタリア航空は、2014年にアブダビのエティハド航空に、2015年にはフェラーリのデザインを手がけてきたビニンファリーナがインドのマヒンドラグループに34億円で買収された。そしてサッカーの名門チームのインテル・ミラノは2016年に約327億円で、そしてインテルのメインスポンサーであるタイヤメーカーのピレリも約9200億円で中国企業によって買収されている。
こういった状況もあって、イタリア国内では「五つ星運動」という過激派の党が国民からの支持を得つつある。この政党は、脱ユーロを謳い、国内は開放主義 vs 保護主義という構図に分裂している。もしイタリアがユーロから離脱することになると世界経済に大きな影響が出るのではないかと予測されている。
復活を遂げたマセラティ
トリノにある、ランボルギーニ。日本の1970年台のイタリア車ブームの火付け役であった。特にイタリアメーカーの中で人気があったのがマセラティ。根強い人気を誇っていたマセラティだが、1998年には628台しか車が売れず経営危機に陥っていた。
そのマセラティがいま奇跡とも呼ぶべき復活を遂げていた。2013年、トリノに新工場を設立し大規模生産を開始した。2016年の生産台数は約4万台で各国で生産待ち状態となっている。
その中でも特に人気なのが、8代目クアトロポルテ(約1,200万円〜)。シートに使われているのは高級イタリアンレザー。部品の約9割がメイド・イン・イタリーでフェラーリ製の特別仕様のエンジンを搭載している。
生産を拡大することもできたが、敢えてそれをせず、ブランド価値を維持しようとしている。
メイド・イン・イタリーを越えるブランド:パルミジャーノ・レッジャーノ
イタリア北部のパルマでメイド・イン・イタリーを越えるブランド化を成し遂げたものもある。それは、チーズの王様、パルミジャーノ・レッジャーノである。よく使われる粉チーズのパルメザンチーズとは一線を画す。パルミジャーノ・レッジャーノはこの地域で伝統の製法で作ったものしか名乗ることが許されないチーズなのだ。
その製造工程では、餌もこの土地の牧草しか与えてはいけない。
その日に絞った生乳だけ。2時間以内に出荷しなければならない。熟成庫で最低1年、長くて3年寝かせなければならない。そして最後に中に空洞ができていないか厳しいチェックを行い、はじめてパルミジャーノ・レッジャーノとして認められる。
いま、イタリア国内ではDOP[デノミナツィオーネ・ディ・オリージネ・プロテッタ(伊: Denominazione di Origine Protetta)]という制度が広まっている。この制度は日本名で原産地名称保護制度と呼ばれ、食料品の原産地名を認定・保護するための制度である。揺れるメイド・イン・イタリーの中で地域別に差別化を図って、本物のメイド・イン・イタリーを保護しようとしている。
日本にもこのDOPに倣った制度がスタートしている。それがGIと呼ばれる地理的表示保護制度である(管轄:農林水産省)。現在、神戸ビーフや夕張メロンなど24種類の製品がこのGI制度に認定されている。
GI制度認定済の24種類は以下の生産物となる。
登録 番号 |
名称* | 写真 | 特定農林水産物等の区分 | 特定農林水産物等の生産地 | 登録日 |
---|---|---|---|---|---|
1 |
あおもりカシス 【登録簿】 【産品紹介】 |
|
第3類果実類 すぐり類 | 東青地域(青森県青森市、青森県東津軽郡平内町、青森県東津軽郡今別町、青森県東津軽郡蓬田村、青森県東津軽郡外ヶ浜町) | 平成27年 12月22日 |
2 |
但馬牛 【登録簿】 【産品紹介】 |
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第6類 生鮮肉類 牛肉 | 兵庫県内 | 平成27年 12月22日 |
3 |
神戸ビーフ 【登録簿】 【産品紹介】 |
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第6類 生鮮肉類 牛肉 | 兵庫県内 | 平成27年 12月22日 |
4 |
夕張メロン 【登録簿】 【産品紹介】 |
|
第2類 野菜類 メロン | 北海道夕張市 | 平成27年 12月22日 |
5 |
八女伝統本玉露 【登録簿】 【産品紹介】 |
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第32類 酒類以外の飲料等類 茶葉(生のものを除く。) | 福岡県内 | 平成27年 12月22日 |
6 |
江戸崎かぼちゃ 【登録簿】 【産品紹介】 |
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第2類 野菜類 かぼちゃ | 茨城県稲敷市及び牛久市桂町 | 平成27年 12月22日 |
7 |
鹿児島の壺造り黒酢 【登録簿】 【産品紹介】 |
第27類 調味料及びスープ類 その他醸造酢(米黒酢) | 鹿児島県霧島市福山町及び隼人町 | 平成27年 12月22日 |
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8 | くまもと県産い草 【登録簿】 【産品紹介】 |
