[ガイアの夜明け] ( 外国人技能実習制度 ) ニッポン転換のとき 第四弾 追跡!”絶望職場”の担い手たち – 2017年8月1日

ガイアの夜明け
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こんにちは。ひとりで.comです。

2017年8月1日放送のガイアの夜明けは「ニッポン転換のとき 第四弾 追跡!”絶望職場”の担い手たち」と題して外国人技能実習制度の闇について特集します。

 

コンビニエンスストアや飲食店で目にする、外国人店員の姿。今後、労働人口が減少する日本では、外国人はますます重要な労働力となりつつある。

外国人と国内の労働現場を結びつけるもののひとつが、「外国人技能実習制度」というシステムだ。外国人に技術を移転し、その国の経済発展を担う人材を育成する”国際貢献”が目的だが、実際には人手不足に悩む中小企業や農業、漁業といった一次産業に「労働力」を提供する役割を果たしている。

しかしその現場の多くでは、違法な長時間労働や賃金の不払いといった問題が…。番組では、外国人が直面する過酷な労働現場を取材。その実態を明らかにするとともに、外国人労働者と共生を図る企業の取り組みも追った。

 

私たちの暮らしを支えてくれる外国人労働力を生かしつつ、彼らのためにもなる「働き方」とは。

 

 

日本で起こっている外国人技能実習制度の闇

 

外国人技能実習制度とは?

 

外国人技能実習制度
外国人技能実習制度

 

外国人技能実習制度を活用し、日本で労働し、途中で失踪してしまう外国人は年間5,000人にものぼるという。そこには制度をめぐる深刻な闇があるのだという。

 

2016年時点で、日本で働く外国人の数は108万人となっており、4年連続で過去最高を更新している。その外国人の内訳は、外資系企業に働く外国人などの専門的・技術的分野の在留資格者が20万人、日本人と国際結婚した外国人である身分に基づく在留資格者が41万人、留学生である資格外活動者が24万人、外国人技能実習制度を利用している技能実習生が21万人となっている。

 

技能実習生は、発展途上国の技術をあげるために、日本で技術を学んでもらおうと政府がスタートした制度で来日している外国人であるが、この外国人技能実習制度に深刻な問題が起きているというのである。

 

茨城県霞ヶ浦市の菅谷いちご園では、5人のベトナム人と1人の中国人が実習生として働いている。いまや、外国人実習生なしには経営が成り立たないという。

一方、実習生は…

ベトナムの仕事は賃金が安く、1ヶ月日本円で2万円ほど。しかし、日本では手取りで12万円以上になる

という。

およそ4ヶ月分の給料が1ヶ月で得られるという。

 

この外国人技能実習制度を取り仕切るのは、公益財団法人 国際研修協力機構(JITCO)という組織である。日本で人材を必要とする企業がJITCOに相談を行い、JITCOが海外で希望者を募り、採用されると渡航費や研修費をJITCOに支払い日本で就業することができるようになる。

しかし、自身で職場を選ぶことはできず3年間の間、帰国も許されない。どのような受け入れ先になるかは運次第なのである。

 

 

 

岐阜県の縫製工場で働く中国人実習生の過酷な労働環境

 

岐阜県羽島市にある外国人相談センターでは、ハンダゴテを腕に押し付けられたり、機械で指を切断してしまった実習生などが駆け込んでいた。

ここには、年間100人もの実習生が全国から逃げ込んでくるのだという。

 

この外国人相談センターの責任者は中国人のケンカイさん。ケンカイさんは岐阜一般労働組合の支部長でもあります。

 

岐阜県大垣市で縫製工場に勤める外国人技能実習生からの相談を受けた。この縫製工場では15人の実習生が働いているが、そのうちの5人から未払賃金があるとのことだったのである。実習生が自主的につけていた勤務表を見ると、朝7時から24時までほぼ休みなく働かされていたというのである。休みは7ヶ月で1日しかなかったのだという。

しかし、会社が出した勤務表によると土日は休んでいることになっているのだという。会社の給与明細には、残業時間が197時間と記載されており、時給は最低賃金を大きく下回る400円となっていた。さらに給与は3ヶ月も支払われていないのだという。

そこで、5人の実習生は未払賃金を求めて、ケンカイさんの労働組合に加入したのである。これまでの2年半の労働時間を計算してみると、1人あたりの未払賃金は628万円になる。

しかし、社長は「会社に支払うお金はない」と言ったというのです。さらに支払い能力がないため倒産したのだという。

 

実際に、倒産したという会社にケンカイさんと訪れると社長は「弁護士と話せ」の一点張りで取り付く島もなかった。

 

