こんにちは。ひとりで.comです。
2017年6月29日放送のカンブリア宮殿は「”ふるさと納税”ブームの仕掛人が登場!地方創生を図るITベンチャーの戦略と展望」と題して、トラストバンク 社長 須永珠代(すなが たまよ)氏が登場します。
ふるさと納税トップシェア:トラストバンク
【目次】
いま、大流行のふるさと納税とは?
いま盛り上がっているふるさと納税。名前はふるさと納税であるが、全国の好きな自治体に寄付することができるため、必ずしも自身のふるさとである必要はない。
ふるさと納税の返礼品には日本中の名産品が並ぶ。例えば、静岡県の焼津では、マグロの水揚げ日本一ということもあって、ふるさと納税先として人気となっている。1万円のふるさと納税の寄付で天然ミナミマグロの中トロと赤身の併せて180gなど寄付金に応じて170品目が用意されている。寄付金が50万円になると、天然ミナミマグロ丸ごと1本が返礼品として受け取ることができるのだという。
ふるさと納税をきっかけにスポットが当たった町もある。岡山県の吉備中央町は米の産地。ここのコシヒカリが寄付金1万円で20キロも返礼品として受け取ることができる。
ふるさと納税の返礼品需要によってコシヒカリの需要があがり、作付けを増やした農家もいるほどだという。
ふるさと納税の仕組みとは?
ふるさと納税は、気に入った自治体に対して寄付することによって返戻品を受け取ることができる。さらに寄付した金額が翌年の住民税などで控除される、という仕組みである。
例えば、5万円寄付した場合、手数料にあたる2,000円を差し引いた48,000円が控除となる。翌年払う住民税などが48,000円が安くなるのである。ふるさと納税先を何箇所選んでもその年に負担するのは2,000円のみ。つまり、実質2,000円でいくつもの返礼品を受け取ることができるのである。
2008年にスタートしたふるさと納税の仕組みであるが、当時は81億円だったが、2014年から一気に加速し、2016年度は推定2,700億円もの規模になっている。
ふるさと納税ブームの火付け役:トラストバンクのふるさとチョイス
このブームに火をつけた仕掛人が…株式会社トラストバンクである。創業は2012年、従業員は70名である。ふるさと納税の寄付額と比例するように急成長している。株式会社トラストバンク では、「ふるさとチョイス」というサイトを運営しており、このサイトでは、1,288の自治体の全ての情報を網羅しているのが特徴である。寄附金額2,700億円のうち、約7割がこの「ふるさとチョイス」経由で申し込まれているという。
このふるさとチョイスが、ふるさと納税サイトでは圧倒的なNo.1となっているのである。
ふるさとチョイスには、全国の自治体が用意した返礼品12万点以上が掲載されている。返礼品はカテゴリーごとにわかれていて、商品から寄付先を選ぶこともできる。また、返礼品のランキングもあり、人気のある返礼品に一発でたどり着くことができる。
インターネットはちょっと苦手…という方向けに、ふるさとチョイスCafeという店舗も設けられている。ここではふるさと納税の仕組みや申し込み方などをスタッフがしっかり行うことができる。
こうした取り組みの効果もあり、ふるさとチョイスの会員数は2017年現在157万人にも登っている。
そんなふるさとチョイスと手を組み大成功しているのが長崎県平戸市。2014年度はふるさと納税による納税額が全国1位の14億6,259万円となった。その理由は…魅力的な返礼品を揃えたからである。とれたての地魚の詰め合わせや幻の平戸和牛などが用意されている。
主なふるさと納税サイトと圧倒的優位な要因
【主なふるさと納税サイト】
サイト名 | 提携自治体数 |
ふるさとチョイス | 1,200以上 |
楽天ふるさと納税 | 213 |
さとふる | 171 |
ANAのふるさと納税 | 72 |
