こんにちは。ひとりで.comです。
2017年8月29日放送のガイアの夜明けは「さらば、モーレツ社員!」と題して現代の上司と部下の関係と新たな部下との向き合い方について特集します。
サラリーマンなら誰もが目指したはずの”出世街道”。しかし最近、上司への道をためらう社員もいるという。
「ちょっとでも部下を叱れば『パワハラ』と言われる」「部下の育成に自信がない」…。人材不足が加速する日本の企業で、どうやれば「上司」は育つのか?
一方で、時代に即した若手社員の育て方とは?会社や上司が繰り出すあの手この手の”秘策”を通じて、「上司」「部下」「会社」のこれからのあり方について描く。
ニッポン転換の時、第五弾!さらば、モーレツ社員!
日本ケンタッキーが導入した「ほめ達研修」とは?

2017年7月、横浜に本社を構えるファストフードのケンタッキーフライドチキンを運営する日本KFCホールディングスで不思議な管理職研修が行われていました。
6〜7人のグループに分かれて行われていたのは、一般社団法人日本ほめる達人協会が行う「ほめ達!リーダー育成 マネジメント研修」。
この”ほめる達人研修”は管理職が部下をほめる技術を学ぶというもの。この研修は、NTTグループやJR東海、鳥取県庁など年間70以上の団体が導入している。
昔は、上司から「これをやりなさい」と言われればそれで仕事が進んでいたが、今の若い子はなかなかそれでは納得せずに行動しないため、褒めて理解させることが重要
とこの研修の導入を決めた日本KFCの担当者は言う。
リクルートのイクボスブートキャンプ
結婚情報誌「ゼクシィ」の編集などを行う、リクルートマーケティングパートナーズ。女性社員はおよそ800人。そのうちワーキングマザーは130人を超える。社内には託児所スペースもあり、家族を会社に招待するイベントなども定期的に行われている。
今回、管理職を対象とした新たな取り組みをはじめるとのことで、密着した。
その取り組みが”イクボスブートキャンプ”である。イクボスブートキャンプとは管理職がワーキングマザーへの理解を深めるための研修である。
ここで言う”イクボス”とは育児に理解があるボスを意味する。そして、そういうボスは部下の育成もうまいのだという。
その内容は、管理職に午後4時に帰るワーキングマザーの生活を体験してもらうというものである。特にこの会社では、管理職でまだ結婚していない人も多く、ワーキングマザーの実際の生活を体験してもらうことによって、ワーキングマザーの現状を理解してもらおうというのである。
その参加者のひとりが、須山翔太さん(32歳独身)。昨年管理職に昇進したばかりである。同じ部署の独身女性桑島希さんとペアで臨む。
今回、研修を受け入れてくれる家族が岩佐悦子さん。3人の子どもを持つワーキングマザーである。
2017年6月19日、研修1日目。
まずは、保育園に次女(3歳)と三女(1歳)をお迎えに行きます。午後6時15分に帰宅。帰宅後、須山さんは三女とともにおもちゃ遊びを始める。その頃、桑山さんは夕食作りを行う。
その後家族揃って夕食を囲む。桑山さんは三女の食事の手伝いをするが、須山さんはお客さま気分が抜けない様子だった。
研修2回目。今回は須山さんと桑山さんで役割分担を行うことにした。桑山さんは保育園に子どもたちをお迎えに、須山さんは夕食作りを行うことにした。保育園のお迎えから帰宅するまでの間に、夕食作りが完成しているはずだったが、普段自炊をしない須山さんは夕食作りが終わらずにいた。見かねた桑山さんが助け舟をだす。
結局普段より1時間遅れの夕食となった。須山さんの手際の悪さが子どもたちの生活リズムを乱すことになってしまったのである。
研修2日目から数日後、須山さんの元に岩佐さんからメールが届いていた。その中には…
まだまだ育児や家事の大変さを実感できていないと感じています。次回はさらに私が何もしないという状況にしたいです。
2017年7月4日、研修4日目。この日は岩佐さんの助けはありません。須山さんが料理に取り掛かっている最中、長女から学童のノートを渡され、ノートにバレエの時間を書き込み印鑑を押すように頼まれた。
