こんにちは。ひとりで.comです。
2017年7月24日放送の未来世紀ジパングは「みんなの人気者オーストラリアが突如、自国ファーストに!」と題して移民排斥を突如としてはじめたオーストラリアの現状を特集します。
美しい自然に恵まれ、資源も豊富な”ラッキーカントリー“オーストラリアが突如、自国ファーストに!オーストラリア版トランプまで登場。一方、アメリカ軍が駐留する重要拠点ダーウィンの土地を、中国が99年間借り上げてしまった。日本人も大好きなオーストラリアがいま、たいへんなことになっている。
オーストラリアファーストで”日米中”がシーソーゲーム
【目次】
移民大国”ラッキーカントリー”オーストラリアの移民排除の動き
オーストラリアは、現在25年連続で経済成長を果たしている。その経済成長を支えているのが、移民である。オーストラリア北部のダーウィンに住むカンドリアさんはフィリピンから11年前に移民してきた。
カンドリアさんはフィリピンで理容師として働いてきた。そして11年前にオーストラリアに移住し、オーストラリアで5年働いたのち2011年に自分の店をオープンさせた。
こうした夢をかなえることができたのは、オーストラリアで発行されている457ビザのおかげだという。457ビザとは、長期就労ビザのことで、外国人が最長4年働くことができるビザである。コックや医師、美容師など技術を持った651の職業が対象で永住権を取得することもできる。世界でも類を見ない夢のビザなのである。
オーストラリア国内では、いまや移民の数が約660万人にものぼり、国民の4人に1人が移民である。
2017年4月、そんなオーストラリアで衝撃が走った。ターンブル首相が457ビザを廃止すると発表したのである。その背景として、457ビザによって移民が増え、国内の仕事が移民に奪われているというのだ。
シドニーで日本料理 かぶき松緑を営む日本人経営者もこれには頭を悩ませていた。このかぶき松緑では、日本人の従業員にて、本格和食と日本式のおもてなしを提供している。しかし、457ビザの廃止宣言によって、永住権を取りたいと考えている人も永住権が取れなくなる可能性があるというのである。
オーストラリアの人口増と住宅価格増
もともとオーストラリアは白人優先の白豪主義の国であったが、1970年代から移民をどんどん受け入れるようになり、いまでは40以上の民族が暮らす移民国家だった。
移民のおかげで内需が増え、25年連続で経済成長を続けていたが、その一方で、もともとのオーストラリア人の仕事がなくなってきているのが実状なのだという。
そして、オーストラリアの人口は、1975年には1,360万人だったところ、現在では2,440万人に増え、その影響もあり住宅価格も高騰を続けているのである。
オーストラリアのトランプが登場?
2016年6月、こうした状況に国民がついに移民排斥デモを起こした。そんな国民の怒りを鎮めるために、ターンブル首相はオーストラリア・ファーストへと舵をきった。
さらに極右政党も登場した。ポーリン・ハンソン党首が率いるワンネーション党である。その過激な発言から”オーストラリアのトランプ”の異名をつけられるほどである。
このワンネーション党の支持者が特にポーリン・ハンソンの出身州であるクイーンズランド州で徐々に増えていっているという。
もともとフィッシュ&チップスのお店を経営していたポーリン・ハンソンは1997年に政党、ワンネーション党を発足し、オーストラリアの多文化社会を激しく糾弾した。
オーストラリアが捨て去った白豪主義を訴え、さらには
アボリジニが優遇されているのは逆人種差別だ
という過激な発言も行っている。国会議員に当選したが、当時は一時的な人気に終わった。それから18年経った2016年、トランプ現象の煽りもあって、オーストラリア総選挙で60万票を獲得し、ワンネーション党は0議席から4議席に議席数を伸ばし、現在は反移民・反イスラムを訴えている。
オーストラリアが無視できない中国の存在
オーストラリアの北部にある町、ダーウィン。ここはアメリカの安全保障上非常に重要な場所となっている。
地政学的に見ても、ヨーロッパ方面は北大西洋条約機構(NATO)、太平洋側は太平洋防衛網で中国とロシアを囲い、それぞれの動きを監視できる状態にある。この中でもオーストラリアは重要な地位を占めているのである。
第二次世界大戦中もダーウィンを拠点にアメリカ軍は展開していた。
オーストラリアのノーザンテリトリーの最大の都市がダーウィンである。ここにはアメリカ軍の海兵隊が駐留している。駐留を始めたのは2012年でその時は250人だった海兵隊が今では1,250人と増えている。さらに2020年には2,500人に増強される予定だという。
これは、中国の南シナ海の進出を監視する役割を持っている。
しかし、このダーウィンに衝撃の事態が怒っていた。
なんと、ダーウィン港はランドブリッジという中国企業に貸し出されてしまっていたのである。ランドブリッジは2015年10月、ダーウィン港を約430億円で借りる契約を行ったのである。しかもその契約期間は99年間にも及ぶという。
ダーウィンは近年の資源安の影響で企業が撤退を拡大しており街は活気を失っていた。それを賄うために中国の投資にすがったのである。
この99年というのは、イギリスの慣習法によるところが大きく、例えば香港はイギリスに99年間植民地化されていた。また中国語で99年は久久と書き、これは永久を意味するという。すなわち、香港で行われたことを今度は中国が欧米に対して、世界経済の中心は中国にあるということを訴えるひとつのきっかけとも考えられる。
さらに、地政学的に考えると、”オセロ理論”の構図を狙っているとも考えられる。すなわち、中国を黒いオセロだと考えると、東南アジアは白、そしてオーストラリアを黒にすれば、長期的に見て、東南アジアは中国とオーストラリアを軽視することができなくなり、中国の言いなりになるのではないか、ということを狙っているのではないかと考えられる。
オーストラリアにとって、もはや中国は無視できない存在になっている。それを裏付けるデータとして、中国への輸出量があげられる。
【オーストラリアの輸出相手国】( 2015年)
1位 | 中国 | 28% |
2位 | 日本 | 13% |
3位 | アメリカ | 7% |
オーストラリアに商機あり!農業分野で日本企業が進出
オーストラリアのクイーンズランド州で新たなビジネスチャンスを見出す日本企業があった。それがテラドローンである。テラドローンは日本で最大のドローン企業である。ドローンで撮影するのはマカダミアナッツである。
オーストラリアはマカダミアナッツの生産量世界第一位である。その広大な大地がゆえ、管理が非常に困難だという。そこでドローンを使って、上空から広い農場をくまなく撮影し、マカダミアナッツの生育状況を確認する。
これまで生育状況をひとりで確認していたため、確認できる範囲が限定的だった。しかし、ドローンを使うことによって、短時間で確認することができる。
さらに、日本の衛星はオーストラリアの上空を通るため、総務省の事業として、高精度GPSを用いて無人のトラクターを操作するという取り組みもすすめようとしている。
こうした衛星を使った農業ビジネスの市場規模は500億円以上あると言われている。
このように日本にとってオーストラリアは絶好のマーケットなのである。