[ガイアの夜明け] ( アサヒ / キリン / 森永製菓 ) 異変の夏…〝激闘″シェア争い! – 2017年9月5日

ガイアの夜明け
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こんにちは。ひとりで.comです。

2017年9月5日放送のガイアの夜明けは「異変の夏…〝激闘″シェア争い!」と題して夏の商戦で凌ぎを削るビールメーカー2社の争い、そして天気で売上が大きく変わる定番アイスの需要予測について特集します。

 

夏の商戦はビールメーカーやアイスメーカーにとって、看板商品を売り込む大きな稼ぎ時だ。だが2017年の夏は、40年に一度の長雨に安売り規制、働き方改革で残業もできない…。

厳しい条件下で、各メーカーの現場担当者たちは知恵を絞り、1本でも1個でも多く売ろうと、激烈なシェア争いを闘っている。異変に見舞われたこの夏、ビール、アイスに看板商品を持つ大手メーカー内部にカメラが入った。

シェアNo.1を巡る2カ月の闘いの裏側をドキュメントする。

 

 

アサヒ vs キリン 異変の夏…〝激闘″シェア争い!

 

 

 

大阪はアサヒビール発祥の地。発祥の地であるから故に大阪にアサヒビールが根付いていた。その牙城にキリンビールがこの夏切り込もうとしていた。

キリンビールは1972年から1985年までラガービールでビールの6割のシェアを握っていた。しかし、1987年、アサヒビールスーパードライを発売すると、その勢力図は徐々に変わっていき2001年にはシェアトップをとるようになった。

現社長の布施さんが大阪支社長だった2009年に一度キリンビールアサヒビールからシェア1位を取り戻したものの、逆転できたのはその年だけだった。

 

トップの座をめぐり攻防を繰り広げる両社を追った。

 

この夏、キリンビールは主力商品「一番搾り 」のリニューアルを発表した。見た目はほとんど変わらないが製造工程を見直し、雑味を減らし麦の旨味を際立たせる商品へと変更した。

 

なぜキリンビールは味を変えたのだろうか。

その理由のひとつは、業界を襲う逆風である。ビール類の市場規模はここ12年連続で減少している。さらにTVCMにも異変が起こっていた。ビールのテレビCMでよく聞いていた「ゴクゴク」という音はアルコール依存症の人に苦痛を与えるとして効果音の使用が禁止されたのである。さらにCMを放映できる時間帯も午後6時以降に限定された。

さらに、国税庁からビール類を含む酒類の安売り規制の強化が行われ値上げがされたのである。

 

そんな中での一番搾り の味変更は伸るか反るかの大勝負であった。

 

 

キリンビールの大阪本部に勤務する営業マン、小畑義典さん(35歳)。トップを走るアサヒビールにライバル心を燃やしていた。小畑さんは神戸大学経営学部を卒業後、キリンビールに入社。

最初の赴任地新潟で主力スーパーを担当し売り場権限をアサヒビールから奪取した。その後東京でも大手スーパーを担当し、昨年激戦区の大阪に送り込まれたのである。

小畑さんが担当するのは、スーパーマーケットのライフ。関西に約150店舗を展開するキリンビールにとって最大の得意先である。特に市内の国道に面するライフ関目店はビール類の売上がトップ3に入る店で大阪ビール戦争の最前線である。

売り場を覗くと、ズラッと並ぶアサヒビールスーパードライ に対し、キリンの一番搾り は1列しか置かれていない。

関西ではアサヒビールスーパードライ」のシェアが44%、キリン「一番搾り 」がシェア15%と大きく差を広げられている。

 

2017年7月末、ライフの大阪本社に小畑さんの姿があった。ライフのチーフバイヤーに新しい一番搾りの試飲をお願いしに来たのである。このチーフバイヤーの判断がライフの店頭にどのくらい一番搾り を置いてもらえるかに直結する重要な商談である。

 

新しい一番搾りの評価は上々だったが、ライフのチーフバイヤーは

今日の段階で、一番搾りスーパードライを逆転するとは思っていない。いきなりそれが逆転するのは難しい。スーパードライは長年売れ続けている商品なので、そこを崩すのはそう簡単ではない。

という。

 

2017年8月のお盆直前のライフのチラシには、スーパードライ6缶パックが1,098円、一番搾り が6缶パック1,110円で紙面上、スーパードライが大きく取り上げられていた。アサヒビールに一本取られた形となっていた。

 

そして、8月末、キリンビール大阪支社には主力の営業マンが集められ、会議が行われていた。1番の得意先であるライフの7月の出荷量が目標を大きく下回ってしまっていたのである。

これから、一番搾り でどう巻き返すのか…小畑さんは新一番搾りによって、去年の2倍の出荷量になるのではと設定していたが、このままでは150%に届くか届かないかではないか…と弱気な発言。

 

会議のあと、先輩から

覚悟が足りない。そんなことではアサヒビールには勝てない。まだまだできることをやりきっていない。そんなんでは後輩がついてこない

とゲキを飛ばされた。

※このシーンについて、「キリンビールがビールがくそまずくなるシーンを流してしまう」としてネットが少々ざわついております。

 