しかし、須山さんは夕食の支度に夢中でなかなか学童のノートに取り掛かれず、印鑑を押すのが遅いと長女から文句を言われてしまった。
そうしている間に下の2人が返ってくる時間が迫ってくる。
結局、夕食は子どもたちの帰宅時間に間に合わなかった。さらにお腹をすかせた子どもたちがけんかを始めるなど、予想外の事が次々起こってしまった。
4回に渡ったイクボスブートキャンプが終わった。
今回、イクボスブートキャンプに参加してみた感想を須山さんは
すごいな。(育児をしながら仕事をするということは)簡単なことではないと実感した。育児が終わってようやく「仕事があったんだ」と思い出すぐらいである
と、今回の研修をふりかえった。
プチコミファミリー制度で離職率減!万協製薬

三重県多気町、人口1万5,000人ほどの山間の街である。ここに本社を置く万協製薬。従業員は130人ほどで、薬局で売られているような薬や化粧品を製造している。
2017年4月3日、17名の新入社員を迎えていた。そのほとんどがゆとり世代と言われる世代の社員。その世代とどのようにコミュニケーションを取るべきか…が万協製薬の課題となっていた。
その中で品質管理部に配属されたのは5人。その中に、上司たちが接し方を悩んでいる社員がいた。それが大屋真耶さん(22歳)。徳島大学医科栄養学科を卒業したリケジョである。仕事への意欲はあるものの、それが表に出てこないタイプである。
本人も
自分からどう話しかけたら良いかがわらかない。コミュニケーションを取りたいけどどう取っていいかわからない
と漏らす。
入社式から4日後の2017年4月7日、会社近くの居酒屋では、大屋さんとは部署の違う先輩社員が集まっていた。その席であるものが配られていた。
その紙には「長女」「長男」「三女」などという文字がかかれていた。
万協製薬では、配属される部署の人間関係とは別に、もうひとつの人間関係を作ろうとしていた。
仕組みは…まず社員130人を世代や所属に関係なく一旦バラバラにする。そして、新入社員をひとりずつ入れて17のグループに再編。ひとグループは8人ほどとなる。さらにそのグループ内では長男や長女といったような名称で家族のように見立てる。
この制度をプチコミファミリー制度と呼ぶ。
なぜこのような仕組みを作ったのか。それは、入社してすぐに辞めてしまう社員を引き止めるためだという。
というのも、辞めていく社員にその理由を聞いたところ
社内で相談出来る人がいない
というのが主な理由だった。会社の上司は自分を評価する立場なので相談するのが難しい、ということだったのである。したがって、しがらみのない別のグループを作れば良いと考えたのである。
1ヶ月後、仕事終わりに大屋さんの班はミーティングを行っていた。万協製薬では、プチコミファミリー制度の家族で家族旅行を会社の経費で行うことができるのである。
これをプチコミファミリー旅行と呼んでおり、年に1度開催、経費合計700万は会社が負担する。
中には海外に繰り出す人たちもいた。
今回のミーティングで、大家さんのプチコミ3班は東京に2泊3日に決まった。
そして2017年6月、旅行当日。
プチコミ3班の班長、小塩さんはこの旅行を通して大屋さんにもっと打ち解けて欲しいと考えていた。1日目の夕食は、みんなの意見で月島のもんじゃ焼きに。そこで大屋さんはもんじゃ作りをかってでたのです。
さらに、班のみんなからサプライズでの就職祝いが渡され、本人もこの旅行を楽しめた様子だった。
その後、普段の仕事でも大屋さんにもある変化が起きていた。プチコミ班のメンバーを社内で見つけると自分から声をかけるようになっていた。更に仕事でも上司から仕事を頼まれるようになり、やりがいを持ち始めていたのである。
新入社員の離職率が20%を超えていた万協製薬はこのファミリー制度で5%にまで落ち着いたのだという。
上司とうまくコミュニケーションができない若手社員。一方、若手社員のやる気をうまく引き出せない上司。お互いどうすればいい関係が築けるようになるのか模索が続いている。
企業が今まで以上に強みを発揮するためには、上司と部下がお互い一方踏み出してみる、そんな意識が必要なのかもしれない。