こんにちは。ひとりで.comです。
2017年10月10日放送のガイアの夜明けは「シリーズ「激闘 シェア争い!」第2弾”中古品”の覇者 新たな戦い!」と題して中古品市場の覇者ブックオフと新興勢力について紹介します。
デフレ時代の勝ち組として好調を堅持してきたリユース業界に今、異変が生じている。各店舗の売り上げが、軒並み前年割れしているのだ。そんな中、急成長している企業がある。フリーマーケット・アプリを運営する「メルカリ」(東京・港区)だ。
サービス開始からわずか4年で、年間流通額は1000億円超え。そんなリユース業界の”新たな覇者”が打ち出す、次なる一手とは?一方、他社も手をこまねいている訳ではない。全国に800店舗以上を展開する大手「ブックオフコーポレーション」(相模原市)。
そこには、リアル店舗ならではの戦略が!ITとリアル店舗、それぞれの最前線を通して、”リユース”の今を描く。
中古品の覇者 新たな闘い
【目次】
ブックオフが食品以外の商品を何でも扱う店舗を続々オープン
2017年6月、神奈川市横浜市にあるとあるショッピングモールでは、中古品大手のブックオフの新店舗がオープンとなっていた。おなじみに中古本やビデオに限らずゴルフクラブやおもちゃ、子供用の三輪車などさまざまなものが販売されていた。
このお店の売場面積は約900坪。食料品以外のものであればほとんどのものが揃っており、ブランド物から家電までおよそ48万点が取り揃えられている。
ブックオフの本社は、神奈川県相模原市にある。現在従業員はおよそ1,200人、年間売上高は800億円となる。1990年に一号店を相模原市にオープンした。
ブックオフの創業者は坂本孝さんで現在は”俺のイタリアン”などを経営する俺の株式会社の社長として活躍しており、アイディアマンとして知られている。
ブックオフは創業からわずか10年で500店舗を達成し、現在は843店舗を運営している。しかし近年ブックオフは本やCDの需要減やインターネット取引におされ利益が激減。ここ2年は連続で赤字となっている。
そこで立て直しを図るため2017年4月に立て直しを図るために就任したのが堀内康隆さん(41歳)である。
一体、どのようにこの赤字を立て直すのだろうか?
ブックオフの新たな戦略とは?
目黒区自由が丘のブックオフ 自由が丘店は、新たな戦略の口火を切るべく他とは違ったサービスが提供されている。それが、総合買取窓口である。名前の通り、たいていのものは買い取ってもらえる窓口である。
佐々木雄太さん(34歳)がブックオフ 自由が丘店のストアマネジャーであり、ブックオフ の中でも指折りの目利きをしている。既に多くのファンがお客さんとしてついている。
取材の日、常連客が持ち込んだのは、オパールのネックレスやブランド物のバッグ、カメオのブローチなど18点。査定の合計金額は134万円。
しかし常連客は持ち込んだカメオのブローチの査定価格に納得いかない様子。そこで佐々木さんは、査定の内容を丁寧に説明。このブローチの場合、巨匠デザイナーの娘の作品で中古相場においては「父親より値が低い」と説明し納得してもらった。
そして、査定が終わると佐々木さんは、130万円のCAZZANIGAというローマ屈指のジュエリーブランドのネックレスをすすめ、お買い上げいただいた。
こうした丁寧な接客によるリピーターの獲得が新たなブックオフ の戦略なのである。
しかし、この総合買取窓口を広げるには越えなくてはならない課題が残されている。それが査定のスキルレベルである。それを解決するためにブックオフ が行っているのは、テレビ電話を活用した査定である。
常時 4 – 5人で全国の店舗をカバーしている。特にブランド物の目利きはかなりのスキルが必要でなかなかそうした査定ができる人物を揃えることができないのである。
手軽に不用品を売買できるスマホアプリ「メルカリ」
茨城県古河市に住む国府田実智子さんは2人の娘を持つ専業主婦。育児に追われる毎日を送っているが、密かな楽しみがあるという。
それが、娘達が着まわした子供服をメルカリという個人同士で売買ができるアプリで販売することである。このメルカリを使うとフリーマーケットのように中古品を売買できるのである。
売りたい商品の写真を撮ったら金額を決めます。
金額に関しては、
売りたい金額ではなく自分だったらいくらで買うか…という金額を優先することが売る秘訣
だという。
出品作業はわずか5分で完了。そしてその1時間後、アプリ上にメッセージが届き、値下げをして販売ができた。あとは商品を梱包し近くの郵便局に持っていく。
事前にメルカリから送られてきた専用コードを機械に読み込ませると配送用のシールが出てくる。宛名や住所は書く必要がなく、相手に個人情報を知られること無くやり取りができる点が手軽さや安心を生んでいる。
今回販売した子供服は、販売額1,080円に対して、送料が175円、手数料が108円で儲けは797円となった。
今までメルカリで260点ほどの商品を販売してきた国府田さんは総額18万円以上、儲けているという。
メルカリとは、ラテン語で「商いする」という意味で現在ダウンロード数は5,000万を突破している。1日100万点を超える商品が出品されており、アプリ上で壮大なフリーマーケットが開かれているイメージである。
メルカリでは、意外とも思えるものが販売され実際に売れている。例えば、トイレットペーパーの芯。こどもの工作用として使うとあって、70本800円程度の金額で売れるのだという。
メルカリの本社は東京都港区の六本木ヒルズにある。創業からまだ4年の企業で従業員は既に500人ほど、平均年齢は31歳と非常に若い会社である。
2015年にメルカリ上で取引された流通総額は400億円だったのに対し、2016年は約1,200億円と3倍にまで膨らんでいる。今年はさらに伸びているのだという。
創業者で会長の山田進太郎さん(40歳)は、ここまで急成長すると思っていたのだろうか?
