[ガイアの夜明け] ( はるやま-パーフェクトスーツファクトリー- / フレスタ ) “残業”やめられますか? 〜15周年企画 ニッポン転換のとき 第二弾〜 – 2017年5月23日

ガイアの夜明け
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こんにちは。ひとりで.comです。

2017年5月23日放送のガイアの夜明けは「”残業”やめられますか? 〜15周年企画 ニッポン転換のとき 第二弾〜」と題して働き方改革に挑むはるやまホールディングス傘下のパーフェクトスーツファクトリーとスーパーマーケットのプレスコを特集。

 

はるやまのノー残業手当 / プレスコの残業削減ボーナス

 

プレミアムフライデーの浸透はいかに?

 

2017年2月に発表されたプレミアムフライデー。月末金曜日に仕事を早めに終えて暮らしを豊かにしようという経済会あげての取り組みである。

プレミアムフライデー

日本国政府および経済団体連合会を中心とした、経済界が提唱・推進する、毎月末金曜日(フライデー)に、普段よりもプレミアムな生活を推奨する個人消費喚起キャンペーン。午後3時(15時)に仕事を終えることを奨励する働き方改革とも連携し、給与支給日直後に該当しやすい月末金曜日には、夕方を買い物や旅行などに充てることを推奨している。2017年(平成29年)2月24日より実施された[1]。

出典:Wikipedia

 

 

その初回となった2017年2月の月末。電気設備の保安管理を行う日本テクノはいち早くプレミアムフライデーの導入を決めた企業のひとつである。

日本テクノの社員はおよそ1,000人。2月のプレミアムフライデーでは、社員の4分の3にあたる約750人がプレミアムフライデーを活用した。

 

それから2ヶ月後の3回目のプレミアムフライデーはどうなったかというと…プレミアムフライデーの制度を利用したのはたったの80名に留まってしまった。

 

電通で起きた過労死自殺の問題やネット通販の人気の裏でささやかれる宅配業者の過重労働問題など日本の働き方はいま大きな転換点に差し掛かっていた。

 

 

はるやまが挑む残業削減。パーフェクトスーツファクトリーのノー残業手当

 

そんななか、働き方の見直しに取り組む現場があった。スーツ専門店のパーフェクトスーツファクトリーである。紳士服業界大手のはるやまホールディングスが全国展開する紳士服ブランドである。

本店がある池袋では、恒常的に残業が発生しており、昨年度同月の残業時間は平均で36時間。多い社員は60時間に迫るほどである。

 

2017年3月、そのはるやまホールディングスが残業時間削減のために大きな改革に乗り出していた。はるやまの改革の切り札は

 

ノー残業手当

 

である。残業ゼロの社員に手当を支払おうと言うのである。残業をしなかった社員にはノー残業手当として1万5,000円を支給し、残業した社員でもその残業代が1万5,000円以内であればその差額分を手当として支払うという仕組みである。

 

ノー残業手当
ノー残業手当

 

パーフェクトスーツファクトリー池袋本店のブロック長内山さんは、会社をあげて取り組むノー残業手当をなんとか成功させようと店舗内でのムダを改革しようと取り組み始めた。

 

どうしたら秒単位でも時間を削減できるかを考え、袋詰にかかる時間を秒単位で削減したり、店内の移動は接客の時以外早歩きを命じたり、よく売れる商品の在庫の場所を変更し移動時間を極力短くしたりと時間短縮の思考を凝らす。

 

さらに、店舗スタッフの接客スタイルにもメスを入れる。系列店舗全国105店舗の中で個人売上No.1にもなったスタッフの百合草さんの接客はお客さんの要望をじっくりきき、スーツだけでなく靴やネクタイなども併せて提案することで客単価をあげるスタイルだが、ブロック長の内山さんは接客の時間を短くするように指示を出す。

 

それに対して百合草さんは、接客にかかる時間はお客さんによって変わってくるため、早くするにも限度があるとこだわりの接客に注文をつけられることには少々抵抗感を持っていた。

 

ブロック長の内山さんは、ノー残業以外にも達成しなければならないことがあった。それが売上のノルマである。しかもノー残業手当制度が導入されたのは3月。紳士服業界は毎年3月と4月が新生活需要があるため最も繁忙期となる。この2ヶ月で1年間のおよそ半分の売上となるぐらいに繁忙なのである。

