[カンブリア宮殿] ( 神明 ) 回転寿司からユニーク炊飯器まで! コメのプロ集団の革新的おいしい米ビジネス – 2017年9月21日

カンブリア宮殿
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こんにちは。ひとりで.comです。

2017年9月21日放送のカンブリア宮殿は「回転寿司からユニーク炊飯器まで!コメのプロ集団の革新的おいしい米ビジネス」と題して神明 社長 藤尾 益雄氏が登場します。

 

人気の回転寿司チェーンの運営に、絶品パックごはんの販売、さらには10分で炊ける炊飯器の開発まで!コメに関するビジネスを川上から川下まで全面展開する異色の企業が、神明。

そもそもは創業115年のコメ卸最大手企業だ。日本人の主食を守ろうと、とにかくあの手この手で、保守的だったコメのビジネスに革新を起こしている。死の淵から蘇った社長のサバイバル革命に迫る。

 

お米のプロ集団によるライスイノベーション

 

 

東京上野にとある人気店がある。それが、SABARプラスという飲食店である。サバの専門店SABARの初のFC店でとろさばを使った料理をメインに扱っている。

このお店では、サバだけではなく、ご飯も主役となっている。ここで使われているお米がぷちぷち玄米とごはんという玄米と白米のブレンド米である。このお米を作っている企業が株式会社神明


更に神明は、全国に回転寿司チェーンも手がけている。それが、魚べいである。全国に112店舗を構え、常に行列ができる人気店である。特にこだわっているのが、やはりお米である。ご飯は10分毎に炊いており、人肌ほどの温かさでお客さんの手元に届くようにしている。

 

 

 

神明の本社は神戸にある。神明の本業はコメ卸業で、コメ卸業界でシェア1位である。創業は1902年と100年以上の歴史を持ち、社員数は約2020人(グループ合計)。

コメ卸とは、農家が作ったお米が農協などに集められ、そこからコメ卸を通じて飲食店やスーパー、お米屋さんに運ばれていく流通の役目を担っている。

 

コメの流通経路
コメの流通経路

 

神明の中枢は西宮浜工場にある。ここに精米工場があり、1日約200トンを精米している。玄米の糠を削り取り、白米にする。

この工場には光学式の選別機があり、精米が終わったコメをこの選別機に通すことによって、不良品のコメを弾くことができる。こうしてコメの品質を保っている。

しかし、これだけでは終わらない。精米し終わったコメは、社員の専門部隊が味や匂いなどをチェックし、出荷して良いコメかどうかの最終判断を行うのである。こうして、出荷先であるイオンやダイエーなどの大手スーパーに納品される。

 

それにしても、なぜコメ卸の企業が、定食屋や回転寿司を運営しているだろうか…。それはコメの消費量の推移に起因する。コメの消費量は食の欧米化などによって年々減少している。ただの精米卸では限界を感じており、お客さまの口元にお米を届けることでコメの消費量を取り戻そうとしているのである。

コメ消費量推移
コメ消費量推移

 

保守的なコメ業界の中で、ライスイノベーションを掲げ、消費構造を変革しようと神明 社長 藤尾 益雄氏はさまざまな取り組みを行っているのである。

目指すはコメの総合カンパニーである。

 

 

 

 

お米の派生ビジネス:炊飯器&パックごはん

 

神明 のライスイノベーション。そのひとつが神明 が開発した炊飯器ポッディーである。1台4,980円の1食用の炊飯器である。

 

神明 poddi ポッディー
神明 poddi ポッディー

 

最短10分で少しの量を炊けるとあって、ひとり暮らしの女性を中心に人気となっている。

10分で炊ける秘密は、ポッディー専用のあかふじソフトスチーム米。早稲田大学と共同開発した魔法の米である。お米を炊く際、本来であれば呼び炊きにてお米のデンプンを糖に変える必要があるが、ポッディーの米はあらかじめ蒸気で蒸し、その工程を済ませているのである。

このポッディーは「コメを炊くには手間がかかる」という消費者の意見からアイディアを得てこうした手法を開発したのだという。

 

