こんにちは。ひとりで.comです。
2017年8月3日放送のガイアの夜明けは「常識をくつがえすサービスで地元が活性化!元官僚が挑む!信用金庫のサバイバル経営」と題して城北信用金庫 理事長 大前 孝太郎(おおまえ こうたろう)氏が登場します。
東京都北部の赤羽や王子といった庶民的な街を中心に展開する地元密着の金融機関、城北信用金庫。超低金利時代で金融業界に逆風が吹く中、金融の枠を超えたユニークな取り組みを次々と打ち出し、地元の中小企業や住民から絶大な信頼を置かれている。
メガバンクとも地銀とも違う独自のサービスで地元の活性化に貢献。その旗振り役が、理事長の大前孝太郎。元官僚で大学准教授と異色の経歴を持ち、型破りな発想と行動力で、地域を潤す新たな信用金庫のあり方を築き始めている。
地元の活性化に信用金庫が役割を果たす!サバイバル経営
信用金庫と銀行の違いとは??
いま、人気急上昇の東京の街が北区の赤羽である。賃貸で住みたい駅ランキングでも目黒、荻窪、武蔵小杉につづいて2年連続4位となっている(オウチーノ調べ)。交通アクセスが良く、家賃も手頃なのが、人気の秘密である。
その赤羽で絶大な指示を受けている金融機関が城北信用金庫である。城北信用金庫は赤羽商店街の約8割の店舗と取引を行っている。
そもそも銀行と信用金庫の違いとはいったい何なのだろうか?
信用金庫では普通預金や定期預金、振込サービスなどは銀行と同様に行うことができる。ただし。借入は営業地域の居住や勤労などが条件となっている。さらに信金ならではのお得なサービスもある。そのひとつが、集金サービスである。信金の営業マンが来訪して集金をしてくれるのである。
さらに城北信用金庫では、お客さんにお年寄りが多いということもあって振り込め詐欺防止サービスを実施しており、ステッカーの配布や、大金を振り込もうとする人に対して声掛けを行い、2016年はその成果として1億3,100万円の未然防止ができたのだという。
城北信用金庫は東京北部と埼玉県南部を中心に現在95店舗を展開している。中小企業が密集する北区・荒川区の約9割の中小企業と取引があるのだという。全国平均が6割だというから、その割合の高さに驚かされる。それだけ城北信用金庫が信頼されているという証である。
中には、城北信用金庫に支えられ大きく成長した企業もある。そのひとつが、靴メーカーのマルミツである。
以前までは、大手メーカーのスポーツシューズを下請けとして受注生産していたが、2年前、100%自社ブランドのメーカーに転身した。手がけるのは、ドライビングシューズである。
かかとが丸くなっていて運転がしやすいという。シックなデザインもお客さんから好評で、黒字経営となっている。
信用金庫は、明治時代に貧しい人のために信用組合として誕生したのがきっかけである。1951年、法律が制定され、信用金庫が設立されるに至った。
銀行との大きな違いは、信用金庫は従業員300名以下もしくは資本金9億円以下の中小企業としか取引ができない。日本の企業の99.7%が中小企業であるので、小さな会社隅々までお金を生き渡せる上でも重要な役割を担っているのが信用金庫なのである。
理事長:大前氏の異色の経歴
毎年4月に実施されている赤羽馬鹿祭り。このお祭りを先陣切って運営しているのが城北信用金庫である。運営費も出資し、祭りの顔となっている。これ以外にも北区花火大会、赤羽ハーフマラソンなどの地元のイベントを盛り上げている。
城北信用金庫の大前 孝太郎氏は、大学を卒業後、住友銀行(現:三井住友銀行)に入行し、融資係などを担当した。34歳で民間人枠で内閣府の官僚に応募した。内閣府で担当した仕事は地方の再生。その舞台は福井県の鯖江市である。
古くからメガネ作りを地場産業にしていた街だが、当時は安い中国製のメガネに押され、眼鏡産業が衰退していた。新しい客層の獲得が急務だと感じ、鯖江のメーカーに「若者向けのイベントでアパレルメーカーのデザイナーと組んで新しいメガネを作りませんか」と提案した。
しかし、職人たちからは不満が爆発した。
板挟みになったのが鯖江市の職員であった。当時、ファッショングラスの価格帯は2,000円〜3,000円台だったが、鯖江のメガネは2万円台の商品ばかりだった。果たして若者の市場にその価格帯が受け入れてもらえるのか懐疑的だった。
すったもんだの末、大前氏がメガネを持ち込んだのが、東京ガールズコレクションである。そこで人気モデルが鯖江モデルのメガネをかけると、1つ2万円以上するメガネが360本完売となったのである。
この成功が職人の意識を変えたというのである。今では、原宿に鯖江の眼鏡だけを扱うロイドというお店まで誕生している。
この体験自体が、「こういった取り組みは信用金庫がやっても良いのではないか」と、大前氏の意識も変える結果となった。
そして2009年、祖父と父が継いできた城北信用金庫に入庫し2015年に理事長に就任した。
それ以降、城北信用金庫らしからぬ常識破りのサービスを始めていた。そのひとつが、非金融の部署である。その部署では、NACORDと言うWEBサイトを作り、地域の企業を取材したWEBページを作り発信を行っている。企業と消費者をつなぐから「仲人」と命名した。ホームページへの掲載料などは無料となっている。
さらにNACORD には重要な役割を担っている。それがクラウドファンディングである。クラウドファンディングとは、事業者が事業内容と目標金額を設定し、それを元に出資者に対して出資金を募る。そして、目標金額に達したら、ファンディングが成立し、出資者はその見返りとしてお返しをえることができる。
城北信用金庫が行っているのは、出資=商品購入となる先行予約になるような形。これなら、企業は在庫を抱えるリスクもない。
城北信用金庫 は、サイバーエージェント社が運営するMakuake(マクアケ)の仕組みを利用してクラウドファンディングを行っている。
Makuakeについては以下の記事でも特集されています。
信用金庫とクラウドファンディングはバッティングするようでしないと大前氏は言う。クラウドファンディングで100個試作品を作り、うまくいったら1万個の増産をしよう、その時には融資が必要となる…というようにそれぞれが上手く棲み分けをすることによって、より、地元企業がチャレンジしやすい環境を作っているのだという。
信用金庫にオリンピック選手?
城北信用金庫では特別な人材も働いている。それがオリンピック強化選手である。城北信用金庫 に出社するのは週に1回のみでそれ以外の日は練習に勤しんでいる。それだけで給与を支払うだけでなく、遠征費や競技に使う道具も支援しているのだという。
城北信用金庫では、カヌー・スキー・テコンドーなど5種目7選手を正規雇用している。
なぜ、信用金庫がアスリートの支援に当たるのか…その理由を大前氏は
アスリートは通常の職員とは異なる人生を歩んできているので、そういった体験を広く地域に還元して地域活性化の起爆剤になって欲しいと考えている。
という。
地域活性化の起爆剤として、アスリートは小学校などに出向いて出前授業を行う。そしてトップアスリートだから重みが増す人生観を教えていく。これが、地域住民に対して良い体験を与えるのである。
農水省とのコラボレーション
農水省がすすめる、農業女子プロジェクト。このプロジェクトには、農業に興味を持つ女性に対して、28の企業が支援を行うプロジェクトで、そのプロジェクトに金融機関としては唯一城北信用金庫が参加している。
その農業女子が作った農作物を地元のデザート店に紹介するなどして、農業女子と地元企業のコラボレーションを支援しているのである。