 

はるやまホールディングスの役員は敢えてこの時期にノー残業制度を導入した。そこには、「この時期にやらなければおそらく続かずに形骸化してしまう」という考えがあったからである。

 

パーフェクトスーツファクトリー池袋店では、これまで閉店後に行っていた商品の補充も接客の合間を縫って行うようにオペレーションを変更。しかし、日中にやることが増え接客に集中できなくなってくるスタッフも出てきたのである。

 

売上No.1の百合草さんの売上にも影響が出始めていた。ノー残業手当制度の導入からおよそ3週間後の4月のとある日、ついに百合草さんから内山さんへ制度の不満が伝えられた。役員とも話したうえで、内山さんが答えを出すことが求められた。

 

内山さんは、店舗の売上状況を見て、残業よりも売上とスタッフのモチベーション維持を大切にしようと考え、売上目標に到達しそうな日には残業をするように指示することにしたのであった。

 

ノー残業手当制度の導入から1ヶ月がたった4月16日、残業時間の平均は前年が36時間だったのに対して今年は3.1時間と10分の1まで削減された。更に、売上も前年比110%を超える実績となった。

 

これまで当たり前だった残業が、働き方を変えることによって、残業が少なくても同一もしくはそれ以上の成果を出せることがわかった一方、残業代の減少により手取り給与が減るという新たな課題もつきつけられているのであった。

 

 

 

 

 

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スーパーのフレスタ、残業削減で20万のボーナス支給

 

残業削減の取り組みで独自のアンケートを取ったところ、残業削減によって収入が減ったとこたえる人が全体の3割を越える結果となった。

 

残業削減
残業削減

 

 

残業代を当てにしていた社員にとって、暮らしへの影響はどうなるのだろうか。

 

 

残業削減によって手取り給料が減り生活に影響が出る…そうした問題に取り組もうとする企業が広島県にある。それがスーパーマーケットを運営するフレスタである。フレスタは広島県・岡山県を中心に58店舗を展開している地域で人気のスーパーである。

 

 

フレスタの本部では、残業を削減するための苦肉の策として終業時刻とともにオフィスの電気とパソコンの電源が落とされ、半ば強制的な帰宅を促される。長時間労働を見直そうと2017年2月からはじめた”荒療治”である。

 

 

フレスタの食品バイヤーの佐東さん。商品の仕入れから配置まで約2万点を担当している。少しでも無駄な時間を省こうと取引先との商談時間もこれまで30分だったが、1社あたり15分と定めた。

しかし、どの商品を仕入れるかによって店舗の売上に大きく影響がでる重要な業務のため、15分という短い時間では終わらないことも多い。

この日も結局3社45分で終わるはずだった商談は1時間半となってしまった。

 

フレスタでは残業をするためには必ず事前の申請が必要となっている。佐東さん、商談が長引いてしまったためこの日は締切が迫ったチラシのチェックのため残業をすることとなった。

簡単には残業をゼロにすることはできない現実があった。

 

 

更に、フレスタの人事部にある1通のメールが社員から届いた。

そこには…

残業代が減り、給与手取りが下がって困っている

という訴えが書かれていた。

 

人事部として、この状況を打破するために新たな従業員インセンティブ制度の導入を考えていた。それが、毎月の残業時間が少なければ賞与時に最大20万円のボーナスをプラスするという制度である。

これによって、社員自身が自らの働き方を見直すと同時にこれまで残業代が生活給となっていた人にとってもマイナスにならないようにしていきたいという。

 

さらにこの制度には、もうひとつ大きな狙いがあったのである。それが、新卒学生へのアピールである。こうした制度をアピールすることによって、学生からフレスタを選んでもらおうと考えていたのです。

 

 

 

いまやどこでも働き方改革。その本来の目的は社員やその家族の充実した生活を実現することです。残業削減はあくまでその手段のひとつに過ぎない。しかしそれを忘れると、残業削減自体が目的となってしまう。そして働くひとのための改革が、いつの間にか会社のための改革になってしまうかもしれない。企業も社員もこの転換点で新しい働き方を求めて考える必要があるのではないか?