こんにちは。ひとりで.comです。
2017年8月8日放送のガイアの夜明けは「”快適”技術で町工場が復活!」と題して髙田耕造商店の睡眠用たわし、 浅野撚糸のエアーかおる、スズキ機工のベルハンマーを特集します。
海外製の安価な製品に押され、廃業する町工場があとを絶たない。そんな中、オンリーワンの商品を創り出し、復活を目指す町工場がある。
日本のメーカーはこれまで、様々な”快適”製品を生み出し、世界を驚かせてきた。【温水洗浄便座】【電動アシスト自転車】【インバータエアコン】…。 快適な製品づくりを追求するのは、日本メーカーの真骨頂。
ニッポンの町工場が、”快適””気持ちいい”をキーワードに、驚きの技術で世界を相手に逆襲に打って出る。その取り組みに密着した。
髙田耕造商店 / 浅野撚糸 / スズキ機工
たわしメーカーが枕を?睡眠用たわし
東京銀座にいま大人気のお店がある。それが”悟空のきもち”というヘッドスパ専門店である。脳内ホルモンを刺激することで眠りに誘うとのこと。
このお店でも使われている枕が「睡眠用たわし」である。
和歌山県海南市。髙田耕造商店でその枕が作られている。この企業がもともと作っていたのがたわしである。親子三代に渡り伝統的なたわしづくりを続けてきたが、外国産の安価なたわしに押され、苦しい経営が続いてきた。
そんな中、2016年に悟空のきもちから枕の共同開発を持ちかけられたというのです。2017年3月に発売されて以来、1万個以上が売れる大ヒット商品となった。
吸水性抜群の浅野撚糸、世界進出への挑戦
名古屋駅のビルにある東急ハンズで実演販売されていたエアーかおるというタオルが次々と売れていた。
このタオルは、これまで500万枚も売れているという。このエアーかおる を製造しているのが、岐阜県安八町にある浅野撚糸という町工場である。
創業が1969年、従業員は35人。撚糸とは糸に撚りをかけること言う。エアーかおる に使う糸は、綿と水溶性の糸。2つの糸をひとつの糸に揃えていくが、ここまでは他の工場でも行っている。
次の工程でその2つの糸をねじりよっていくのだが、そのねじり方に特徴がある。1分間に1万4,000回ねじりを加え、その糸でエアーかおる を作るのです。こうして、通常のタオルの1.5倍の吸水力を持つタオルが生まれるのです。
岐阜県の安八町を含む南部の地域は繊維業で栄え最盛期には2,000軒を超える工場が立ち並んでいた。しかし、2000年代に入ると中国からの安価な品が輸入されるようになり、現在では2,000軒あった繊維業者は80軒にまで減少してしまった。浅野撚糸も例外ではなかった。
そこで浅野撚糸では、自分たちの技術を活用して、吸水性の高いタオルであるエアーかおる を開発した。しかし、最初は全く売れなかったのだという。
そんな時、社長夫人から、
吸水性が高いのだから、バスタオルの半分の大きさが良いのでは?
