こんにちは。ひとりで.comです。
2017年6月15日放送のカンブリア宮殿は「さらば寝たきり! 奇跡のリハビリ病院」と題して初台リハビリテーション病院 理事長 石川 誠 院長が登場します。
日本から寝たきりを無くす!初台リハビリテーション病院
【目次】
初台リハビリテーション病院とは?
東京世田谷区の駒沢大学に80年続く寿司店 つるや鮨。江戸前に拘ったネタが人気の秘訣。近所のOLにも評判のお店である。ここの店主は3代目の磯貝さん。磯貝さんは42歳のときに脳出血で倒れ、左半身が麻痺し一生車椅子での生活を覚悟した。
入院のためにいった担当医から、「3ヶ月後には歩いて自宅に帰りましょう」と言われ、半ば疑いながらリハビリを実施した。結果、2ヶ月で劇的に回復し、今では寿司職人として返り咲いたのである。
その病院こそが、初台リハビリテーション病院である。
ホテルのようなロビーのリハビリ専門の病院である。この初台リハビリテーション病院の患者の84%が脳卒中によるまひを抱えているという。
脳卒中とは、脳梗塞・脳出血・くも膜下出血など、脳の血管に障害が起きる病気で、症状が重いと寝たきりになってしまう。寝たきりの原因の第一位が脳卒中である。
そんな中、この病院では、次々に回復させ、注目を集めている。患者の中には、元サッカー日本代表のオシム監督もいた。
脳卒中は中高年だけがなるわけではない。
この初台リハビリテーション病院は、急性期病院(救急病院)から自宅へ戻るためのリハビリテーションを行う回復期リハビリテーションの病棟で入院の条件は、発症から1ヶ月〜2ヶ月以内となっている。近年登場した新しい形の病院。
病床数は173床で中には10万円を越す特別個室も完備されている(差額ベット代:10万8,000円)。
そもそもリハビリテーションとは、筋肉や関節の機能回復訓練の事を指す。例えば、脳卒中によりる麻痺は手足を司る脳細胞にダメージを受けたことによって生じる。そこで、手足を動かし脳に信号を送ることで機能回復を促すのである。
行われるリハビリは全部で3種類。
ひとつめは、理学療法。立つ、座る、歩くなどの基本動作の訓練である。
ふたつめは、作業療法。腕や指先などを使う日常動作の訓練である。
みっつめは、言語聴覚療法。言葉の発声や認識の訓練である。
初台リハビリテーション病院、回復の秘訣
ここの院長が、石川誠医師である。石川さんは日本リハビリ医療のパイオニアである。石川さんが作った初台リハビリテーション病院の患者回復の秘訣はさまざまである。
回復の秘訣①:チーム医療
ミーティングに集まったスタッフは、看護師、理学療法士、言語聴覚士、作業療法士、医者と職種はさまざま。この初台リハビリテーション病院では、スタッフ数が基準の5倍以上にもなる。
患者1人に10人のスタッフがつき、それぞれの専門性に合わせて患者の症状を確認していくことで、どの程度のリハビリが必要化を判断する。
回復の秘訣②:毎日3時間、1日も休まずリハビリを実施
初台リハビリテーション病院では、入院から退院までの間、毎日3時間、1日も休まずリハビリを実施する。
回復の秘訣③:日常の動作全てがリハビリ
ここでは、着替えもなるべく自分でやってもらう。自分でやることが早い回復にもつながるため、スタッフの手助けも最小限としている。
回復の秘訣④:チーム全体で情報共有
患者の回復経過は、電子カルテを通じてチーム全体で共有される。患者のやる気を引き出すことが最も重要なリハビリでは、患者の趣味や希望などをチーム全員で共有することで、より効果的なリハビリができるように促しているのである。
回復の秘訣⑤:食事は食堂でとる
食堂への移動も、食事そのものもリハビリの一貫である。その食事もすごく、元ホテルのシェフや板前などがおいしい食事を提供する。病気のときこそ、おいしい食事を…というのが理事長、石川さんの考えである。
こどもの頃、病気になったらおいしいものが食べられた。風邪をひくとバナナが食べられたり桃の缶詰が食べられた。
なぜ最近病院に行くと日頃よりおいしいものが食べられなくなった。病気や障害と闘っているなら目一杯おいしいものを食べたほうが良い。
という。
初台リハビリテーション病院での平均入院日数は85日程度となっている。在宅復帰率も89.6%という驚異的な数値である。
石川誠さんの経歴ときっかけ
石川さんは1975年、群馬大学医学部を卒業し、脳神経外科医となった。転機となったのは、長野県佐久総合病院の勤務時代。50代の脳腫瘍の患者を手術したときの事である。
腫瘍は無事摘出できたが、手術後寝たきりになってしまった。その時、院長の若月医師が
この患者の人生は全て君が責任を持つんだな
と言ったという。
石川さんはその言葉に大きな衝撃を受けた。病気の面倒を見るだけではなく、患者の人生を診る医療を目指すため、メスを置き、リハビリテーション専門医に転身した。
当時はリハビリが浸透していない時代で、全国に脳卒中を要因とした寝たきりの患者があふれていた。
そこで、今の回復期リハビリテーション病棟の仕組みを考えたのである。これが普及すれば寝たきりはなくなる。しかし、当時はリハビリに対する診療報酬が低かった。そのため、病院経営者はやりたがらない…そこで石川さんは何度も国に働きかけ、2000年、回復期リハビリテーション病棟を制度化と診療報酬の引き上げに漕ぎつけたのである。
その2年後、初台リハビリテーション病院を開院し、普及のきっかけを作ったのである。
退院後のリハビリケアも
東京都台東区浅草、ここに石川さんが手がける画期的な施設がある。それが在宅総合ケアセンター元浅草である。
前身は20年前に石川さんが立ち上げた在宅医療の「たいとう診療所」である。医師の往診と訪問リハビリによって、退院して自宅に戻った患者が再び寝たきりになるのを防ごうというのである。
寝たきりにさせないため、地域の人々に対してさまざまなサービスを展開している。例えば、通所リハビリテーションとして、日帰りでリハビリを行えるサービスである。現在およそ300名の方々が利用している。
在宅総合ケアセンター元浅草のスタッフは総勢116名、常勤医師は5名している医療と介護の総合サービス拠点である。
通常、在宅医療や介護のサービスを利用する際、利用者は、訪問診療・外来診療・通所リハビリ・ケアマネージャー・訪問リハビリ・外来リハビリ・訪問介護といったそれぞれのサービスに対して個々の窓口にアクセスしなければならず、大きな負担となっていた。それを軽減するため、ひとつの窓口で済むこの施設を作ったのである。
在宅総合ケアセンター元浅草の顧客は周辺3キロ圏内に暮らす患者約360人。その患者に対して365日・24時間体制で対応している。
医師の役割は病状の管理だけでなく、リハビリの計画を立てることも含まれる。これは、公的医療保険サービスである。計画に則って、作業療法士が週に1度訪れる。これは介護保険サービスである。
2025年問題に向けて…
2025年問題…団塊の世代が75歳以上になる年を迎えるにあたって、都心部なら人口5万〜10万人の場所に1ヶ所、在宅総合ケアセンター元浅草のような場所があれば、その問題に対しても大きく変わっていくのではないか?
と石川さんは言う。