こんにちは。ひとりで.comです。
2017年5月4日放送のカンブリア宮殿は「GWスペシャル 激闘の箱根! 日本一の温泉地を作り上げた”乗り物屋”の執念」と題して小田急電鉄 会長 山木利満氏が登場。
箱根の価値をあげ続ける小田急電鉄の挑戦
【目次】
観光地:箱根の魅力
2015年6月、記憶にも新しい箱根山における小規模噴火。大涌谷周辺に避難指示が出るなど、箱根の観光業に壊滅的な打撃を与えた。
あれから2年、箱根の観光業はあの時の盛り上がりを取り戻しつつ合った。
神奈川県箱根町は年間2,000万人の観光客が訪れる全国屈指の観光地である。何が観光客を呼び寄せるかと言うと、例えば…ベーカリー&テーブル箱根では、焼き立てパンが振る舞われている。このテラス席では、足湯につかりながらパンが食べられる。
実は、箱根にはこうした魅惑のスポットが数多く存在する。
茶屋本陣 畔屋も2016年にオープンした施設のひとつである。小田原市の老舗が集結するちょっとユニークな商店街。例えば、1894年創業のしいのというお店では選りすぐりの珍味などが並んでおり、炊きたてのご飯と一緒に試食することができる仕掛けが用意されている。
中でも1番人気なのが、うめえじゃこ。
一方かまぼこの名店で1865年創業の鈴廣もここでは一味違う。ここだけでしか味わえない、かまぼこでできたたこ焼きなどが振る舞われている。
さらに…箱根湯寮と呼ばれる大きな施設では、休憩スペースと露天風呂が用意されている。ここは貸し切りで利用できる日帰り温泉である。2人部屋で1時間3,900円から利用することができるという。
プライベートな空間で温泉を楽しめるとあって、大人気なのである。
箱根町はこうした魅力的なスポットを用意することで客を呼び込み、全国の温泉地ランキングでも圧倒的な集客力を誇っている。
1位 | 箱根町 | 615万人 |
2位 | 札幌市 | 357万人 |
3位 | 日光市 | 303万人 |
4位 | 熱海市 | 293万人 |
5位 | 伊東市 | 261万人 |
こうした魅力的なスポットの仕掛人が、新宿に拠点を持つ小田急電鉄である。ちなみに、先程の茶屋本陣 畔屋も箱根湯寮も小田急グループが運営している。
関東の私鉄各線は、それぞれが、行楽地を抱えている。例えば京王電鉄は高尾山、西武鉄道は秩父、東武鉄道は日光や鬼怒川温泉といったようにである。しかし、その中でも箱根町への観光客数は群を抜いている。
箱根町 | 1,737万人 |
日光市 | 1,195万人 |
秩父市 | 507万人 |
高尾山 | 300万人 |
それを作り上げたのが、小田急電鉄なのである。
小田急電鉄には新宿 – 箱根間を結ぶ特急ロマンスカーがある。その歴史は既に80年以上。1935年「週末温泉特急」として新宿小田原間をノンストップで運行したのにはじまる。
小田急電鉄は箱根までの道を楽しんでもらうため、さまざまな車両を準備している。2008年からは「ロマンスカーMSE」という車両にて、東京メトロへの乗り入れを開始させ、新宿より東側の集客にも力を入れている。
新宿と箱根を結ぶ:小田急電鉄のゴールデンコース
小田急電鉄は、箱根までの道のりをさまざまな乗り物で導いてくれるのも大きな特徴のひとつである。箱根湯本駅まではロマンスカー、そこからは、日本一の急勾配を登る電車箱根登山鉄道、強羅駅からはケーブルカー、その先はロープウェイで芦ノ湖のほとりまで。そして芦ノ湖では遊覧船、箱根町港からは小田急バスで箱根湯本まで戻ってくることができる。この全ての交通機関を小田急電鉄が運営しているのである。
小田急電鉄は新宿駅を起点に年間乗降客数7億人の足を支える。その売上高は5,200億円。その中でもっとも重視してきたのが、ロマンスカーで結ぶ箱根戦略である。
