[ガイアの夜明け] ( 織田病院 / いしが在宅ケアクリニック ) 人生、最期まで〝我が家〟で… 〜家族で向き合う「在宅医療」〜 – 2017年5月9日

ガイアの夜明け
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こんにちは。ひとりで.comです。

2017年5月9日放送のガイアの夜明けは「人生、最期まで〝我が家〟で… 〜家族で向き合う「在宅医療」〜」と題して、在宅医療の最前線を特集する。

 

自分の人生を最期まで、どこで、どう過ごすか…。今や自宅以外の病院や施設にお世話になるのは当たり前だ。一方で国の調査によると「どこで最期を迎えたいか」という問いに、「自宅」と答えた人が54.6%で最も多い。その支えが「在宅医療」…病気の人も、社会保障費抑制の政策の中で、長期入院をさせないよう病院を出されるケースが多く、「在宅医療」の充実は今の日本で喫緊の課題だ。そんな中、患者に寄り添った医師や地域が、新しい試みを始めていた。

 

人生の最後を自宅で…在宅医療の最前線

 

 

織田病院のメディカルベースキャンプ

 

佐賀県南部に位置する鹿島市。人口およそ3万人。100年以上地域の医療を支えてきたのが織田病院織田病院のベッド数は110床に対し、新規の入院患者は年間3,200人を超える。そしてそのうち4分の1が80歳以上となっている。

高齢者の入院が増え続ける中、政府は医療費の抑制を促している。その為、全国の病院では入院期間を短くすることを促している。

しかし、入院期間の短縮は簡単ではない。せっかく退院しても自宅で病状を悪化させ再入院する高齢者も増えているという。

 

そこで、織田病院では、MBC(メディカルベースキャンプ)という在宅医療の前線基地をもうける取り組みをスタートさせた。

このメディカルベースキャンプには看護師・ヘルパー・理学療法士など「在宅医療」に関わるスタッフを集約させている。

ここを拠点に退院後2週間、患者の様子を見守る仕組みを取り入れたのです。

 

独自の見守りシステムを開発。在宅医療の対象者に対してタブレットとスマートウォッチを配布し、常にコミュニケーションが取れる状態を図っている。

 

在宅医療者とタブレットを通してテレビ電話を行い、状況を把握する、そしてスマートウォッチがナースコール代わりになっているため、スマートウォッチのボタンひとつで緊急の状態を病院に知らせることができるのである。またスマートウォッチには心拍数計測器がついているため、そのデータを常に計測することも可能なのである。

 

もちろん、このシステムも完璧ではない。高齢者にとってはタブレットが小さすぎて誰と話しているかがわからなかったり、音が小さすぎて会話が成立しない、といったことも起きている。そうした課題をひとつひとつ解決し、より多くの在宅医療者を対象としていこうとしている。

 

 

 

 

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いしが在宅ケアクリニックの取り組み

 

もし自分が治る可能性の低い末期の病気を患った場合、どこで最後を迎えたいか考えたことがあるでしょうか?

例えば病院、自宅、子どもの家、老人ホームなどの福祉施設、高齢者向けのケア付住宅など。2012年の内閣府の調べによると

 

1位 自宅 55%
2位 病院 28%
3位 老人ホーム 5%
4位 ケア付住宅 4%
5位 子どもの家 1%

 

半数以上の人が自宅で最後を迎えたいと答えている。しかし、最新のデータによると実際に亡くなった場所は

自宅が13%、病院が75%、老人ホームが6%と患者本人の想いと現実とは大きな溝が生まれている。

この溝を埋める取り組みを小さなクリニックがはじめていた。

 

「在宅医療」の専門医師:石賀丈史さん。いしが在宅ケアクリニック。2009年に開業し、医師9人、看護師11人が24時間対応で在宅ケアを行ってくれる四日市市では初のクリニックである。

 

ここでは、年間300人ほどの患者を在宅で看取っている。この数字は全国でもトップクラスだという。

 

いしが在宅ケアクリニックの医院長、石賀さんの原点は、高校生の時に祖母を自宅で看取った時の経験。10年間自宅で療養していた祖母の最後はとても穏やかだったといいます。

祖母の最後を看取ったときは、家で死ぬことは楽な死に方だと思ったのが原点だった。しかし医学部の実習の際、医師や設備が揃っているのになぜこんなにしんどい死に方しかできないのかと怒りを覚えた

こうした思いから在宅での看取りを行うようになったという。

しかし、全国の病院・診療所で「在宅の看取り」を実施しているのは全体の約5%ほどしかない。これを改善するため、石賀さんはある取り組みを進めている。

 

まず、24時間対応が必要な末期がんなどの患者をいしが在宅ケアクリニックが一手に引き受ける。一方、老衰や認知症など緊急性が少ない患者を周辺の開業医に引き受けてもらう。こうすることによって在宅医療に参入しやすくなると考えたのです。

これに応える医師も徐々に増えてきている。

四日市市では、石賀さんが在宅医療をはじめてからその輪が広がるようになり、現在では在宅医療を実施する医療機関が20ほど増加した。

 

石賀医師は…

在宅で(看取り)に関わった家族は、もちろん誰でもお別れはつらいけど、達成感ややりきった感を皆さん持たれるので自宅で望んだ時に利用できるシステムを整えるのは我々の責任だと思っている。

と在宅医療の充実を訴える。

 

 

 

住み慣れた我が家で最後を迎えたい。自宅で安心して診療してもらいたい。そうした願いを叶えるためには医療スタッフだけではなく、家族にも大きな負担をかけてしまう可能性がある。それは患者本人も望むことではないでしょう。

人生最後まで納得できるように過ごすため、本人そして家族にとってどんな仕組みが必要なのか、今回登場した医師たちの挑戦は、その課題を乗り越える一歩なのかもしれない。