こんにちは。ひとりで.comです。
2017年9月7日放送のカンブリア宮殿は「ニッポンの”買い物”を変えた小売業界の覇者! ~知られざるコストコの裏側を徹底解剖SP~」と題してコストコ ホールセール ジャパン 社長ケン・テリオ氏が登場。
長引く消費不況で、苦しいビジネスを強いられている流通業界にありながら、強大なブランド力で「コストコ渋滞」という行列を生み出す人気店「コストコ ホールセール」。
カルフールなど多くの外資系流通企業が撤退を余儀なくされた日本で、いかにしてコストコは根付いたのか?売り場を「主婦のテーマパーク」と言わしめるまでになったコストコの知られざる強さの秘密に迫る!
ニッポンの”買い物”を変えた小売業界の覇者コストコ!
【目次】
主婦に大人気コストコホールセール
2017年9月1日、静岡県浜松市にコストコ浜松倉庫店がオープンした。オープンを心待ちにするお客さんが約500人が行列を作っていた。最前列のお客さんはオープン2日前から並んでいたという。
オープン初日ということで、多くの商品が激安価格で販売されていた。
コストコの正式名称はコストコホールセール。ホールセールとは卸売という意味である。コストコは会員制の卸売りをウリにした量販店である。
コストコの一番の特徴は、商品のサイズである。例えばサランラップは日本だと通常50メートルほどだが、コストコでは250メートルと5倍以上。お菓子も特大サイズで「たべっ子動物」は通常の20倍のサイズで同じ量で比較するとほぼ半額で購入できる。
コストコの売り場面積は非常に大きく、群馬県前橋店はテニスコート36面分に相当する9,573㎡、アイテム数約3,500点を誇る。アイテムの種類は、遊具や宝石、薬まで多岐にわたる。
コストコで一番売れている商品が、ディナーロールというパン。1袋に36個入っており458円とお手頃だが、うけているのがその味である。このパンは各店舗内で生地から店内調理を行っている。1日に4万個を売るほどの人気ぶりである。
手作りはパンだけではなく、惣菜のほとんどは店内調理したものである。さらに店内では積極的に試食を展開している。
コストコでは、友人たちと一緒に買物を行い、商品をシェアする”シェア買い”という方法が行われている。大量に買ってきた商品を友人たちと当分分けして持ち帰る事によって、コストコの大容量も困らない。
コストコジャパンは現在日本で展開をはじめて18年、すでに26店舗を展開しており従業員は8,700人にものぼる。
お客さんにとって良い売場づくり
コストコ川崎倉庫店の上に、コストコジャパンの本社がある。社長のケン・テリオ氏は新規出店の準備などもあり、全国を常に飛び回っている。デスクで仕事をするのは、週に3-4時間程度だという。
さらに、時間が空くと、すぐに売り場に出てチェックを行っている。テリオ氏が目指しているのは「お客さんにとって良い売場づくり」。商品を実際に使ってもらって、商品の良さを知ってもらう。そうすることで、お客さんにコストコのファンになってもらうことを目指している。
コストコのあり得ない価格を生み出す売場づくりの舞台裏
コストコの安さの秘密はいったいどこにあるのだろうか。シャンプーメーカーの出荷工場を見てみると、コストコはメーカーから商品を直接仕入れているのである。
仲卸しを飛ばすことでコスト削減を実現しているのである。その商品はコストコ専用に開発された大容量パックが多い。例えばユニリーバのシャンプーLuxは通常サイズが330gなのに対し、コストコサイズは2.2kgとおよそ6倍。
さらに、梱包もコストコ専用のパレットに合わせてそのまま店に陳列できるように容器を作っているのである。
こうすることで全ての商品がコストコ仕様のパレットで運ばれてくるため、大きさが均一化されており、物流コストの削減につながっているのである。
さらに、この専用パレットを使うことで、陳列棚に並べ替えることなく、そのまま陳列することで、無駄な陳列コストの削減も行っている。
さらに専門家いわく、コストコの商品原価は9割にものぼる。そこから人件費などの経費を引くと利益は1%も残らないほどになるのだという。
ではコストコがどこで利益を出しているかと言うと、
年会費
である。
個人で年間¥4,400。この会員費があるからこそ、安定した利益を生み出すことができているのである。いまや全世界で店舗数は741店舗、売上高は11兆9,900億、会員数は8,890万人にもなるという。
継続率8割!会員維持の秘訣とは?
コストコにおける会員の継続率は8割を越えるほどだという。会員を維持し続けるためには何かしらの秘訣が求められると考えるが一体どんな秘訣があるのだろうか。
その点についてテリオ氏は
コストコは常に商品ラインナップの見直しを行っている。例えば惣菜に関しては毎月3種類〜5種類の新商品を投入する。また、2ヶ月前から高級外車の販売も始めるなど、売り場にはサプライズが常にあるため、会員が継続してくれる
のだという。
更に、会員のための独自サービスも存在する。そのひとつがメガネ売場にあった。一般的なメガネだと20万ぐらいかかってしまうものもコストコならば、レンズ込みで4万強の価格で購入することが出来る。
特に医薬品など医療に関する商品は利益を低く設定している。
更に”返品サービス”という独自のシステムを導入している。家電製品は90日という期間が限定されているが、それ以外の商品は無期限で返品可能となっている。
その返品理由も問わない。買った商品が「やっぱり多すぎた」という理由でもOKだし、飲みかけの飲み物でも満足できなかった場合は返品可能なのである。
会員になっていただいた以上、満足頂ける商品を…というのがコストコ流である。
日本進出で味わった挫折
いまや日本のメーカーから絶大な信頼を得るコストコであるが、日本進出当時の状況は全く違ったという。コストコの日本一号店は福岡にあった。
日本進出を計画していた1998年、既にコストコは売上高2兆円のグローバル企業だった。しかし、日本でコストコ流を実現するためには大きな壁が存在していた。
当初、日本第一号店を出店する際、東京に1号店を作る予定だったが、メーカーが直接取り引きを嫌がり、コストコ流の低価格が実現できなかったのである。
コストコ流である仲卸を飛ばした直接仕入れを行うと申し入れても、特別扱いすることはできないと断られてしまったのである。
結局東京を断念し、福岡で出店できる事になった。それでもなかなか直接取引は難航したのだという。メーカー側からしても、コストコとの直接取引のためには、製造ラインや物流網、インフラ設備など整備しなければいけない部分が多くあり、二の足を踏んでいたのである。
コストコの担当者は粘り強く交渉を続けたが、なかなか交渉は難航していた。しかし、あるきっかけで物事が進むようになったのである。
そのきっかけがコストコ流の大容量商品である。
コストコが販売しようと考える大容量商品は、通常では売れるとは考えにくかったが、もし気づいていないニーズに対して売り方や売場を変えることで発掘できるのではないかとメーカーは考えるようになったのである。
そして1999年に1号店をオープンさせることができたのである。
地域とともに歩むコストコ
コストコは新店舗をオープンする際、必ず地域限定の商品を取り扱うようにしている。例えば、浜松店であれば、地元で絶大な人気を誇る相馬パンや、楽器の街ならではのROLANDのグランドピアノなどである。
浜松店のオープン時に目玉商品として発掘した商品が本山茶である。本山茶は徳川家康にも献上された由緒あるお茶であるが、お茶の中でもブランド化に出遅れ、静岡茶の中でも埋もれた存在となっていた。