こんにちは。ひとりで.comです。
2017年3月6日放送の未来世紀ジパングは「途上国から”宝”を見つける!」と題してスリランカの宝石を日本に売るマザーハウス、カンボジアの黒コショウを世界に輸出するクラタペッパーを特集します。
途上国の”宝”:スリランカの宝石 / カンボジアの黒いダイヤ
スリランカの宝石を日本に…マザーハウス
途上国に眠る宝に日本が…そして世界が注目している。
2017年1月、東京で開催された世界宝飾展。世界30カ国から1,100社が出展した。2万5,000人ものバイヤーがここで宝石を売買した。その中でひと際熱気に溢れていたのがスリランカのブースである。
実はスリランカは、国土の9割から75種類もの宝石が出る宝石の島なのである。
特にバイヤー達をひきつけたのはブルーサファイヤである。スリランカのブルーサファイヤはサファイヤの中でも格別で、英国キャサリン妃の指輪にも使われていた。
このブルーサファイヤを始めとする宝石は、スリランカの島南部のラトナプラという場所で採れるという。ラトナプラとは、”宝石の都”を意味する地名である。路上のいたるところで宝石の売買が行われている。
宝石は鉱山から採れると思いきや、実は田んぼの中から採掘できるのだという。穴の深さおよそ10メートル、そこから続く洞窟を10メートルほど進んでいくと、地殻にて宝石の原石を採掘している。ここは昔川底だった場所で、川底には宝石の原石が集まりやすいのだという。
この一体には他にもいくつも採掘場がある。そこに日本人女性の姿が…山口絵理子さん。2006年マザーハウスという途上国発のファッションブランドを立ち上げ、バングラデシュなどの途上国から世界に通用するブランドを立ち上げてきた。
マザーハウスの山口さんはバングラデシュでコーヒー豆の袋に使われるジュートという素材で高品質なバッグを作ったり、ネパールで廃れかけた草木染めの技術を活かしたストールを開発したりしてきた。
そんな山口さんは、スリランカで採掘できる宝石に目をつけ、革命を起こそうとしていた。スリランカで採れる宝石を元に日本向けにジュエリーを作ろうとしていたのだ。
スリランカ最大の都市コロンボのジュエリーショップを訪れると、そこにあるジュエリーはどれも大きくて重そうで派手であり、年配の旅行者がお土産に買っていく…という需要にしかマッチせず、今のままでは日本で販売するのは難しいと考えた。
そこで、山口さんは、自分でジュエリーをデザインしようと考えた。これまでもマザーハウスでは様々な製品をデザインしてきた。
今回山口さんがデザインした”デイアンドナイト”(ブルートパーズとシトリンの組み合わせ)というジュエリーは2つの宝石を重ねる形になっていた。その宝石を切削できる職人を探して奔走。スリランカの職人からすると、宝石を2つ重ねるというのは、これまでの常識とは一線を画し、戸惑いを隠せないでいた。
実は、山口さんは2016年12月、秋葉原にジュエリー専門の店をオープンしていた。その店内には、スリランカ産のジュエリーの数々が並んでいた。そしてスリランカで作られている事をアピールするために職人の工具や工場の写真も飾っていた。
そして、あの”デイアンドナイト”も2017年3月中旬には店頭に並ぶ予定である。
カンボジアのコショウが一大産業に…クラタペッパー
東京青山にあるイタリアンレストランのリストランテ ホンダ。この店はミシュランの常連で、店内はいつも満席。ここで使われているコショウが、カンボジア産のコショウ。一流シェフが絶賛するこのコショウには奇跡の物語があった。
カンボジアの首都プノンペンから車で4時間の場所にあるコッコン州。ここにその物語の主人公がいるという。地元の女性たちが摘んでいるのがコショウの実。ここには、約6ヘクタール、1万5,000本のコショウの木がなっている。
この農園を運営するのは、クラタペッパーの倉田浩伸さん。ここで働くカンボジアの人々は皆口をそろえて言うのは…
クラタがいなければ今頃カンボジアのコショウは存在していません。クラタが復活させてくれたのです。
実はカンボジアのコショウは倉田さんの手で3本の苗から復活したのである。
1992年、倉田さんはNGOでカンボジア支援に訪れた。そこであることに気がついた。支援だけではダメで何か産業になるものはないかと。しかし、なかなかカンボジアから世界に広められるものが見つからなかった。そんな折、1960年代のカンボジア経済統計を見ているとあるものが目に止まった。それはカンボジアのコショウの輸出量である。実はカンボジアは700年以上も昔からコショウ栽培が盛んだった。1960年代は国外に輸出されるほどの品質だった。
しかし、カンボジアの悪夢とも呼ばれる、1975年のポルポト政権時代に米以外の農作物の栽培が禁止されてしまった。更に20年に及ぶ内戦によってコショウ畑も壊滅状態に陥っていた。倉田さんはそんな状況下でなんとかコショウを復活させたいと考え、コショウ栽培ができる農家を探し、なんとか3本の苗を持っている農家を見つけた。その農家は…
カンボジアのコショウは世界一だったんだ
としきりに訴えていた。
その農家とともにコショウ栽培をはじめ、20年間で1万5,000本までに増やすことに成功し、黒いダイヤと呼ばれるまでになった。
倉田さんは2006年、世界でも珍しいコショウ専門の会社「クラタペッパー」を設立した。1番のウリは徹底した品質管理で、コショウの実はひとつひとつ手摘みし、天日干しにする。
通常コショウはこの段階で出荷するのであるが、クラタペッパーでは、ここから一粒一粒選別を行う。黒コショウの一番の特徴は皮にある香り成分で、これを一番大事にしたいため選別している中で皮がはげていたり、皮が黒くなっていない粒を選別することで品質の高いものだけに選別している。
最終製品になるまでになんと4割が弾かれてしまうという。
この黒いダイヤと呼ばれるコショウだけでなく、倉田さんは更に最高級のコショウを作り上げたのである。
ある日農家の人たちが売り物とは違うコショウを食べているのに倉田さんは気づいた。それが”赤いコショウ”である。
通常、黒コショウは実が熟す前の緑色の状態で収穫する。実が熟して赤くなってしまうと木が養分を奪われて枯れてしまうからである。だが、本当はこの赤い実が一番おいしいというのである。
そこで倉田さんは気が枯れないように、一房の中で数粒だけ実が熟した状態で収穫するようにし、その赤い実だけを集め”完熟コショウ”として売り出したところ、世界中のシェフから絶賛され、”赤いダイヤ”と呼ばれるようになった。あの青山のリストランテで使われているのもこの赤いダイヤである。
わずか3本の苗から復活したコショウ。今では、内戦前を上回る1万2,000トンを世界に輸出する一大産業に成長したのである。
【コショウの相場】
国際相場 | 800円 / kg |
カンボジア産 | 約900円〜2,400円 / kg |
倉田さんの黒コショウ | 約7,000円 / kg |
倉田さんの完熟コショウ | 約18,000円 / kg |