この他にも神明 は、パックご飯も開発。立山連峰の天然水を使い、米の産地富山で作っている。軟水のためご飯がふっくらと炊き上がる。もうひとつの特徴は、添加物を一切使っていないこと。これによって、パックごはん特有の匂いがしないのだという。

 

 

このパックご飯で神明 は2011年農林水産大臣から感謝状を受け取っている。東日本大震災の時、被災地にこのパックご飯を30万食提供したからである。それをきっかけにスーパーなどの引き合いが増え、年間約3,000万食を売り上げている。

現在、供給が追いつかない状態となっており、富山工場を増設予定である。

 

 

 

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お米は国に一元管理されていた

 

戦時中、食料の安定供給のため、食糧管理法が制定された(1942年〜94年)。これによって、お米は農家から国が買い上げ、国民に配布する配給時代がはじまったのである。

米を買うには米穀通帳が必要で家族構成で決められた分しか購入できなかった。

戦後もこの制度はつづき、国が米の価格や供給量を一元管理する時代が続いた。これによって安定供給が果たされたが、国策によって守られる時代が長く続いたため、米を作って売る…ということしか考えられなくなってしまった。

 

 

 

神明のおにぎり屋さん

 

2017年9月、神明は直営のおにぎり屋さん「穂」(みのり)をオープンさせた。そこでは、日本で一番高価とされる銘柄いのちの壱をもおにぎりとして使用しようとしていた。


高いものだと1キロ:1,800円するものもあるという。

このおにぎり屋さんは完全オーダーメード制でお米の種類やおにぎりのなかに入れる具材、塩まで自分自身で選択する形を取っている。

 

 

 

神明のイノベーションの歴史

 

コメビジネスで次々と変革を打ち出す藤尾 益雄氏のルーツは祖父である2代目社長の藤尾豊氏にある。

今の時代でやっとイノベーションという言葉で語られるようになったが、祖父の時代は変わり者、偏屈、がんこ親父のような言葉で揶揄されてきた。

戦後、国の保護下にあった米農家の中で祖父の藤尾豊氏は次々とイノベーションを巻き起こしてきた。例えば、1972年に発売した「あかふじ米」は業界初のブレンド米として発売し、年間を通して安定した食味を提供できるようになった。


さらにコメを売る場所にも変革をもたらす。食糧管理法のもとではコメの販売はコメ店に限定されていたが、業界初のスーパーでの販売に乗り出したのである。スーパーのダイエーを米屋の分店にするという奇策で1971年に販売を開始。

これによって、さまざまなところから「コメ屋を裏切った」と大きな反感を買った。

 

1989年、現社長の藤尾益雄氏は神明に入社し、祖父からさまざまな事を学んだ。そして2007年に父の後を継いで4代目社長に就任した。

しかしその2年後、急性骨髄性白血病に侵され、5年生存率は30%と言われてしまった。

半年間の闘病生活ののち一命をとりとめた藤尾氏は改めて、どんな仕事を自分がするべきなのかを考えさせられたのだという。

 

 

 

 

神明がバナナ栽培で米農家の支援??

 

神明はいま、バナナの栽培実験をスタートしている。近年農家の高齢化や減反などの影響で米農家がコメを作れなくなっているという実情がある。そういった土地を活用して神明が新たな栽培物として注目しているのがバナナなのである。

 

耕作放棄地は年々増えており、全国で42万ヘクタールあると言われている。これは富山県とほぼおなじ大きさである。

 

特に温暖な気候の岡山県であればバナナの栽培に適していると考えたのである。昨年、1本500円のバナナとして百貨店で販売したところ、人気になったという。

 

1本500円でバナナが販売できるとすると、コメが同じ面積で120万〜130万の売り上げのところ、2,000万〜3,000万にもなるという。

 

 

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神明の多角化ビジネス

 

神明は、2017年3月、東果大阪という青果卸の企業を買収した。なぜ、コメ卸が青果卸を買収したのだろうか。

藤尾氏によると

野菜をしっかり支えることによって農家を守っていくことにつながるし、コメと生鮮三品で日本の農家を守っていきたい

とコメントしている。

さらに神明は水産加工会社や食材宅配会社など7社に出資を行っている。直近では雪国まいたけにも出資を行った。