[ミライダネ] ( ファームノート ) 農業のGoogleを目指す、スマホで牛の状況を管理 – 2017年4月22日

ミライダネ
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こんにちは。ひとりで.comです。

2017年4月22日放送のNEC presents ミライダネは「農業のGoogleを目指す、スマホで牛の状況を管理」題して、ファームノートの特集をします。

 

農業のGoogleを目指す、スマホで牛の状況を管理

 

”あらすじ”

スマホを使って、牛の生活状態や治療の履歴をクラウド管理!
何気なく食べている牛乳と牛肉。しかし安い外国産との競争や生産者の高齢化・跡継ぎ問題などで苦しい状況が続く日本の生産現場。そんな現場をIoTの力で改善しようと北海道・帯広のベンチャー企業が立ち上がった。今や当たり前に広がったスマホを使って、牛の生活状態や治療の履歴をクラウド管理!これまでベテラン農家の経験や勘にたよった牛の飼育を科学的に管理し、健康な牛を効率的に育てる仕組みづくりに成功!わずか3年で1600農家が導入し15万頭もの牛が“スマホ管理 ”されることに。さらに今、牛の発情期を的確に予測する新システムを開発するなど、進化し続ける技術を追った!
ファームノート 小林晋也 社長)

 

 

浅草今半の人気品種「北さつま牛」

 

今半 北さつま牛
今半 北さつま牛

 

明治28年創業の今半今半と言えば、サシが見事に入った牛肉をワリシタにつけた肉をさっとあぶって出来るすき焼きが有名。実は今半の肉は、特に銘柄を決めずその時に一番良い肉を厳選して仕入れている。その中でも多いのが、黒毛和牛の「北さつま牛」という品種。

 

実は、今半北さつま牛の品種管理にはある最新技術が用いられている。鍵をにぎるのは牛に付けられている黒い首輪とスマートフォンのアプリ。

 

今回は、おいしい牛肉と牛肉を作るヒミツに迫る。

 

 

 

 

 

牛の発情を感知するファームノートの仕組みとは?

 

鹿児島県さつま町。良質な牛肉を生産する農家が多いこの地。ここにある福永畜産は約1,100頭の肉牛を飼育している。ここで飼育されている牛の首には黒い首輪が付けられている。

 

この首輪、牛の発情を感知してメールを飛ばすことができる仕組みとなっている。その通知を受け取ると、直接、直腸越しに牛の子宮を触ることによって発情を確認する。子宮が緊張している状態になっていたら発情している証拠である。

 

発情が確認できたら、人工授精の作業にうつる。作業は5分ほどで終了。あとは受精を待つだけ。これによって子どもが多く生まれれば、農家の儲けが増えるのである。

 

牛の発情はおよそ21日周期でやってくる。しかもその発情はたったの8時間程度しかない。そのタイミングを知ることが農家に取っては致命的なロスになりかねない。

農家にとって発情時期を見逃すことは死活問題。それを知らせてくれるのがファームノートである。

 

牛は発情するとの口の反芻回数が増え、落ち着かずに歩き回るという性質を持っているため、その動きを捉え、サーバー上にデータを送る。送られたデータと過去のデータを人工知能によって照らし合わせ、発情と判断されるとそれをスマートフォンアプリ等に知らせる、という仕組みになっているのがファームノートである。

 

スマホさえあれば、牛の発情をどこでも確認することができる。これまでは、1頭ずつ実際に確認を行っていた。この福永畜産では、約150頭の繁殖雌牛を飼育しているが、1頭ずつ確認するには膨大な時間がかかってしまうため、見逃しなども発生してしまっていた。

 

しかし、ファームノートを使うことによって、発情の兆しが見える牛を確認すればよくなり、その分チェックにかける時間も減り、空いた時間はそれ以外のことに使うことができるようになった。

 

以前に比べて圧倒的に発情発見率があがった。以前は6割ぐらいだったが、ファームノートを使うようになって9割ぐらいに伸びた

 

という。

福永畜産では2017年2月にファームノートを導入した。これによって、これまで1日の種付け回数が2回だったのに対し、今ではおよそ1日5回になった。今後、生まれてくる仔牛の数が増えると期待されている。

 

ファームノートでは、こういった、種付けのタイミングを記録するだけでなく、牛の飼育の様々な記録を残すことができる。こういった情報をスタッフ全員で共有できるため、飼育の手間が大幅に減ったという。

 

ファームノートの利用者は、2013年のサービスリリースから右肩上がりに増え続け、今では1,600農家およそ16万頭の牛の管理に利用されている。ファームノートは、1頭当たり月40円で利用可能。ただし、100頭までは無料で利用可能となっている。

 

 

 

 

 

ファームノートを開発したきっかけ

 

ファームノート
ファームノート

 

そんなファームノートの開発者は、北海道の帯広市にいた。その人が、小林晋也社長。もともとは、ホームページの管理用ソフトなどを手がけていた。それがなぜファームノートを開発するに至ったのか…そこには小林さんの生い立ちが大きく関係していた。

 

小林さんの実家は、代々続く酪農家の家系。しかし、苦労の多い仕事ということもあり、祖父の代で途絶えてしまったという。得意のIT技術で北海道そして全国の酪農家の仕事を変えられないかと考え、ファームノートを開発した。

 

牛の管理ソフトはこれまでいくつかあったが、操作が難しいものが多かった。その為、ファームノートは誰でもシンプルに使えることを優先として開発を行った。

 

 

 

 

酪農の管理にも役立つファームノート

 

生乳そのままモッツァレラ
生乳そのままモッツァレラ

 

北海道にあるパインランドファームは約1,100頭の乳牛を28人の従業員で飼育している。生乳を使った加工品も手がけている。特に人気なのが、「生乳そのままモッツァレラ」。1頭あたり採れる生乳はおよそ35リットル。農場全体ではおよそ17トンほどになる。

 

ここでは、どのようにファームノートを使っているのだろうか。このパインランドファームでは、毎日どのくらい搾乳したのかをファームノートに1頭ごと記録している。そのデータは一括で管理され、28人のスタッフがいつでも閲覧できるようになっている。乳牛は病気や体調によって、搾乳できる量が変わってくる。そのため定点的にデータを集めることによって、そのサインを見逃さないようにすることができるのである。

ファームノート導入までは全て紙で管理していたため、資料の確認のためにわざわざ事務所にもどってきたり、人によって読めない字になっていたりとなっていたため、ファームノートの導入によって効率がかなりあがったという。

 

 

 

 

 

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農業のグーグルを作る?

 

ファームノートサミット2017で、ファームノートの小林社長が語ったのは、「畑版のファームノートの開発」。人工知能が最適な解を農家の方に通知し、より良い野菜を生産する仕組みを作りだそうというのである。

畑を絶えずセンサーで感知し、温度や湿度に応じて自動で水やりを行ったり、カメラで植物を撮影し変化をいち早く察知し、病気を未然に防ぐなどして、農家を改革したいと考えている、という。

 

 

 

 

 

ファームノート小林社長が考える10年後のミライ

 

たくさんの農家が「世の中を変えたい」「日本の農業を良くしたい」という農家を取り持って、1つの大きな力になって日本の農業をより良くする、つまり「和」を取り持つようなプラットフォームにしていきたいと考えている。