なぜ、大手ひしめくふるさと納税サイトの中で、トラストバンクが圧倒的な地位を取り続けているのだろうか。トラストバンク 社長 須永珠代氏は
まずは先行者メリットが大きかったと思われる。2012年にふるさとチョイスをオープンした。他社は2年以上遅れてスタートした。
さらにふるさとチョイスを活用して、自治体の皆さんが「地場産業を盛り上げる」「地域の産課題解決をしたい」という強い想いを持ち、成功事例を作っていけた事が躍進させた要因だと考えている
という。
トラストバンク:設立の経緯
トラストバンクの須永社長は1973年、群馬県伊勢崎市生まれ。就職氷河期の時期だったがなんとか東京で働きたいと東京の企業50社以上に応募するも全て落ちてしまう。
しかたなく地元に戻り、自動車ディーラーの事務職に就職した。一緒に働く先輩があまり楽しそうに働いていない姿をみてわずか1年ほどで退職。
その後定職につけず塾の講師や結婚相談所のアドバイザーなど派遣社員やアルバイトで働く。さらにリーマンショック時は仕事すら見つからず1年間無職になったこともあった。その後はITベンチャーでウェブデザイナーとして3年間就業。
その後、実家に帰郷した際、父親からホットプレートの購入を頼まれ、地元の電気屋に訪問した。目当てのホットプレートがあったのだが、値段が気になり帰宅後ネットで値段を確認するとネットの方が安かった。結局ネットで購入したのだったが、その一連の出来事を父親に話すと…
「珠代、それじゃダメだ…地元にお金が落ちないじゃないか」
と言われた。その時は何を言っているのか理解できなかった。自分自身はモノを購入するということに関して「安い」「早い」「楽」という価値観しか持っていなかったが、父親はそれに加えて「どこにお金が落ちるか」という価値観を持っていたのである。
疲弊する地域にお金を落とす…という事に挑戦しようと2012年、資本金50万円でトラストバンクを創業し、ふるさとチョイスを立ち上げたのだった。
トラストバンク須永氏は、地域の課題解決にもふるさと納税を役立てたいと寄付金の使いみちから寄付先を選べるようにした。
例えば佐賀県では糖尿病患者を救う寄付金を集い、7,000万円を集めた。また岩手県西和賀町では2015年3月に発生した土砂崩れで道の駅が休業に追い込まれたが、その代替としてキッチンカーを用意するための寄付金を募り、1,000万円を集めることに成功した。
子育てを全面的にバックアップし効果をあげた北海道上士幌町
ふるさと納税の使いみちを正確にし、成果を出したのが北海道の上士幌町。人口は4,952人で主な産業は酪農と林業という典型的な過疎地域である。
しかし、ふるさとチョイスと手を組み、希少なブランド牛を返礼品にすることで大成功し、21億ものふるさと納税額を集めることができた。
この21億という額は、町民税の9倍に当たる。寄付金の使いみちは最初から一貫しており、寄付から経費を除いた分は全て子育てと少子化対策に活用している。
この町では町営のこども園を作り、保育料を無料とした。いまや園児は140人となり、待機児童もゼロとなった。寄付金から外国人講師も雇い、絵本やDVDも大量に購入した。さらにスクールバスの購入。こども園だけでなく、高校生世代まで医療費を無料とした。
結果、上士幌町の人口は減少傾向から増加傾向に変わった。
加熱するふるさと納税競争
ふるさと納税は住民税が控除されるため、自治体によって、その控除額が税収として減り、得をする自治体と損をする自治体が分かれる。以下の表でも分かる通り、比較的都心の自治体が損をしていることになる。
ふるさと納税ブームが加熱する中、国も動き始めた。総務大臣から
返戻割合の高い品に関しては速やかに3割以下とするように
と通達が出されたのだ。
ふるさと納税は、今回紹介された「ふるさとチョイス」以外でも以下のサイトでも納税することができる。
株式会社さとふる |
株式会社noma-style |