こんにちは。ひとりで.comです。
2017年7月2日放送の未来世紀ジパングは「日米中が欲しがるフィリピン!ドゥテルテその後の異変」と題してフィリピンと中国・アメリカ・日本との関係と今後について特集します。
日米中が急接近!本当の理由
【目次】
フィリピンにおける”麻薬戦争”。麻薬撲滅のため軍を投入
いま世界の大国がある国に大接近している。それがドゥテルテ大統領が率いるフィリピンである。
いま、フィリピン各地では、笑いヨガというリハビリが流行している。笑うことでドーパミンが分泌され、麻薬を使ったときと同じ快感が得られるのだという。それによって麻薬への依存が減らせるのだという。
2016年には、世界最大級、約1万人を収容できる麻薬中毒者専用の更生施設が完成した。その理由は、ドゥテルテ大統領がすすめる麻薬撲滅運動の影響である。フィリピンには約400万人もの麻薬中毒者がいる。それを一掃しようと言うのである。これを撲滅する、いわば”麻薬戦争”である。この”麻薬戦争”で殺された人は既に8,000人を超えている。
さらにいま、麻薬戦争で新たな問題が起きている。取材班が麻薬取締りに同行した。現場につくと男が取り押さえられていた。現場の棚から出てきたのは3グラムの覚せい剤だった。
終わらない麻薬戦争…それには理由があった。
それは、警察官の中にも麻薬の密売に関わっている人がいるためである。警察官の中には借金を抱えている人がおり、借金を返せなくなると麻薬の密売に手を染めるのだという。
そして2016年、警察官の腐敗の極めつけとも呼べる事件が起きたのである。
麻薬捜査の警察官が捜査を口実に韓国人ビジネスマンを誘拐。身代金を受け取り後、殺害したのである。
これにはドゥテルテ大統領も激怒。
「警察は根から腐りきっている」
そして、警察による麻薬捜査を一時中断したのである。
そして、ドゥテルテ大統領は警察に代わって、フィリピン軍を投入し、麻薬撲滅を指示したのである。フィリピン軍は普段、ゲリラ戦の演習をメインで行っているため、潜入捜査等には慣れていない。したがって、麻薬戦争のための訓練を日々行い、麻薬撲滅のために奮闘していくこととなる。
アメリカ軍とフィリピンの関係
ドゥテルテ大統領の支持率はいまだに80%を保っており、経済成長率も6%を超えている。
アメリカにとってフィリピンは安全保障上の要衝であるため、アメリカにとってフィリピンが重要なのである。かつて、フィリピンには、アジア最大のアメリカ軍基地があった。しかし、1992年、フィリピンに返還された。そのフィリピン周辺で中国が台頭してきたため、2014年、再度アメリカ軍との関係を見直し、アメリカ軍が駐留できるようになった。
さらに、アメリカ軍が中東に行こうとした場合、フィリピンの基地がなければ、インド洋に浮かぶディエゴガルシア基地まで、中継地点がないことになってしまう。これはアメリカにとっては大きな不利になってしまうため、フィリピンに基地があることが重要なのである。
中国とフィリピンの領有権争い
フィリピン北部の村で漁を営む漁師たちは、近年中国によるスカボロー礁への駐留に手を焼いている。スカボロー礁は、フィリピン人が昔から漁を行ってきた場所だが、5年前から中国が領有権を主張し始めたのである。
特に漁師にとって、スカボロー礁は魚が豊富に取れる漁場のため、スカボロー礁で漁ができないとなると、死活問題なのである。
スカボロー礁周辺には今でも中国海警局の船が監視を行っている。
最近では、少し中国側もスカボロー礁周辺での漁を黙認し始めているという。その理由は、ドゥテルテ大統領が中国に対して、歩み寄りを見せているからである。
2016年10月、ドゥテルテ大統領が中国に訪問しトップ会談の中で「スカボロー礁における漁業活動を黙認しよう」という合意を中国側から取り付けたのである。
2017年7月、中国の領有権主張に根拠がないという仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)の判決を勝ち取り、全面勝利となった。本来ならば、これをタテに全ての領有権を主張するところであるが、ドゥテルテ大統領はこれを交渉材料として敢えて話題にしないスタンスで会談に臨み、黙認を取り付け、さらに中国から2兆5,000億円の経済支援を引き出したのである。
1,000人が駐留する人工島?