第4類 その他農産物類(工芸農作物を含む) いぐさ | 熊本県八代市、熊本県八代郡氷川町、熊本県宇城市、熊本県球磨郡あさぎり町 | 平成28年 2月2日 |
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9 | くまもと県産い草畳表 【登録簿】 【産品紹介】 |
第41類 畳表類 いぐさ畳表 | 熊本県八代市、熊本県八代郡氷川町、熊本県宇城市、熊本県球磨郡あさぎり町 | 平成28年 2月2日 |
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10 | 伊予生糸 【登録簿】 【産品紹介】 |
第42類 生糸類 家蚕の生糸 | 愛媛県西予市 | 平成28年 2月2日 |
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11 | 鳥取砂丘らっきょう ふくべ砂丘らっきょう 【登録簿】 【産品紹介】 |
第2類 野菜類 らっきょう | 鳥取県鳥取市福部町内の鳥取砂丘に隣接した砂丘畑 | 平成28年 3月10日 |
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12 | 三輪素麺 【登録簿】 【産品紹介】 |
第15類 穀物類加工品類 そうめん類 | 奈良県全域 | 平成28年 3月29日 |
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13 | 市田柿 【登録簿】 【産品紹介】 |
第18類 果実加工品類 干柿 | 長野県飯田市、長野県下伊那郡ならびに長野県上伊那郡のうち飯島町および中川村 | 平成28年 7月12日 |
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14 | 吉川ナス 【登録簿】 【産品紹介】 |
第2類 野菜類 なす | 福井県鯖江市 | 平成28年 7月12日 |
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15 | 谷田部ねぎ 【登録簿】 【産品紹介】 |
第2類 野菜類 ねぎ | 福井県小浜市谷田部 | 平成28年 9月7日 |
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16 | 山内かぶら 【登録簿】 【産品紹介】 |
第2類 野菜類 かぶ | 福井県三方上中郡若狭町山内 | 平成28年 9月7日 |
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17 | 加賀丸いも 【登録簿】 【産品紹介】 |
第2類 野菜類 やまのいも | 石川県能美市及び石川県小松市(高堂町、野田町、一針町) | 平成28年 9月7日 |
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18 | 三島馬鈴薯 【登録簿】 【産品紹介】 |
第2類 野菜類 馬鈴しょ | 静岡県三島市の箱根西麓地域(佐野、徳倉、沢地、川原ヶ谷山田、川原ヶ谷小沢、川原ヶ谷元山中、塚原新田、市山新田、三ツ谷新田、笹原新田、山中新田、谷田台崎、玉沢) 静岡県田方郡函南町の箱根西麓地域(桑原、大竹、平井、丹那、畑、田代、軽井沢) |
平成28年 10月12日 |
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19 | 下関ふく 【登録簿】 【産品紹介】 |
第10類 魚類 ふぐ | 山口県下関市及び福岡県北九州市門司区 | 平成28年 10月12日 |
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20 | 能登志賀ころ柿 【登録簿】 【産品紹介】 |
第18類 果実加工品類 干柿 | 石川県羽咋郡志賀町のうち昭和45年から平成17年までの旧志賀町区域 | 平成28年 10月12日 |
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21 | 十勝川西長いも 【登録簿】 【産品紹介】 |
第2類 野菜類 やまのいも | 北海道帯広市、芽室町、中札内村、清水町、新得町、池田町字高島、足寄町、浦幌町 | 平成28年 10月12日 |
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22 | くにさき七島藺表 【登録簿】 【産品紹介】 |
第41類 畳表類 七島イ畳表 | 大分県国東市、大分県杵築市 | 平成28年 12月7日 |
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23 | 十三湖産大和しじみ 【登録簿】 【産品紹介】 |
第11類 貝類 しじみ | 青森県五所川原市(十三湖を含む。)、つがる市、北津軽郡中泊町 | 平成28年 12月7日 |
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24 | 連島ごぼう 【登録簿】 【産品紹介】 |
第2類 野菜類 ごぼう | 岡山県倉敷市(水島地域並びに倉敷地域のうち西阿知及び大高) | 平成28年 12月7日 |