 

 

ここで小畑さんが秘策を打ち出します。

ライフ関目店で一番搾り麦汁と二番絞り麦汁の試飲を店内で行おうというのです。麦汁とは麦を煮て作ったビールの原料で、一般的なビールは同じ麦から2回、3回と濾過したものを使うが一番搾りは最初に流れ出た麦汁だけを使うという特徴を持っている。

 

アサヒのスーパードライに慣れ親しんだ人たちに対して、地道にキリンのこだわりを伝えていく。客の反応は上々だった。

店頭の売場責任者からは

試飲会を店でやる機会はなかなかなかった。お客さんが試飲しているのを見ると手応えを感じたため、一番売れる場所の提供を決めた

と言って頂けた。

 

この店で多く置いてもらうのは初めてのことだった。

 

 

 

 

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森永製菓:チョコモナカジャンボの鮮度を保つ気象を元にした生産予測

 

夏の暑い時期に売れるのがアイス。現在1,000種類を越えるアイスが販売され、毎年その3割が入れ替わる厳しい競争が繰り広げられている。

そんな中、もっとも売れているアイスが森永製菓チョコモナカジャンボである。ここ12年連続で売上更新中の大ヒット商品である。年間1億5,000万個を売り上げる。

 

【アイス単品売り上げランキング】

1位 チョコモナカジャンボ 森永製菓
2位 エッセル スーパーカップ超バニラ 明治
3位 パピコ チョココーヒー 江崎グリコ
4位 ジャイアントコーン アソート 江崎グリコ
5位 ピノ 森永製菓

 

発売されたのは1972年。キャラメルやチョコボールに並ぶ新たな柱にと開発された。しかし発売当初は全く売れずにアイス部門は会社のお荷物とまで言われていた。

長年シェアトップを走り続ける秘密はどこにあるのだろうか。

 

通常のアイスクリームは製造後出荷までおよそ2〜3週間ほどかかるのだが、チョコモナカジャンボは製造から出荷まで5日以内を目指して取り組んでいる。

研究所としても、このチョコモナカジャンボの一番の特徴であるパリパリが1日でも続くように日々研究を続けている。

 

アイスの生産計画を立てる森永製菓、冷菓営業部の新谷秀夫さん。予想外に続く2017年7月下旬の暑さに生産計画の見直しを求められていたのです。通常、アイスは賞味期限がないため、夏に向けて冬から製造を始め備蓄するのが一般的である。

しかし、製造から出荷まで5日をめざすチョコモナカジャンボは在庫を2〜3日分しか持つことができない。急激な注文の増加で生産工場は24時間体制での製造を余儀なくされていた。

パリパリの鮮度が命のチョコモナカジャンボは常に天気のリスクと闘いながら、綱渡りの製造が行われていたのです。

 

これまでももちろん、天気予測を元にした生産計画が立てられていたが今年から日本気象協会とタッグを組んで生産計画を立てることになったのである。

日本気象協会の中野さんは、気象状況からチョコモナカジャンボの需要を予測したいと考えていたのである。

日本気象協会では、今後、気象状況を用いた様々な商品の需要予測をひとつの事業として立ち上げたいと考えているのだという。全産業の3分の1が何らかの気象リスクを抱えていると言われ、そこに日本気象協会がこれまで培ってきたデータが役立つと考えているのである。

 

群馬県前橋市にある相模屋食料は、豆腐メーカーであるが、豆腐は出荷当日に注文が入るため、これまでも需要を予測して製造を行っていた。これまではある程度勘と経験を元に当日の製造量を決めていた。

しかし、日本気象協会が体感気温をもとに需要予測をすることで製造量を決められるのではないかと考えたのである。過去のデータから単純な気温ではなく、体感気温との関係性が高いと突き止めたのである。

この体感気温を元にした需要予測によって、年間約2,000万円分の無駄を削減することに成功したのである。

 

2017年8月中旬、7月の猛暑と打って変わって、長雨が続いた。工場を動かし続ければ在庫があまり、急に晴れの日が出てくると製品不足が生じてしまう。この時期の需要予測が無駄を省く重要な決定要素となるのである。

 

日本気象協会の中野さんは、製造ラインの需要予測だけでなく、スーパーのバイヤーさんからも意見を聞き、バイヤーさんの発注の際の心の動きにも着目して予測することが必要だと考えた。

その結果から、8月最終週から9月にかけては、前年比3%程度低くなると予測し森永製菓の新谷さんに提案し、去年の販売実績とも照らし合わせチョコモナカジャンボの減産を決定した。

 

これによって、この夏異変続きの天気の中、前年並みの利益を確保することに成功したのである。

 

 

 

ビールもアイスも夏が書き入れ時。暑くなれば売りゆきはアップし、雨や気温の低い日が続けば落ちてしまいます。激しく変化する気象条件と消費者の好みを見極め、いかにライバルより多く商品を売っていくか、真夏のシェア争いはメーカーの足腰を鍛える場にもなっているようです。