[ミライダネ]( 水分センサー / センスプラウト ) 植物を元気に育てるセンサー技術 – 2017年7月8日

ミライダネ
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こんにちは。ひとりで.comです。

2017年7月8日放送のNEC presentsミライダネは「植物を元気に育てるセンサー技術」と題して、水分センサーやセンスプラウトを特集します。

 

ベランダのガーデニングや家庭菜園など、花や野菜をそだてるのが楽しい季節!でも「水やり3年」と言われるほど、植物の状態を見ながら適切に育てていくのは至難の技だ。

農業はこれまでベテラン農家の経験と勘によって行われてきた。しかし、それだけでは安定した収量と品質を確保することは難しく、新たに農業をはじめようという人たちにとっても、栽培技術を身につけるまでに長い年月が必要となってしまう。

そこで東京大学の川原圭博准教授が開発したのが、土壌の水分量が計測できるセンサー「センスプラウト」。

作物の生育に大きな影響を与える水やりのタイミングや量をデータ化することで、誰でも農業を行いやすくできる。

また、一般の農家が導入しやすいようにと、家庭用のインクジェットプリンタで電子回路を印刷する新技術を用いて、低価格に抑えている。 一方、植物の生産やレンタルを手がけるグリーンコンチネンタルが埼玉大学の蔭山健介教授と共同開発したのが植物の元気が分かるセンサー。植物が活動するときに発する、ある“音”を計測することで、健康状態を教えてくれるのだという。このセンサー技術は農業のみならず、観葉植物による店舗の演出などにも活用が広がっている。

 

植物を元気に育てるセンサー「水分センサー」「センスプラウト」

 

水やりを科学的に解明? 植物の水分センサー

 

野菜づくりで難しいとされる「水やり」。プロの人たちはどのようにこの課題を解決しているのでしょうか?茨城県小美玉市にあるユニオンファームでは、およそ200棟あるビニールハウスでトマトや水菜などを育てている。

 

このユニオンファームの杜建明(ドゥー・ケンメイ)さんは中国とイタリアで農業を学び23年前に日本にやってきた。そして日本で農学の博士号も取っているその道のプロ。

ドゥーさんは、ひとつひとつのビニールハウスをまわり、土の状態を確かめることによって水やりのタイミングを図っている。

水やりのタイミングは本当に難しく、例えば、土の表面がひび割れているからといって乾いた状態になっているとは限らない。土を手で握って固まるようであれば、表面から2-3cmの場所はまだまだ水分がある状態のため潅水(水やり)が必要な状態ではないという。

 

適切な水やりは品質維持や計画的な生産につながるため、非常に重要である。しかし、長年培って身につけたノウハウを伝承するのは簡単なことではない。

こうしたノウハウを科学の力で解決しようとしているのが、東京大学大学院情報理工学系研究科准教授の川原圭博さん(39歳)。彼が作っているのが、畑の中野水分量がわかる土壌水分センサーである。

 

土壌水分センサー
土壌水分センサー

 

銅の電極で水分量を測定する仕組みとなっている。地下10cmと20cmの2つのポイントで水分量を測ることができる。水分量は1時間ごとに計測し、そのデータをパソコンやスマホで確認することができる。

 

ドゥーさんも川原准教授の技術に共感し、より精度を高める事に協力している。

 

 

例えば、水菜を育てる際、出荷までの4週間で水やりが3回必要となる。

 

水菜の水やり
水菜の水やり

【水菜の水やりタイミング】

タイミング
1回目 種まき直後 たっぷり2時間ほど
2回目 1週間後 1回目より少なめ
3回目 15日から20日後 天候に応じて量を調整

 

 

これまでは、ドゥーさんの経験と勘が全てでした。その経験と勘をデータとして貯めていくことによって、水やりのノウハウを簡単に伝承することができるようになるのである。

 

 

農業の未来をかえるかもしれない水分センサー。その普及にはクリアしなければならない課題がある。それが、センサーの価格である。センサーが高くなってしまう理由としては、必要量が少量しか無く、開発費がかさんでしまう。

 

それを解決するために川原准教授がすすめているのが、印刷エレクトロニクスという技術。

特殊な金属インクを用いて家庭用プリンターで印刷すると、電気を通す試作機が簡単に作れるようになる。すると、より実用的な試作機が短時間かつ安い金額で作れるため、開発にかかる期間と費用を大幅に削減することができるのである。

 

この技術が水分センサーにも活用されており、これまでの既存品の数分の1の価格で水分センサーを製造することに成功している。

 

この技術を使って、一般向けの水分センサーも発売されている。それが「センスプラウト」である。

 

このセンスプラウトという水分センサーを使うと、水分の状況がランプの状態でわかるようになっているという。

 

 

 

植物が出す音で植物の状態がわかる?

 

一方、センサーそのものを使って、植物の健康状態そのものがわかる装置を作っているのが、埼玉大学大学院 理工学研究科 陰山健介教授である。

陰山健介教授は、植物の音で植物が元気化どうかわかるセンサーの開発を行っている。研究室内に、人工的に夜と昼を作り出す部屋をを作り、その中で年に何回も実をつけるアセロラの木を使って、植物の状態を日々研究している。

植物は根から水分を引き上げようとする際、人間には聞こえないような小さな音を出している。その音をセンサーで感知してデータを集める仕組みとなっている。

 

このセンサーを使うと、1時間毎にどのくらい植物が音を発しているかがわかる。下の図にもあるとおり、日の出から正午にかけて、光合成の実施とともに多くの音を発しているのがわかる。正午から回数が激減しているが、この計測している場所は14時以降日陰になってしまうため、音の回数が減っているのである。

光合成 センサー
光合成 センサー

 

基本的に日照時間に比例して音の発生数が増えるとされているが、場合によっては、日照時間が長くても音の発声数が少ない日もあるという。なぜそのようになっているのかについてはまだ詳細がわかっていないが、これまでわからなかったことがわかるのではないかと考えられている。

 

 

 

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植物の音のセンサーを植物の手入れにも活かすグリーンコンチネンタル

 

植物の販売やレンタルなどを行うグリーンコンチネンタルでは、1年前から陰山教授と共同で技術開発を続けてきた。会社で扱う植物の音を測定しデータを手入れなどに活かしているという。

例えば、新たに取扱いを始める植物の場合、どの程度水やりを行えば良いかなどはわからないことが多い。

しかし、センサーを活用してデータを集めることでどういう状態の時にどのようにすれば、長持ちするのかなどがわかるようになるため、そのデータを集めてから、お客さんに出荷するようにしているという。

 

さらに、レンタルしているお客様には、センサーで取得してる温度や湿度、二酸化炭素の濃度や光のあたり具合を元に、どのような手入れを行うべきかを目で見ることができる。