家にあるものの60%ぐらいは売れるものであると考えたが、いけるかどうかに関しては一か八か、ホームランか三振かだと思っていた
という。
山田進太郎さんは、大学卒業後の2001年、インターネット関連の会社「ウノウ」を設立し9年後ジンガというアメリカの企業に売却し世界一周の旅に。その時あることに気づきメルカリを立ち上げたのだという。
それが、
自分には価値が無いと思っているものでも他の人には価値があると思ってもらえるものが世の中にはたくさんあり、資源という観点からも有効に利用できるのではないかと思ってメルカリを立ち上げた
のだという。
メルカリの新たなサービス「メルカリチャンネル」
2017年8月、メルカリが新たなサービスをリリースしようとしていた。それが、メルカリチャンネルである。このメルカリチャンネルでは、出品者が商品を生放送で紹介・販売できるというショッピングチャンネルである。
いまでは1日約250人が生放送を行うほどになっている。
メルカリの国内事業を統括する小泉文明さん(37歳)は
誰でもテレビショッピングを放映できるもので、実際のお店で買っているかのような新しい体験なのではないかと思う
としている。
このメルカリチャンネルを活用して生活を一変させた人がいるという。それが佐賀県武雄市に住む宮原龍磨さん(29歳)。
宮原さんは佐賀県でスプラウトにんにくという水耕栽培の発芽野菜を生産している。市場には滅多に出回らないものだという。農協や市場でも認知度が低いため取り扱ってもらえないのだという。
したがって、消費者に直接宣伝をしてダイレクトに売っていかなくてはならないのである。そこでメルカリチャンネルを活用してこのスプラウトにんにくを販売したところ、100人以上が視聴し、わずか30分の生放送で用意していた10セットが完売し、売上1万1,780円となったのである。
現在は週3回ほど生放送を行っているが、一番販売できたときは、2時間で20万弱売り上げたこともあるのだという。
農業生産者は消費者と直接会うことや話す機会が少なく、おいしいとか応援してます、と言われたらかなり仕事のモチベーションになるのだという。
新たなメルカリのアプリ:メルカリメゾンズ
さらに、メルカリはメルカリチャンネルに続いて驚きのアプリを開発していた。それは、誰でもブランド品の査定ができるサービス「メルカリメゾンズ」である。この責任者は原田大作さん(36歳)。
通常のメルカリだと中古ブランド品は値付けが難しく、出品をためらう人が多かった。そこで簡単にブランド品が出品できるアプリの開発「メルカリメゾンズ」を急いでいたのである。
このアプリの特徴は、カメラ撮影のナビゲーションがついており、どこを写真で撮るべきかを簡単に理解することができる。画面の指示通り写真を撮っていくだけで、ブランド品の査定ができるようになっている。
バッグの情報や色、模様、バッグの種類、商品の状態を選択することで、査定金額が一定の範囲ですぐに算出される。この査定金額はメルカリ上での実績から割り出されたものである。
これまで中古品のプロの鑑定士しかできなかった査定がスマホひとつでできてしまうのである。さらに便利にするために画像を撮るだけでブランドの種類やバッグの種類を判別してくれる機能もつけている。
メルカリが抱える課題
飛ぶ鳥を落とす勢いで進化を続けるメルカリだが、課題も抱えている。2017年4月、現金が額面以上の金額で出品され世間を騒がせた。この時出品されていたのが、30,000円の現金が37,000円で出品されていたのである。
これはどういうことだろうか…。メルカリはクレジットカードを使って決済ができるため、今すぐに現金が欲しい人は、金額よりも高い値段を払って現金を得ようとするのである。そうした人を狙って現金よりも高い金額で現金が出品されていたのである。
こうした出品を防ぐため、仙台にあるメルカリのサポートセンターでは250人が24時間体制で違法出品などの監視を行っている。
上記のような現金出品は、より巧妙になってきており、例えば、ただの石を販売すると見せかけて、現金書留で現金をキャッシュバックするというような形で違法出品を行うケースも出てきている。
さらに、盗難品をメルカリで売却するなどユーザーの増加とともに、こうした違法出品があとをたたないのだという。
海外も狙うメルカリ
日本だけでなく、海外も狙うメルカリは現在、アメリカとイギリスに進出している。アメリカ版のメルカリは現在2,500万ダウンロードに達し、注目を集めている。
更なる拡大を目指し、大半を海外で過ごす山田進太郎会長は
日本で車を出品したらアフリカのどこかの国でそれが購入されるというような世界中で使われるサービスにしていきたい
と考えているのだという。
家に眠るいらなくなったもの。それを売りお金を得る。サービスの進化により誰もが手軽にできるようになった。しかし一方で、偽物や盗品の売買をどう防いでいくかという課題もある。
果たして中古品ビジネスは消費の新たな流れを作っていくことができるのか、今後の動きに注目していきたい。