こんにちは。ひとりで.comです。
2017年10月28日放送のNEC presentsミライダネは「自分の分身!? 人と人を繋ぐロボット」と題して、オリィ研究所のオリヒメを紹介する。
ロボットの話になると「ロボットと人がコミュニケーションをとれるのか?」ということが話題になりますが、今回のロボット・オリヒメは「人と人」を繋ぐ新しい役割を果たしています。
在宅勤務で働くお母さんや障害のある人のまさに分身となって、コミュニケーションをとるロボット・オリヒメ。さらに体を自由に動かせないALSなど難病の方が、目だけで簡単にコミュニケーションをとることができる機能も開発!
ロボットの新たな可能性を紹介します。
自分の分身として活躍するオリヒメ
しゃべれない人でも自己表現ができるオリヒメ
東京都足立区にあるとあるケアホームでは、病室内に人型のロボットが置かれている。そのロボットが発する言葉は、病床にいる患者さんから指示されて出されているものだという。その患者さんは榊浩行さん(56歳)。3年前にALS(筋萎縮性側索硬化症)という病にかかった。ALSとは脳や末梢神経からの命令を筋肉に伝える運動神経が侵される難病である。
進行がすすむと意識ははっきりしているものの、体を動かしたり呼吸をすることが困難になったりしてしまうのだという。
しかし、病室におかれているオリヒメというロボットが榊さんの代わりにしゃべってくれるというのである。
オリィ研究所 代表の吉藤健太朗さん(29歳)がこのオリヒメを開発した。オリヒメの仕組みは、目でパソコンに表示された50音の文字を一秒以上見ると、その文字が確定、それを話したい文字分続けることによって、文章が完成する。完成した文章をロボットが読み取り、代わりに読んでくれるという仕組みである。
パソコンにはアイトラッキングセンサーが取り付けてあり、目線がどこに動いているかも画面にうつす。それによって、どの文字を認識しているのか判断しているのである。
これまでALS患者との会話については、透明な50音のボードを使い、介助者がどの文字を見ているのか患者の瞬きによって1文字ずつ確認していくという作業を行っており、非常に時間のかかるものだった。
オリィ研究所代表の吉藤健太朗さんはこのシステムを2016年に開発し、特許も取得した。さらに、同じ要領で絵がかけるようなシステムを開発した。文字だけでなく、絵で自己表現ができるようになった。
さらに別の使いみちとして、ロボットを外に連れ出すことによって、ロボットについているカメラを用いて、外出先の風景を見て実際に外出しているように演出することができるのである。
オリヒメというロボットはレンタル製品となっており、文字を目線で入力できるオリヒメアイは45万円で実際に提供している。
開発者の吉藤さんは5年前に会社を構え、社員10人で開発を続けている。その発端は、小学校5年生から3年間の不登校の時期が関連している。はじめは病気で登校できなかったのだが、その際に、
・なぜ体はひとつしかないんだろう
・なぜ他の人に乗り移ることができないんだろう
と考えるようになったのだという。手先が器用だった吉藤さんに対して、不登校の際に母親が進めてくれたのがロボット作りである。たちまち夢中になり、工業高校に進学。そこで段差を楽に乗り越えることができる車椅子を開発した。
しかし、この車椅子を持ってしても手足を動かすことが出来ない人は外出することができない…そこで考えたのが「心を運ぶことができるモビリティ」である。
こうして大学生の時にオリヒメの開発に成功した。
オリヒメが企業のテレワークにも活用されている
このオリヒメがいま、企業でも使われ始めている。八王子で暮らすNTT東日本ITイノベーション部の小宮朋子さんは、月に数回の在宅勤務の日にオリヒメを通して、本社の社員とテレビ電話の要領でコミュニケーションを取っている。
以前は、打ち合わせの時にのみにテレビ電話を使ったり、用事がある場合のみ、電話などでやりとりしていたが、オリヒメであれば常に繋いでおき常に様子を共有することができるようになった。
それ以前は、疎外感や孤独感を感じたり、家庭内が映り込む様子に抵抗を感じる人もいた。しかしオリヒメを使うことでそうした点を解消できているのだという。
オリヒメを使ったテレワークによって、家族と過ごす時間も増えたのだという。現在、このオリヒメは約60社に導入されているという。
オリヒメアイを活用した車椅子の開発
いま、オリィ研究所の吉藤健太朗さんが開発を進めているのが、オリヒメアイの仕組みを用いた車椅子である。この車椅子は目線での指示を応用し、車椅子で進む方向を指示することができるのである。
目指すのは、どんな難病でも外出ができる車椅子なのだという。