こんにちは。ひとりで.comです。
2017年4月8日放送のNEC presents ミライダネは「結びつきが未来を変える」と題して、印刷業界におけるシェアリングサービスを提供するラクスルを特集します。
安く作りたい人と空き時間をマッチングする印刷ビジネス
【目次】
ラクスルでコスト削減!チラシ印刷の新たなサービス
最近良く見かける「ラクスル」の広告…一体どんなサービスなのかというと、あっという間にチラシや名刺を印刷し、地域に配布してくれるというもの。しかも格安で実現できる背景にあったのは、ICTによる仕組み。各地の中小の印刷工場をネットで結び、機械が稼働していない時に全国各地から印刷の仕事を融通し合うという画期的なビジネスモデルなのだ。そしてこのICTを使って、次なる課題解決にも乗り出した…その挑戦とは?
チラシのコスト削減!印刷機を持たない印刷会社?
東京足立区にあるデンキのタナカ。創業は1973年、大型電気店の登場で危機に陥ったこともあるが、地域の方々に支えられここまでやってこれたという。2代目店主田中さんが父から受け継いだこの店を守るために力を入れているのが、店の宣伝。それがレジの横に置かれたチラシである。
店長自らがデザインしたチラシは、月に1回以上オリジナルで作成している。チラシの作成に活用しているのが、ネット印刷のラクスルである。2年前からこのラクスルを活用しているが、1枚につき1円ほど安くなっているという。
多いときで1度に1万枚ほど作成するため、1万円ほどの経費削減になっている。
東京五反田にあるラクスルには、印刷機を持っていない。印刷機自体を自分の会社で持たず全国のパートナーの印刷会社と連携して、それぞれの特徴を持った印刷機の空いている時間を活用して印刷し、お客様に届けるという仕組みをとっている。
すなわち、印刷を依頼する人と印刷会社をラクスルが結びつけている、という事である。
全国の100社以上の提携印刷会社の印刷機の種類や数、稼働時間まで把握した上で、依頼者の住所や紙の大きさ、種類、納期なども考慮にいれ、適切な印刷会社に発注をかける。印刷会社は相場よりも安い金額で依頼を受けている。
提携パートナーが損をしている?
提携パートナーである東京都大田区プループ・オーシャンは1994年創業で従業員35名。ポスターやチラシなどの印刷を手がけている。デジタル化の影響で近年仕事が減少しており、機械が動いていない時間が増えていた。長い時は、半日間もの間印刷機が稼働しないときもあったという。その空き時間に目をつけたのがラクスル。その空き時間を有効活用することで価格を下げることに成功したのが、このラクスルの仕組みなのである。
従来ある設備で人間がいる以上、固定費は変わらない。少しでも印刷機が動いていれば、利益にはならないが、固定費は償却できる。
ラクスルの会員数は右肩上がりで、ここ3年で約10倍の37万人にまでなっている。その使い方は様々で保育園の園児募集のチラシや、コインランドリーの宣伝、洋食屋さんのメニューなど多岐にわたる。
ラクスルを思いついたきっかけ
ラクスルの社長、松本恭攝氏は、2008年慶應義塾大学を卒業し、経営コンサルティング会社のATカーニーに入社。その時、ある企業からコスト削減を依頼され、印刷の仕組みを調べていたところ、印刷が一番削減率の高い”非効率な市場”だという事だとわかったという。
2009年の印刷業界の市場規模を見ると、全体の市場規模が6兆円の中で大手2社が約3兆円。残りの約3万社の中小企業が半分の約3兆円という市場になっていた。
松本社長が中小の印刷会社を調査したところ、1日の機械の稼働時間が半分にも満たない企業が多く存在したと言う。
この工場の空き時間を使って、印刷業界を変えられるのではないかと考え、ラクスルを創業した。印刷会社を回り、提携の話を持ちかけますが、当初は相手にされないことが多かった。しかし、
2009年当時から今後インターネットによって、より持っている資産を有効活用できる世界がやってくる、仕組みを変えれば世界が変わると確信しており、1社1社丁寧に説明して回ったという。
そんなラクスルの仕組みにもまだまだ課題が多い。
例えば、印刷工場が持つ印刷機というのは、多種多様である。従って、A社で印刷したものとB社で印刷したものは、微妙に色合いが変わってしまうこともある。100社以上の提携パートナーがいるラクスルでは、どの印刷会社に依頼しても品質を一定にする事が課題なのです。
ラクスルの印刷会社との関係は、ネット上だけでなく、直接お会いして悩みをヒアリングする。それに対して、ラクスルがどれくらい支援できるかというのを調査して、出来る限りサポートしていく。こうして信頼関係を築いていくのがラクスルのやり方である。
更に、ラクスルでは、印刷するだけでなく、印刷したチラシを配布するサービスも行っている。江戸川区の居酒屋「しれとこ」では、このポスティングのサービスを利用し、アルバイト採用にも活かしている。2,400枚の配布を行い、3人の高校生を採用することができた。飲食店にとってアルバイト採用は悩みのタネだったが、この印刷+ポスティングのサービスを活用することで大きな効果を得ることができたのである。
運送の隙間時間を活用したハコベル
印刷のラクスルが次に目をつけたのが運送業界。
がっき配送ネット代表の冨川さんは、ミュージシャンの夢をあきらめ、今の仕事を始めた。レンタル楽器の配送を早めに仕上げた日は、ラクスルの展開するハコベルというサービスを利用して、空き時間で急な荷物の配送業務を受け、配送業務を行っている。
今回、冨川さんが依頼を受けたのは、広告代理店から、駅前で配布するポケットティッシュの配送。急遽駅前で配布するティッシュが足りなくなったため、補充をお願いしたいという内容だった。
これまで、こういった依頼に対しては、およそ1万4,000 – 5,000円ほどかかっていたのが、ハコベルに依頼することで5,000円前後で運ぶことができるようになったという。
ラクスル松本社長の考える10年後のミライとは?
ラクスルの松本社長の考える10年後のミライとして…
仕組みを変えて、新しいやり方を用いることによって、国内で需要と供給の新しいビジネスモデルを作り、21世紀に対応した産業にアップデートしていきたい
という。