[未来世紀ジパング]( 前編 ) 池上彰の世界激変3時間スペシャル 世界を分断する”見えない壁” そのとき日本は? – 2017年4月10日 –

未来世紀ジパング
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こんにちは。ひとりで.comです。

2017年4月10日放送の未来世紀ジパングは「池上彰の世界激変3時間スペシャル 世界を分断する”見えない壁” そのとき日本は?」と題して世界の様々な”壁”を池上彰氏が解説する。

 

世界を分断する”壁”

 

”壁”と言われると、ベルリンの壁が象徴されるが、いまトランプ大統領の就任によっていろいろな壁が築かれようとしている。いったいどんな壁が世界にたちはがっているのか…。

 

 

”38度線”:韓国と北朝鮮との間の軍事境界線のいま

 

38度線
38度線

 

1950年6月朝鮮戦争がはじまった。軍事力で統一仕様と北朝鮮軍が韓国側に進軍したが、アメリカを含む国連軍がそれに応戦。一方北朝鮮側には中国軍が介入したが、国として参戦したとなると、第三次世界大戦にもなりかねないという懸念から、”義勇軍”すなわちボランティアが駆けつけたという形式に収まった。結局1953年7月に、”38度線”において、休戦協定が成立した。

 

その壁がいま揺らごうとしているのである。

軍事境界線の近くでは、北朝鮮側、韓国側がそれぞれの悪口を書いたビラを撒き、世論を操作しようとしている。例えば、北朝鮮内では、現委員長の金正恩氏に兄 金正男氏がいるということは、隠されているのであるが、それを暴露しようとするビラが撒かれている。

本来、長男が後を継ぐべきだという風潮がある中で、兄弟の事が知れ渡ってしまうと、金正恩氏の権威が揺らいでしまう。それを狙っているのである。

 

2017年3月6日、北朝鮮が日本海に向けてミサイルを発射。また4月5日にも同じく発射。そんな北朝鮮との国境にある中国側の延吉という地域は、北朝鮮の核実験施設のすぐそばに位置している。

この地域における人口54万人のうち、約6割は朝鮮半島からやってきた朝鮮族なのである。そういった意味において、北朝鮮とは切っても切れない地域となっている。

 

 

また、この地域には、2006年に設置された「朝鮮工業圏」という経済開発区があり、外貨獲得のため送り込まれている。ここで働いた賃金は全て北朝鮮に送られており、北朝鮮にとっては貴重な資金源となっている。

 

これまで中国と北朝鮮は、蜜月関係(ハネムーン)とも呼ばれていた。一緒に朝鮮戦争を戦った仲間という意識があった(血の同盟)。しかし、2017年2月中国政府は北朝鮮からの石炭輸入を禁止すると発表した。石炭輸出の約6割が中国向けだった北朝鮮にとっては、貴重な外貨獲得手段を失うこととなった。

 

中国にとって、北朝鮮の存在は、韓国を支援するアメリカとの壁を意味するため、北朝鮮が統一されてしまうと困ってしまう。しかしながら、昨今の北朝鮮の動きに耐えられなくなってきており、致命的にならない程度に経済制裁を行っている、という状況なのである。

 

 

 

 

 

揺れる韓国:北朝鮮 / アメリカとの”壁”

 

韓国ソウルでは、左派勢力が親北朝鮮を掲げて大規模デモを実施している。また右派は朝鮮戦争を経験した世代が中心になって親アメリカを主張している。

 

朴槿恵大統領の問題後、韓国次期大統領の最有力候補と言われている文在寅氏は左派勢力色が強く、

当選したらワシントンではなく平壌に行く

開城工業団地や金剛山観光の再開を

慰安婦問題の日韓合意を破棄する

などの発言を行っている。

 

文在寅氏は反日だった盧武鉉元大統領とも盟友だったため、日本に対しても厳しい主張を行っているのである。その煽りを受け、親日罪(日本が朝鮮半島を統治していたときに日本に協力していた人たちの子孫の財産を没収する)やチュチェ思想主体思想=人間が主体の世界をつくらなければいけない。その為には正しい指導を受けなければならない。すなわち金日成 / 金正日の指導を受けてこそ正しい思想になる)といった考え方を持っていると言われている。

こうなると、現在38度線で膠着している中国 vs アメリカの境界線が、日本まで迫ってくるかもしれないのである。

 

 

 

 

長崎県対馬海峡にある韓国との”壁”

 

海栗島
海栗島

 