南沙諸島の7箇所に中国は人工島を次々に作っている。そのひとつの人工島は東京ドームの57個分の広さもあるのだという。
その人工島には、長さ3,000メートル以上の滑走路、戦闘機が入る格納庫があり、軍事利用される目的であることがわかる。
さらに、陸上のトラックやバスケットコートがあるため、長期間におよぶ駐留を目的としていることもわかる。
日本のビジネスパートナーとしてのフィリピン
フィリピンの沿岸警備隊の本部には、日本が供与した巡視船があった、日本政府は2018年までに10隻の供与を決定しており、総額187億円を支援することとなっている。
ジャパンマリンユナイテッドが新しい巡視船の使い方を指南している。船内にある洗濯機や電子レンジなどは全て日本製となっている。
ドゥテルテノミクスとして、インフラの整備を宣言している。今後3年間で8兆円を投じて整備していくという。その中でも日本は経済支援として1兆円の支援を予定している。さらにドゥテルテノミクスのもうひとつの目玉が「貧困対策」である。貧困層を現在の21.6%から14%に下げようという目標を立てている。
貧困層を救うグローバルモビリティサービス
マニラにあるハッピーランドは貧困を象徴する街である。ハピランとは、フィリピンの言葉で悪臭のするゴミという意味である。ゴミの中から売れそうなものを見つけ出し、収益を稼いでいるのである。1日の儲けは100ペソ=220円程度である。
いま、その貧困層の中で流行っているのが、カラオケである。1曲5ペソほど。またこどもたちの間では、インターネットも流行っており、5分1ペソという価格で利用することができるようになっている。貧困街のこどもたちもFacebookを使っているのである。
この貧困層の暮らしを日本のベンチャー企業が画期的な方法で変えようとしていた。3年前までホームレスだったマイケルさん、日本のベンチャーが行う仕事でホームレスを抜け出すことができたのだという。その仕事が三輪自動車、トライシクルタクシーの運転手である。1回16ペソ(35円)で多い時は1日80組のお客さんを乗せ、充実な生活を送ることができたのである。
このトライシクルタクシーのバイク、ホームレス時代にローンで購入したという。一体ホームレスの人がどうやってローンを組めるのだろうか。
その仕組みを作ったのが、グローバルモビリティサービスという日本のベンチャー企業である。
トライシクルタクシーに備わっているエンジンにその仕組みがあった。実はこのエンジン、遠隔操作でエンジンを停止することができるのである。
遠隔でエンジンを停止することができるため、ローンの支払いが滞ればトライシクルタクシーが使えなくなるため、購入者はローンをすぐさま支払うのである。
グローバルモビリティサービス中島徳至社長は
これまで、自動車の場合、鍵を持っている人が全ての権限を持っていたため、お金を払っても払わなくても自動車を使い続けることができた。しかし、例えば携帯電話の場合、支払いが滞ると通話や通信ができなくなる。その為、支払い遅延が発生すると、誰もが料金を支払う…これと同じ仕組みを自動車に導入したかった
と語る。
現在グローバルモビリティサービスのトライシクルはフィリピンで500台ほど走っているが、来年3月までに3,000台に増やす計画である。
フィリピンではじまった危機
イスラム国に忠誠を誓う、イスラム武装勢力「マウテ・グループ」がマウライ市を占拠。ドゥテルテ大統領はミンダナオ島に戒厳令を出し、フィリピン軍を投入した。掃討作戦を開始したのである。1ヶ月以上たった今も戦闘が続いている。
ISが背後についているということは世界的な課題になってくる可能性があるため、テロの最前線としてフィリピンがクローズアップされてくるのではないだろうか。