こんにちは。ひとりで.comです。
2017年5月18日放送のカンブリア宮殿は「オシャレなのに格安!大人気イケアの秘密」と題して、イケア・ジャパン 代表取締役社長 ヘレン・フォン・ライス氏が登場。
シンプルデザインでオシャレ、しかも安い!イケアの秘密
【目次】
広大な敷地面積のイケア!セルフサービス家具のイケア
組み立て式家具で大人気のイケア。その店舗の特徴は1店舗あたりの面積の広さ。ほぼ全ての店舗で敷地面積が東京ドームとほぼ同じ。
イケアでは、家具だけでなく、ソフトクリームやホットドックといった家具以外のものも販売されている。驚くのはその価格。ソフトクリームはひとつ50円。ホットドックはひとつ100円。
さらに本格的なレストランもあり、いつも大盛況である。このレストランの名物が本格的なスウェーデン料理である。このスウェーデン料理だけを食べに来るお客さんもいるほどである。
一般的な家具屋では家具はアイテムごとに並べて展示するのが一般的だが、イケアではリビングやダイニングなど実際の生活空間を再現したルームセットが展示されている。
このルームセットは、実際にあるお宅を訪問し、その間取りを参考にしている。
売っているのは家具だけでなく、家庭で利用する雑貨類も充実しており、オリジナルの家電も製造している。こうした商品が揃っているから、見ていて飽きが来ない。
- 低価格
- 北欧デザイン
- 機能性
これこそがイケアの真髄である。
安さの一端の秘密は、その売場にある。家具のセルフサービスである。自分で家具類を倉庫からピックアップし、レジまで運ぶ。このセルフサービス方式は世界共通で、こうすることによって、倉庫の人件費を削減し低価格を実現しているのである。
イケアは現在世界28カ国に展開し、年間売上4兆円の世界最大の家具チェーンである。日本国内では、8店舗のみだが、その年商は767億円にものぼる。1店舗あたりに換算すると約95億円となる。この売上は驚異的な額である。
イケアの日本本社は、イケアの船橋店の上に構えられている。そんなイケア・ジャパンの社長、ヘレン・フォン・ライスは2016年8月に日本代表に就任している。就任後からヘレン氏は新たなビジネスも展開している。
京都の世界遺産に北欧家具?イケアの新ビジネスとは?
京都にある醍醐寺。ここは世界遺産にも指定されている伝統あるお寺である。ここにイケアのスタッフの姿があった。トラックで運ばれてきたイケアの家具を境内のそばの建物に運び込んでいた。
この建物をイケアの家具で揃え、カフェに変身させるという。
醍醐寺の住職 仲田さんは
デザインもシンプルで飽きが来ないし価値を継続して使っていくということはお寺がこれまでずっとやってきたこと。そういう価値観を理解してもらえた
という。
イケアは、家具を販売するだけでなく、こうした丸ごとプロデュースするビジネスにも力を入れ始めている。これがイケアの新ビジネスである。
イケアの歴史。スウェーデンの総本山
低価格を武器に日本で熱烈ファンを獲得したイケアだが、実は過去に日本での挫折を経験している。1974年、日本の家具販売会社(大阪の三井物産資材部、湯川家具、チトセ(現・アイリスチトセ)および東急百貨店)と業務提携し、1981年には南船橋に巨大店舗をオープンさせた。
広い売り場にセルフサービス…当時から今のスタイルを確立していたが、当時は売上目標を達成できず、わずか5年後の1986年に日本撤退を余儀なくされていた。
2006年にイケアは再上陸。人工スキー場、ザウスの跡地に日本1号店をオープンさせ、直営店として独自の運営方法を徹底させた。
お客のニーズを掴むために、住まいのリサーチ部隊を結成させた。実際に一般家庭に社員が趣き、どのような不満を持っているかの聞き取り調査を行う。年間200件以上のリサーチを行い、その結果を販売に活かしている。
そんなイケアの本社は、スウェーデン南部にあるエルムフルトという街。この街にあるイケアの工場であるイケアインダストリーでは、世界に出荷する家具を大量に製造している。ここでまとめて製造することでスケールメリットを発揮し、低価格を実現している。
さらに、梱包にも安さの秘密が隠されていた。フラットパックと呼ばれる梱包方式でひとつひとつが薄く梱包されるようになっている。こうすることで、一度に大量の家具を運ぶことが可能となり、物流コストの削減ができている。
イケア創業者とその理念
イケアの創業者は、イングヴァル・カンプラード氏(91歳)。スウェーデンのエルムフルト近郊の貧しい農村で生まれ、小さな頃から働いていたという。17歳でイケアを創業し、1代で世界最大の家具チェーンを築き上げたのである。
イングヴァル・カンプラード氏の創業からの理念は以下の言葉からも表れている。
作業デスクを作るのに300マルクかけていいならどんなデザイナーでもできる。200マルクでデザインしろと言われたら、相当な知恵と経験が必要だ。
洗練されたデザインと低価格の両立。これこそが、世界最大の家具チェーンへと成長した理念の真髄であると言えよう。
イケアのロングセラー、ポエングの日本人デザイナー
そんなイケアを象徴する商品のひとつが、ポエングと呼ばれるロングセラーの椅子である。特徴は体のラインに沿って曲げられた椅子のフレーム部分。これまでに3,000万脚以上販売されている。
実は、このポエングという椅子の生みの親は日本の中村昇さん(79歳)というデザイナーである。日本人初のイケアのデザイナーで約5年間イケアに勤めた。
31歳の時に家具のデザインの勉強のために留学した中村さんはイケアからスカウトを受けた。中村さんは、創業者のイングヴァル・カンプラード氏にイケアの掟を叩き込まれたという。当時、イケアには、商品によって価格設定が定められていた。その価格を越えてしまうとどんなに良い商品であってもイケアの商品として販売することはできなかった。
ポエングも創業者のカンプラード氏から一度販売NGの烙印をおされていた。しかし、中村さんは材料のコストダウンを実現し、商品化にこぎつけたのである。
人を大事にする北欧流経営
イケアには、短時間正社員という制度があり、社会保険・福利厚生などはフルタイム社員と同等の制度がある。2014年にこの制度を導入し、イケアは従業員が希望すれば正社員にする動きを進めている。その結果、現在では従業員の99%が正社員であるという。
船橋の店舗では、充実した社員食堂があり、ランチビュッフェが370円で提供されている。こうした、福利厚生を充実させることによって、キャリアを積んできた子育てママを定着させることに成功したのであった。