福岡県にある築城基地は約1,500人の自衛隊が所属している。ここは西日本の空を守る防衛の要である。そして、日本とアメリカが共同開発したF-2戦闘機(平成のゼロ戦)が置かれている。もちろん、専守防衛のため、あくまで日本を守ることが主眼に置かれている。

 

航空自衛隊のスクランブル(緊急発進)は2016年4月から2017年1月下旬までで、1,000回を超え過去最多となっている。それだけ空で緊張状態が高まっているのである。特に現在、米韓合同演習が行われており、朝鮮半島は緊迫している。

 

上空侵犯の国籍不明機には相手の言葉でパイロットが話しかける事が必要なため、英語・中国語・ロシア語・朝鮮語を話すことができる必要がある。

 

実はいま日本の空の情勢が活発化している。これまで沖縄周辺では、動きが見られたが、昨今中国軍機の対馬海峡の通過に伴うスクランブルが増えているという。

 

長崎県対馬はおよそ3万人が暮らす静かな島である。ここは韓国第二の都市釜山から約50キロの距離で高速船を使うとたった1時間ほどで着いてしまう。朝出て夕方に帰る日帰りツアーが人気となっている。対馬で人気となっているのが、土産物店。日本のお菓子を買って帰る。2016年の対馬への韓国人観光客は過去最高の26万人となっている。

 

対馬の最北端にある海栗島は自衛隊の駐屯地なっており、一般人の出入りが禁止されている。ここで24時間、周辺の監視を行っている。ここは元々67年前にアメリカ軍が建てた基地で当時は朝鮮戦争が行われていた時期である。

 

この海栗島の建設に携わった唯一の日本人である早田吉夫さんは、

釜山が陥落したら対馬が防衛ラインになる想定だった。海栗島上空には、当時の世界最強機であるロシアのミグ戦闘機も飛び交っていた

という。朝鮮戦争時、実は、日本のすぐそこまで戦争の危険が訪れていたのである。

 

あまり知られていないが、朝鮮戦争で亡くなっている日本人もいた。日本特別掃海隊と呼ばれる海の機雷の撤去隊で、国連軍の要請でおよそ8,000人の日本人が秘密裏に派遣されていたのである。機雷の除去の任務の途中、機雷の爆発によっておよそ50名が命を落としていたのである。

 

 

 

 

 

アメリカによる北朝鮮への武力制裁は?

 

空母カールビンソン
空母カールビンソン

 

2017年4月末まで、米韓合同軍事演習が行われている。実は、空母「カール・ビンソン」が北朝鮮の近くに向かっている。その中には、オサマ・ビンラディンを暗殺した海軍特殊部隊である「シールズ」が待機しているという。

2017年4月15日は、金日成の生誕日であり、北朝鮮がもしこの時期に何かを行うと、トランプ大統領が行動を起こすこともあるかもしれない。

そして、2017年5月9日には韓国の大統領選挙があり、気が抜けない状況になっている。

 

 

 

 

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アメリカとメキシコの間の国境の「壁」とアメリカとカナダの壁

 

つい先日、ホワイトハウスのホームページにメキシコ国境の壁建設に伴う、条件が示された。それによると、壁の高さは30フィート(高さ9.1メートル)、材質は鉄筋コンクリートで穴をあけるのに1時間以上かかる事。そして、「周辺環境と調和し、美学的に心地よい」という事を条件として定めている。

 

 

 

 

カナダとの国境付近でも異変がおきていた。ノースダコタ州、ベンビーナは人口570名ほどのカナダとの国境付近でも壁の問題が起こっていた。ここに不法移民が集まっているという。なぜ、不法移民が集まっているのだろうか…。

 

ベンビーナの国境の反対側のカナダのエマーソンも人口640人ほどの小さな町である。ここ1ヶ月だけでも200人もの不法移民が来ているという。実はこの地域、アメリカとカナダの国境付近には壁や有刺鉄線といった物理的な国境線がないのである。従って、多くの不法移民がここを訪れるという。不法移民の多くが中東やアフリカといった紛争地域の難民だという。

 

元々はアメリカに助けを求めてやってきたのだが、トランプ政権になり行き場を失ったのだ。そして祖国へ強制送還されることを恐れ、カナダに逃げるしかなかったのである。

 

 

先日行われたアメリカ – カナダの首脳会談でも、

自分の在職中は、アメリカに悪人を入れさせない」と移民の制限を打ち出すトランプ大統領の傍ら、カナダのトルドー首相は「カナダは国民の安全を確保する責任を自覚しながら移民や難民を受け入れる制作を続けていく」と主張している。

 

 

 

 

後編へ続く…