こんにちは。ひとりで.comです。
2017年3月13日放送の未来世紀ジパングは「シリーズ中国異変!「〇〇ブーム」に隠れた大問題」と題して日本式温泉ブーム、少林寺ブーム、外国人選別制度ブームの裏側にある中国の現状を特集します。
ブームの裏には、中国の抱える問題が潜む
【目次】
温泉ブームを商標問題
北朝鮮との境界線にある、丹東という街。ここにある中朝友誼橋という橋を渡ればすぐそこは北朝鮮である。北朝鮮との貿易の7割がこの橋を介して行われている。しかし、中国政府は国連の制裁に基づき、北朝鮮からの石炭輸入を停止した。
この町には、高麗街と言う朝鮮街があり、20万人以上の朝鮮族が住んでいるという。
この緊迫した町に話題の施設ができた。それが、江戸温泉城と呼ばれる施設。日本語の挨拶と大きな赤富士でお出迎え。入り口には桜と畳が敷かれている。この造り、一時期日本でも話題になった、上海の大江戸温泉物語(2016年12月オープン)と同じ作りである。いま中国国内には、日本式を謳った温泉施設が50以上も乱立し、大ブームとなっている。
入場料はおよそ600円。露天風呂から北朝鮮が一望できる。旅行などで日本に直接いけない人がこの温泉で日本気分を味わっているという。ここでもてなされる料理にも変わった特徴があり、日本式を真似た、回転寿司ならぬ、回転ひとり火鍋。火鍋の具材が回転寿司のように回っており、好きな具材を取って火鍋を食べる方式となっている。
中国では、こうした他国のブームを国際的な商標ルールを守らずに独自に建設、営業し海外からも非難を浴びている。
国際ルールから遅れを取る中国
日本風の商標として、以下の様なものが既に中国で商標として出願され登録されている。
湯河源 | 商標登録済 |
別府温泉 | 商標出願中 |
台場大江戸 | 商標出願中 |
熱海温泉 | 商標登録済 |
伊香保 | 商標登録済 |
草津 | 商標出願中 |
一般的な国際ルールに基づくと、商標というのは発明した人や本家が主張すれば登録されたものも取り消せるものであるが、中国では、先願主義を主張しており、先に出願した人が優先となっている。
したがって、中国では、今後有名になりそうな商標は、先に出願してしまい、それを高値で売却するという商標ビジネスがいま流行している。
そんな中国で、先月、注目の商標が登録された。それが「トランプ」である。実は大統領になる10年以上前に中国でこれを商標登録しようとしたが、先に中国人が登録していたため、取り消しを求めていた。しかし、トランプ側は連戦連敗だったという。それが、大統領に就任した途端、登録が認められたのである。
ここには、中国政府の今後トランプ大統領と協調路線を進みたいという考えが関係しているのではないかと言われている。
貧困層の希望、少林寺武術学校
中国内陸部、河南省にある人口65万人の登封市。この街を代表する学校が少林寺塔溝武術学校である。この学校の生徒数は3万5千人。中国拳法で有名な学校で、生徒はこの学校で中国武術を学ぶのである。この学校の生徒は男子だけでなく、生徒の1割が女子である。
その理由は、中国の五名山のひとつ嵩山にあった。その嵩山の山中にあるのが、武術を語る上で欠かせない崇山少林寺である。西暦496年に創建された由緒ある武術である。
登封市には、武術学校が約100校あり、生徒数は約10万人にものぼる。
この学校の生徒の多くが貧しい家族の出身であり、将来は軍隊や警察官などを志望する学生が多い。1日の大半を武術の授業に費やし、一般的な授業は1日3時間程度であるという。
彼らのあこがれは、成績上位たった80人の選抜組。選抜組は学校の学費の免除がされ、人民解放軍や警察などへの就職率は100%である。
中国には厳しい戸籍制度があるため、農民の子は一生農民であるのが一般的である。しかし、軍人や警察は国家公務員のため、一生が保証される。従って、軍人や警察になるということは、自分の人生や運命を変えられる手段のひとつなのである。
いまこうした貧困層と都市出身の人々の格差が”新格差”問題と言われ、問題になっている。今までは世界の生産拠点が中国であったため、それまで貧困だった農民工が出稼ぎ労働者として、少しだけ生活水準をあげることができていた。
しかし、より賃金の安い東南アジア諸国に生産拠点がうつってしまったり、安い労働人口が中国国内に増えてきたことにより、この農民工たちは再び貧困に陥ることとなってしまったのである。こうした農民工は、中国全土に約2億7,000万人いると言われている。
外国人選別制度
福建省の港町厦門。あるセミナーが中国全土でブームとなっている。そのセミナーに参加するのは、日本企業が多くこれまで日系企業300社以上が参加してきたという。
主催するのは、日系のコンサルティング会社TJCCコンサルティングである。
実は、2017年4月から外国人選別制度という制度がスタートする。それは外国人をABCランクに分けるというものである。
Aランク | ノーベル賞受賞者、オリンピック8位以内、大企業幹部 など |
Bランク | 起業の管理職や技術者など(60歳未満で大卒) |
Cランク | 臨時・季節労働者など(建設作業員・家政婦など) |
選別制度は、既に日系企業に影響を与え始めている。今回、取材に立ち会ったのは、静岡に本社を構え、2004年に中国に進出したユタカ技研という企業である。日本車メーカーに関わる自動車部品を製造しており、日本人社員7人が赴任している。
今回の選別制度で2人がBランクに入らない可能性がある、と言うのである。この企業の場合、選別制度のBランクに入らなければ、中国国内で働き続けることができなくなるというのである。
TJCCコンサルティングは、中国での年収、中国語のレベル、年齢などを細かく点数化しランクを判定する仕組みを開発。Bランクは60点以上となる。
この選別制度、政府が大々的に発表はしているものの、その制度を知らない外国人もいるという。
中国南部の広州。ここには、出稼ぎ労働者のアフリカ系外国人が多く暮らしている。登録されているアフリカ系外国人で約1万6,000人と言われているが、実際には20万人以上いると考えられている。その多くは安い賃金で働く労働者である。彼らは、今回の制度においては、Cランクをとらなければならない。
全人代で用意した習近平国家主席から国民へのプレゼント
携帯電話の料金値下げ
中国では日本と異なり、長距離になると携帯電話料金の上乗せが重かった。それによって国民の不満が大きかったのだが、それを廃止すると発表したのである。
青空(PM2.5対策)
火力発電所が最大の環境破壊の要因のため、石炭火力の発電所を減らそうとしていき、これから造る火力発電所はクリーンなガスの発電所にしようと、対策を打ち出した。
医療保険
医療費の負担が重いので、今回医療に関する補助金を1人あたり年間約500円増やすと発表した。