とアドバイスをもらい、バスタオルの半分の大きさでエアーかおる を販売したところ、使い勝手の良いタオルだと評判になり大ヒットとなった。
さらに、浅野撚糸はさらなる挑戦を進めようとしていた。その舞台は中国上海。5月下旬に3日間に渡って開催される中国美容博覧会に出展したのである。この中国美容博覧会では世界各国から3,000以上の企業が集まる一大イベントである。
しかし、来場者からの反応はイマイチ。しかしなぜ受け入れてもらえないのかがわからない。そこで展示会後、中国国内で脚を使ったリサーチを行いました。するとある共通点を発見した。
それは、中国では、大気汚染が激しく、部屋の外でタオルを干すことはなく、室内干しである事が多いということである。そして、室内干しなので生乾きになってしまい、生乾き特有の臭いが期なる人が多かったのである。
帰国後、早速社内でエアーかおるの新たな付加価値をつけるための会議を実施。そして中国の展示会から1ヶ月後、三重県津市にあるおぼろタオルという企業に向かう。このおぼろタオルは浅野撚糸 のタオルの製造を協力してくれている企業である。
ここに相談に持ちかけたのが、銀糸を使ったタオルの製造である。銀は抗菌作用が強く、中国の部屋干し需要に対抗できるのではないかと考えたのである。
1週間後、試作品が手元に届いた。中を確認してみると、銀糸が表面に出てきており、エアーかおるの肌触りが損なわれてしまうため、さらなる改良が必要だと判断。
この試作品では、表面の糸に銀糸を使っていたが、その後の改良品では、地糸に銀糸を採用した。それによって、エアーかおるの吸水性や肌触りはそのままで、菌を2000分の1に抑える効果を得ることができたのだという。
スズキ機工のベルハンマー
一般的な潤滑剤が、金属の凹凸に付着して滑りを良くするのに対し、ベルハンマーは金属表面の凹凸の中に浸透し、凹凸がなくなることで表面がつるつるになる。一度金属に浸透した潤滑剤は水では流されず長時間その効果が持続する。
このベルハンマーという潤滑剤を製造するのが千葉県にあるスズキ機工である。スズキ機工は1971年創業、従業員16名の町工場で主に食品メーカー向けのオーダーメイド産業用自動機械の設計・制作を行っている。
自分たちが、産業用自動機械のメンテンナンスを行う中で、開発されたベルハンマーだからこそ、その効果や使い勝手が評価されヒットにつながっているのである。ベルハンマーの累計販売数は20万本。今では会社の売上の半分をベルハンマーが担っているのだという。
そして、今後はこれをもって世界に挑んでいきたいという。
スズキ機工はモータースポーツに特化したベルハンマーを開発して、本場のアメリカにチャレンジしたいという。
これまでのベルハンマーでできる被膜は金属同士の摩擦に反応して作られるため、少し時間がかかるのだという。そこで、摩擦への反応速度が早く、すぐに皮膜ができる改良版ベルハンマーを作りたいと考えている。
2017年7月13日、アメリカ、ロサンゼルスで市場調査に来ていた。海岸沿いだと錆びやすいし砂が混じってしまうため、潤滑油のニーズがあるのではないかと考えていた。海岸沿いのサイクルショップや自転車で往来する人たちに対して声をかけ、ベルハンマーを試してもらうと、評価は上々。
しかし、アメリカの市場に打って出るのは容易ではない。というのも、アメリカでは昔から大手の潤滑剤が大きく市場を占拠しているのであった。それだ、WD-40である。NASAや航空機メーカーが採用している世界シェア1位の潤滑剤である。
なんとかこの牙城を崩せないかと全米で800店舗を展開する大手ホームセンター”Harbor Freight Tools(ハーバーフレイトツールズ)”。ここでデモンストレーションをやらせてもらえないかと交渉したがあっさり断られてしまった。
5つ目のホームセンターでやっとデモンストレーションをさせてもらえた。ここでの評判は上々。
さらにロサンゼルス郊外のモトクロス場にベルハンマーを持ち込み、その性能を試してもらうというのです。
普段使っているバイク用の潤滑剤でまず数周走ってもらいタイムを計測。その際のタイムは2分5秒96。続いてベルハンマーを塗って再度数周走ってもらうとそのタイムは2分4秒31。これだけd1秒半も短縮したのである。
使ってもらったレーサーは
ホイールのノイズがなくなり、スムーズで楽に乗れるようになった
との評価。
うまくPRできれば、アメリカでの需要は絶対あると今回の市場調査で感じることができたという。
日本の中小企業が自らの技術を進化させ作った製品で世界を驚かす。それは厳しい経営環境にあっても日夜試行錯誤をしてきた結果だとも言えます。私達の生活を快適にさらに気持ちよくする元気な中小企業からそんな商品が出るのを今後も期待したい。