[ミライダネ]( 慶應義塾大学 大西公平教授 ) モノを触った“触覚”を伝えよ – 2017年5月27日

ミライダネ
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こんにちは。ひとりで.comです。

2017年5月27日放送のNEC presentsミライダネは「モノを触った“触覚”を伝えよ」と題して、触覚を再現する最新の技術を紹介する。

 

触覚の技術を実用化

 

作用反作用の法則で感触の技術を実現

 

2017年3月に発売され、売り切れ店が続出したニンテンドースイッチ。人気の秘密はコントローラ。ゲームの映像と連動し、コントローラが振動するため、よりリアリティあふれるゲームを楽しむことができる。

実はいま、このコントローラのように、ものに触った感覚を疑似体験できる技術が急速に広まっている。バスキュールというベンチャー企業が開発したのは野球を疑似体験できるシステム。ヘッドマウントディスプレイをつけると、スタジアムにいるような気分になれ本当に野球をしているような体験を楽しむことができるのである。

 

バスキュール 野球
バスキュール 野球

 

 

 

慶應義塾大学の新川崎タウンキャンパス。ここで研究が進められているのがものを触った時に感じる感触である。この感触を研究して30年になるのが、理工学部教授の大西公平教授(64歳)。

 

研究用の機械で実験していたのは、動きが連動する2つの装置。この装置では、例えば片方の機械に風船をセットすると、もうひとつの機械で風船の感触を押している感覚を味わうことができるのである。

 

 

 

この技術のポイントは、小学校の理科の時間でも習った「作用・反作用の法則」である。ものを押した時の力と戻ってくる力、それぞれの力がおなじになるというのが作用・反作用の法則のポイントである。この反作用の力を再現したのが、上記の実験だったのです。

作用・反作用の法則
作用・反作用の法則

 

 

離れたモノの感触を伝える研究は1940年代、アメリカで始まった。多くの科学者が挑んできたものの誰一人成功に至らなかった。実現不可能と思われていたこの研究に大西教授が挑戦したのが、およそ30年前。

そして、作用・反作用の力を伝えて離れた場所でもその力を伝える事を世界で初めて再現することに成功したのである。

 

更にインターネットを使えば物理的に離れた距離でも触った感覚を感じることもできる。スマホで動画や音声を送るように、感触を体感できるようになれば世の中が劇的に変わるだろうと大西教授は言う。

 

 

医療の現場でも、この技術を積極的に取り入れようとする動きが進んでいる。

それが、世界で初めてだという手術ロボットである。機械が患部に触れた感触を医者に伝えることに成功したのである。今までも、直接患部を触らずに手術が行えるロボットはあったが、感触は医者の手には伝わらなかった。

患部の触覚を伝えることができれば、より今まで以上に安全に手術ができるようになると期待されている。現在は、動物実験の段階で5年後の実用化を目指しているという。

 

 

触覚の技術を義手に応用

 

更に、この触覚の研究が別のところにも活かされようとしていた。歌手の安藤みゆきさんは、生まれつき右手の手首より先がなく、これまでそれを当然として生活してきた。

 

そんな安藤みゆきさんと共同で研究を進めているのが、新しい義手の開発である。この義手は足の親指を上下させることによって義手を開閉できる仕組みになっている。さらにモノを持った感触が足の親指の裏に伝わるようになっている。

 

義手
義手

 

これまで使われていた電動義手は、触った感覚がわからないため、力加減が非常に難しかった。握手をするにも相手の手をぎゅっと握ってしまい、不快感を与えてしまうものであったが、この義手であれば、足の裏側で実際の感覚を体感できるため、自然と握手をすることもできるのである。

 

 

 

慶應義塾大学 理工学部:大西公平教授が考える10年後のミライとは?

 

その人でしかできない動作の事を「コツ」「秘訣」「匠」などと言ったりするが、その動作を今後は全部記録にとりロボットで再現することが可能になる。すると、1番上手な人の動作データを誰でも使え、ロボットに再現させることができる。その動作をインターネットで入手して訓練して習得できる時代がやってくるのではないか?