こんにちは。ひとりで.comです。
2017年9月17日放送のNEC presentsミライダネは「熟練技を絶やすな!」と題して、後継者不足に悩む熟練の技を持つ企業の技術伝承に驚きの技術が使われていた。その技術を追う。
あらゆる業界でいま、人材不足と高齢化が問題になっています。「職人」や「ベテラン社員」が持つ技術やノウハウを、未来に向け継承することがとても難しくなっているのです。
そこで今回は、“技”の伝承を手助けしてくれる新たな技術に注目しました。
職人の手の動きや力加減までも短時間で覚え、彼らの技術を再現する今までにない「ロボット」が登場。
開発したのは産業用ロボットで世界をリードする安川電機、果たして町工場の技術伝承を助けることができるのか!? ベテラン社員から若手に、技やノウハウを簡単に伝えることが出来るという新しい“メガネ”が登場、その実力とは!?
熟練技を絶やすな!
熟練技が後継者不足?
2017年8月、ものづくり・匠の技の祭典2017が行われていた。そこでは、熟練の技をもっと身近に感じてもらおうと、職人たちが匠の技を披露していた。夏休みということもあり、3日間で3万5,000人ほどが訪れた。
篠竹という種類の竹を使った篠笛という伝統的な和楽器。この笛はお祭りなどでもよく使用される。穴の形によって、音の高さや音色が変わるため、削っては吹いて確かめ…というのを繰り返し、理想の音に近づくように調整する。この技を身につけるにはおよそ10年かかるのだという。
この篠笛、後継者がおらず、悩んでいるのだという。
実は、これは篠笛に限ったことではなく、中小企業の約8割が後継者不足に悩んでいる。
このピンチを救うのがロボットになりうるのか…。
福岡県北九州市にある東亜金属工業は、創業50年を越える企業で洗面台の蛇口や高級自転車などの研磨などを得意としている企業である。
研磨の仕事は、職人技に頼るところが大きく、人材難に陥っているという。工場の担当者も、人材募集を行っても人が集まらず、大手企業に流出してしまっている状況なのだという。
そこで注目されているのが、ロボットによる技術継承である。
安川電機の安藤慎悟さんは、この東亜金属工業の研磨の技術をロボットで再現できないか検討していた。
安川電機と言えば、産業用ロボットで有名な企業である。特に以下の動画が安川電機の技術力を表している。
上記のような人間の手のような動きをする産業用ロボットの製造を得意とする安川電機。人間の肩から手の間にある7箇所の関節と全く同じ構造の産業用ロボットを作り出し精密な動きを再現しているのである。
こうした動きは、ロボットに動作の位置情報を入力し教える。そのデータを制御装置を介してロボットに教え込むのです。言葉で言うのは簡単だが、わずか15秒の動作を教えるのに1ヶ月かかることもあるのだという。
安川電機による研磨職人のロボット化
これまでのロボット技術では、研磨職人の微妙な力加減までは再現することが難しいとされていた。その部分をどのように再現するのかが今回の再現の肝となる。
安川電機では、実際の研磨職人の動作をもとに、その力加減を数値化しようとしていた。その力加減をロボットに覚えさせることによって研磨職人の動作を実現させようというのである。実際に数値化したものをロボットに覚えさせ、作業を行ってみるが…繊細な力加減まではうまく表現することができなかった。
しかし、実際に職人がどのように力を調整して研磨作業をしているのかがわかったため、ロボットと職人の力のいれ具合をより研究していくことで2018年の実用化を目指していきたいと考えている。
ビルの点検業務を離れたところでスマートグラスで共有!
オリックス・ファシリティーズは全国で約6,000ヶ所のビルや施設を管理している。研修期間中はベテラン社員が新人社員とマンツーマンで指導し、業務を教える形態をとっている。
ビルの屋上にあるダクトはビル内にこもった空気を外に逃がす役割を果たしているが、その点検方法は経験がものを言う作業となる。
モーターの熱や音の違いを聞き分けて不調の有無を調査する必要もあり、一人前になるには最低4年程度は業務経験が必要になるという。
しかし、いまベテランが急激に定年を迎え、若手の育成が急務になっている。
そこで近年取り入れているのがスマートグラスである。このスマートグラスに内蔵されたカメラで映像を共有し、実際に現場に行かなくても現場の状況をベテランが判断することができるのである。
さらに赤ペン機能もついていえるため、どの場所を指示しているかがよりわかりやすく伝えることが出来る。