小田急電鉄にとって、箱根はなくてはならない存在と捉えており、箱根に人が増えることによって、小田急電鉄も成長していく…と捉えている。実際、この10年で箱根に200億円を投資している。登山電車に窓の大きい新型アレグラ号を投入し、最新式のロープウェイに架け替えた。こうした努力を行うことによって、箱根をドル箱に変えたのである。
老舗旅館の挑戦
箱根富士屋ホテルは創業明治11年、建物は登録有形文化財に指定されている。過去には、チャップリンやヘレン・ケラーといったさまざまな伝説の著名人が宿泊してきた。
そんな名門ホテルの中にできた今までにないお店。そこで親しまれているのが、多くの著名人が親しんだアップルパイである。1915年から受け継ぐレシピを使用している。
更に1959年創業の箱根ホテル小涌園でも新たなチャレンジを続けている。三井家の別荘から譲り受けた自慢の庭園があることで有名だが…実は2018年1月に営業を終了することが決まっている。
その理由が…隣に新しくできた箱根小涌園「天悠」である。この天悠の最大の特徴は、150の客室全てに露天風呂が用意されている事である。1泊2日で33,000円からと単価もアップ。
小田急電鉄と西武鉄道の箱根山戦争
1930年代の箱根は、富裕層の別荘地として位置づけられており、まだ交通機関も整っていない不便な場所であった。
現在のような風貌に変化をはじめるのは1950年代。それは、西武鉄道と小田急電鉄の企業間争いからスタートしたと言われる。当時は、西武鉄道と小田急電鉄のバスが凌ぎを削っており、「箱根山戦争」とまで言われ、訴訟問題にまで発展した。
その決着をつけたのは…1960年の小田急によるロープウェイの開業である。これによって、西武鉄道との争いに終止符を打ったのである。
小田急電鉄のチャレンジ
実は小田急電鉄は、昔からかなりチャレンジを繰り返してきた会社なのである。その象徴とも言えるのが、伝説のロマンスカー「ロマンスカーSE」(1957年開発)である。まだ新幹線も誕生していないその時代に、試作機を100回以上も作り、空気試験を繰り返してできたのが、その流線型の顔である。
その流線型は新幹線のルーツとも言われるほど、当時は斬新なものだった。小田急電鉄は大胆な挑戦こそが道を開くと信じ、チャレンジを続けてきたのである。
そんな小田急電鉄がいまチャレンジしているのが、下北沢駅付近の複線化である。
現在の上下2車線の線路を倍の4本にしようというのである。
沿線人口が増え、年間7億人を運ぶ小田急電鉄のピーク時の1時間あたりの本数は27本。3分に1本以上のペースで列車を運行しており、通勤・通学の時間帯は常に緊迫した空気が張り詰めている。
こうした限界の混雑状況を打開するために複々線化のプロジェクトを30年かけてすすめてきた。既に下北沢駅付近以外の工事は完了し、2018年3月には完了予定となっている。
世界も絶賛!箱根の魅力をより世界に発信!
箱根町のナラヤカフェ。この店にはなぜか外国人客が多い。実はここは足湯の店。しかしそれだけじゃない。釜で焼いたマルゲリータや世界各地のお酒も楽しめるとあって外国人には非常に人気となっている。
実は近年、箱根町の魅力に気づいた外国人観光客が増え、年間100万人以上も訪れるようになったという。
このように箱根が外国人に人気になったのには、小田急電鉄のスタッフの努力が大きく関わっている。都内屈指のターミナル駅である新宿駅の小田急電鉄の案内所には、世界各国の言語を話せるスタッフを配置し、箱根の魅力を伝えている。
また国内だけでなく、海外で箱根の魅力を伝えるために2016年にはタイのバンコクに駐在所を設け、現地から箱根の魅力をアピールしている。