その4日後、会社からは縫製に使うミシンが持ち出されており、同じアパートに住んでいた他の実習生たちをそのアパートから移動させていたのである。残された実習生には、明日から住む家もない状態となってしまった。

 

ケンカイさんは上記の縫製会社の弁護士から、ある手続きをするようにと告げられていた。それは、国が行う未払賃金の立て替え払い制度である。この財源は企業が払っている労災保険である。しかし、この制度で受け取ることができるのは直近6ヶ月の賃金の8割のみである。会社が作った資料によると、1人あたりの未払賃金は140万ほどで受け取れるのはその8割となる。

 

ケンカイさんは、

この会社は5人の未払賃金で3,000万ぐらいになるため、会社を倒産させて国にその未払賃金を肩代わりさせるというのが、その会社の狙いではないか

と推察している。

 

後日、事態を重く見たのか、会社の弁護士から以下のような回答が来たという。

最低賃金については、一部に違反があったことは認めますが、刑事罰もあり得ることなのでその理由についてはお答えできません。

法的責任、道義的責任を全うするために破産をして、責任をとることにした。

長時間労働尾をさせていたという事実については認めますが、作業は自主的、任意に基づくものであり決して強制ではない

 

と今回の破産について説明した。

 

なぜこのようなことが発生してしまうのか、技能実習制度に詳しい弁護士によると…

違法行為があれば職場を移れるという建前にはなっているが、原則職場を移動することができない。実際、違法行為があって声を上げて会社を移れるケースは稀である。実習生が移る先をみつようがないし、誰も見つけてくれないし、協力してくれない。

という。

 

実は、ほとんどの実習生は、渡航費や研修費など60万〜100万の借金してやってくるため、日本にやってきて長時間労働や低賃金で働かざるを得ないのである。

 

アメリカ国務省が発刊している2017年人身取引報告書の中で

日本の「技能実習制度」で働くアジアの人々が強制労働の状態に置かれている

と記されている。

 

 

 

 

 

 

 

熊本県菊池市の玉田工業について

 

地下タンク
地下タンク

 

熊本県菊池市にある玉田工業。創業1950年で250人の従業員を抱える。玉田工業はガソリンスタンドで使われる石油用地下タンクの製造で国内シェア7割を誇るトップメーカーである。

その現場を支えているひとりがベトナム人実習生である。ベトナムからの実習生はいま日本に約8万8,000人ほどいるという。昨年中国を抜いてトップとなった。

玉田工業に実習生として来ているティンさんは、間もなく実習期間の3年を迎える。午前8時から午後5時までの仕事で手取りは10万前後、しかし家賃・水道・光熱費を会社が負担している。月5万円を仕送りするため、自炊をして生活をしている。

 

実は玉田工業は2015年にベトナムに工場を建設していた。日本で学んだ実習生をここで採用できないかと考えていたのです。ティンさんにもベトナムの玉田工業で働かないかと声がかかったのです。

ベトナムは世界有数のバイク大国で、自動車市場も急成長しており、玉田工業にとっては有望な国であった。

 

ベトナムの玉田工業まで、ティンさんのベトナムの実家からは車で片道2時間もあり、通える環境ではないこともあって、ティンさんはベトナムの玉田工業で働くことに迷いが生じていた。玉田工業で働くと、また子どもや妻と離れた生活を余儀なくされてしまうかもしれないからである。

 

玉田工業から提示された月給は月4万円。通常のベトナムでの月給が2万から3万のため、1万円以上高い提示だった。さらに3年間働いた人にはアパート代まで出すというのである。ティンさんは、週末のみ家族のものに帰る生活をし、玉田工業で働く事を決めた。

 

 

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北海道の縫製工場での事例

 

婦人服を作る縫製工場で17人のカンボジア人がケンカイさんに助けを求めてきた。ここでの労働時間は午前8時半から午前0時で休みは週に1回のみだという。さらにここでも未払賃金が発生していた。全員分を合わせると2,500万を越す。

ケンカイさんは、交渉の末、この会社の会長から2,500万を取り戻す事に成功した。ケンカイさんは取り戻した賃金の20%を組合活動費として徴収している

 

アパレル業界は、各社の値下げ競争もあり苦しい戦いが続いている。そこで商品価値を高める切り札がメイドインジャパンというブランド。しかし、そこには下請け工場の犠牲の上で成り立っていたのである。

 

 

外国人技能実習制度は今年の11月から期間が3年から最長5年に。そして雇用枠も2倍になるという。

 

人手不足が叫ばれる中で欠かせなくなった外国人。もし今回見てきたように劣悪な労働環境が改善されなければ日本で働きたいという外国人はいずれいなくなるかもしれない。

外国の人々が日本で安心して働き、技術も学んでもらう、それは私達が考えていかなければならない課題である。